本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

様と殿

2012-12-15 10:00:35 | Weblog
 ある時代小説を読んでいて小首をかしげた。
 若い侍が年配の、しかも役付きの家中の者を「殿」と言う。

 封建時代、尊称は上位から順に老、公、様、殿であったはずだ。
 大老や老中は役柄だろうが、若年の藩主が就任しても呼び名が変わるわけではない。
 ともかく、通常、敬称の呼び名は様と殿で、上位者を殿呼ばわりしないだろう。

 ところで、書状では、この「様」にも区分があったようだ。位の高いほうから、永サマ、次サマ、水サマの3段階という。現代の様は、旁(つくり)の下は「水」を書くが、その水に替えて「永」や「次」にしたからだ。
 他方、永サマ、美サマ、平サマの区別という史料もあった。どちらが本当かわからん。

 面白いのは、様の字体によって差をつけたことだ。最上位は楷書体で、だんだん下位につれ行書体、草書体と崩し字になるということ。殿も同輩や軽輩によって崩し字になるようだ。

 字の書き方で尊卑を示すとは面白い。