本と旅とやきもの

内外の近代小説、個人海外旅行、陶磁器の鑑賞について触れていき、ブログ・コミュニティを広げたい。

古文書の書体

2008-08-21 09:20:21 | Weblog
 古文書の学習書で知ったのだが、書体によって敬い方が違う。すなわち、楷書が最も礼に適い、行書、草書と文字が崩されるにつれて敬意が薄くなるそうだ。
 
 例えば「殿」の書体は、行書から草書まで六、七通りもある。最後の崩れた草書体は、かなの「どの」よりましな程度とある。しからば、かな書きはどうかといえば「かなにて「どの」と書きたるは書かざるほどの事也」とある。かな文字には品格がないのですな。

「書札調法記」なる本には、敬い方の文例がある。
 書状の書き出しをみると、一番目の極上とされるのは「一筆奉啓上候」(「一筆啓上たてまつり候」)であり、二番目の上々とされるのは「一筆啓上仕候」(「一筆啓上つかまつり候」)である。ところが、三番目の上とされるのは二番目と同じ文例となっている。よくよく比較して見ると「候」の崩れ方がひどくなっている。文体にも書体にも気遣いがいるということですわ。
 どうやら、敬い方とは身分の違いをわきまえろということですかな。

 伊達に崩し字なんぞで書いたわけではないとは驚きでした。