読売新聞が「住めば都」をテーマで経験談を募集したことがある。
小生、九州に転居して何度か「住めば都でしょう」と言われて苦笑いをしたものだ。この「住めば都」は田舎に転居した者本人が実感するもので、人から言われるものではないからだ。
さて、冒頭の募集に投稿した文の最後は「住まば都ということもある」と締めくくった。「住まば都」とはどうせ住むならば機能的な都会がよいということだ。
たしかに田舎では「新鮮で安価な農産物が手に入る」ことを認め、「例えば高級和牛は都会の半値ほどで味わえる」ことの魅力もある、と投稿文に付け加えた。
一方、「地域のしきたりに戸惑うことがある」と延べた。また、外様つまりよそ者に冷たい風潮もある。
さらにいえば「故郷と違って竹馬の友はいないし、長年住んでいた都会にいる知人・友人とも別れることになる」のはデメリットである。
結局、「都会に限らないが、住み慣れた地域こそ安心して暮らせるのはないか」と綴った。高齢者には機能性の乏しい田舎の生活は無理かもしれない。
もっとも、今の小生の心境は「住めば都」のとおり満足し、「住まば都」の気持はさらさらない。