ケイの読書日記

個人が書く書評

石井あらた 「山奥ニートやってます」 光文社

2021-03-12 15:05:19 | その他
 実際に、山奥の限界集落で、廃校になった小学校を家賃0円で借りて、嫌な事をせず1人月額18000円で暮らしている人たちの日常の記録。

 引きこもるなら、都会でも山奥でも同じ。それなら、生活費が安い山奥の方がいいんじゃない? という発想はなるほど!と思う。
 前からずっと感じていたが、引きこもりの原因の一つに「近所の目」があるんじゃないか? 
 例えば、私が勤めを辞めたとする。最初のうちは、ああ日中、自由に行きたい所に行けるなんて素晴らしい!!とルンルンしていても、しばらくすると親から「あんた、次の就職どうするの? 早く決めてよ」とせっつかれるし、近所の人から「あそこのお嬢さん、無職なのかしら?」と噂されているような気がする。
 親は親で、近所の放送局のようなおばちゃんから「あの角の家のA子ちゃん、今、里帰り出産で帰って来てるみたいよ。そうそう、A子ちゃんとあなたのとこのお嬢さん、同級生じゃなかった?」なんて探りを入れられ、困っている。ああ、親も可哀そう。
 だったら、コンビニ行くのも、近所の人に会わないよう、暗くなってからにしよう、なんて考え、どんどん外出を控えるようになる。

 そんなふうになるより、全然知らない(しかも生活費が安い)場所に行った方が、生きやすいと考えるのは不思議ではない。山奥だって、単発で安いけど仕事はある。農家の手伝い加工、地元直売所のバイト、キャンプ場のバイトなどなど。月に2万や3万だったら楽に稼げる。
 私が、生きていくのにそんなにお金が必要だろうか?と考え出したのも、スマホゲームをやり出してから。60年以上生きていて、初めてやり始めたけど面白い。お金がないから無課金でやっているが、それでも十分面白い。旅行に行くより、ゲームやってる方が面白い。友人との付き合いも、平日にお得なランチで2時間くらいお喋りできれば、それで十分。他に何がいる?
 もともと、お金をあまり遣わない性格だからかもしれない。生活費というより、子どもや孫の冠婚葬祭にかかるお金が、大変。

 しかし、この本を読んでいると、良い事ばかりじゃないようだ。現在15人でシェアハウス生活しているが、揉め事があると古参3人の意見が尊重される。それで今のところ上手く回っているようだが、ここに支配欲の強い人、暴力的な人が入ってきたらどうなるんだろう…と心配になる。合わなくて出ていく人も結構いるようだ。そうだろうね。

 能動的に山奥ニートになれる人はOK。周囲から強要された、島流しにあったと被害者意識がある人はNG。続かない。

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2 コメント

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Unknown (コウイチ)
2021-03-16 10:16:09
山奥での生活、隣人が存在しないっていうのも魅力的ですよねー。ただ、自分もあまりお金使わない性格ですけど、お店が近くて商品などを消費者として選べる都会じゃないと孤独の生活は無理そう。
って思ったんですけど、シェアハウスのお話なんですね。シェアハウスは気疲れしそう。
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コウイチさんへ (kei)
2021-03-19 14:25:09
 いやいやいや、今やどんな山奥でもアマゾンが配達してくれるようです。彼らも仙人ではない。物質生活をエンジョイしているみたい。
 この限界集落は高齢者5人、平均年齢が82才。年齢がうんと離れているせいか、孫みたいな感覚で接してくれるみたい。こんな山奥に、若い人が住んでくれるだけでありがたい、みたいに。

 それから、コメントありがとうございます。読んでくれてうれしいです。
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