ひとこと・ふたこと・時どき多言(たこと)

〈ゴマメのばーば〉の、日々訪れる想い・あれこれ

『あしたになれば ぼくだって!』

2015-05-07 06:36:20 | 日記
五月。
とにかく、どこもかしこも緑が盛り上がり、拡がっています。
賢治さんの表現をお借りすれば、秋ではありませんが、
『まわりの山は、みんなたったいまできたばかりのようにうるうるもりあがって』※
いるのです。

良く見るとアリたちも忙しげですし、庭の山椒の木が お目当ての
チョウもやって来ます。
チョウが飛び去った後には、山椒の柔らかそうな葉先に黄色い小さな卵が幾つも、
残されます。
クロアゲハは山椒が好物とみえて毎年卵を産みつけ、
その後何度も何度も、日にちを置いて卵の様子を点検して行くのです。

やがて、小さなシロクロの幼虫となりますが、この幼虫、すざましい食欲で、
枝一本を枯らしてしまうこともあるし、ギョッとするばかりに大きく成長します。
私は、このぐにゃりとした姿は好きになれません。
あちこち這い歩く毛虫も好きにはなれませんが、このアオムシよりは、
共存できるような気がします。
でも、様子を見に来るチョウが健気で、ぶつぶつ言いながらの共存。

数日前のニュースですが、
『毛虫で列車が運休した』
と、報じられました。
≪JR四国は3日、高徳線讃岐相生駅~阿波大宮駅間のレール上に毛虫が大量発生し、
踏みつぶした普通列車が坂を上り切れず運休。
前日にも同じ場所で普通列車1本が立ち往生して運休した≫
ということです。

毛虫の油状の体液が車輪に付着し、列車が進めなくなる…………。
一体何匹ぐらいが轢死したものか。
毛虫に同情するわけではありませんが、どうして線路上になど這いだしてきたものでしょう。
毛虫には毛虫なりの事情があったのでしょうが、嫌いな毛虫ではあっても、
それなりのテリトリー内で生きていてほしいなどと、勝手に考えました。

私の好きな詩人・工藤直子さんは、こんな詩を書いています。

   『へんしんのゆめ』
                      けむしじんべえ
    あしたになれば ぼくだって
    あしたになれば ぼくだって
    うん きっと
    あしたになれば ぼくだって!

「へんしん」の夢がかなえられないままに、列車に轢かれてしまった毛虫たちの
弔いはありません。

青い空。
盛り上がり、拡がる緑、みどり。
季節を登場する花たちの行列。
すきとおる風。
でも、轢死した「けむしじんべい君」たちの「へんしん」の夢は叶いませんでした。
生も死も同時進行。
いや、「一如」と。
                            ※「どんぐりと山猫」から
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4 コメント

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毛虫 (A.S(たわごと的オピニオンの))
2015-05-07 08:33:41
家にも小さいけど「温州みかん」と「金柑」の木があるのですが、そこに毎年アゲハ蝶や黒アゲハが卵を産みに来ます。小さな白黒の毛虫から緑色の毛虫になり途中、鳥やより大きな昆虫に殺られながらも何匹かは蛹になり、また、蛹になっても孵化できずにそこで終わるのもいますが、何匹かは蝶になって飛んでいきます。自然の中の小さなサイクルに見とれますが、でも毛虫の時に一杯葉を食するのは困るかな。それでも椿に着く毛虫より良いのですね。椿に着く毛虫は触ると大変な事に成りますので。
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〈虫めづるばーば〉には、 (ゴマメのばーば)
2015-05-07 10:44:12
コメントありがとうございました。
私も、「連休」と言えるような、言えないような「大型連休」の暦を過ごしました。
やっぱり柑橘類の木にも、毛虫の類が付くのですね。
これから咲く「くちなし」にも、青虫が付くので、夜、葉先に何匹も集まっている様子をみますと、“なんだかなぁ”の気分になります。
『虫めづる姫君』などという物語もありますが、〈虫めづるばーば〉にはなれません。
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毛虫 (Cafeの宿六)
2015-05-08 00:40:28
ゴマメのばーば様

「へんしんのゆめ」素敵な詩ですね!
でも、毛虫はやっぱり苦手です。野菜作りの大敵で~す。
毛虫たちにも好みが有って昨年までは色んな野菜を色んな毛虫にボロボロにされても
羽化した時の綺麗な色や形惹かれて食べ放題にしていましたが
人が食べるには・・・・と思うほどひどい状態にされることもあり。
今年から蝶や蛾が近寄れないように虫除けのネットを張って防いでいます。
蝶やアゲハに悪いかな と思いながら
毛虫と上手く付き合って行くのはむずかしいものがあります。
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きれいごとでは、なかなか。 (ゴマメのばーば)
2015-05-08 09:23:25
おはようございます。
小さな庭で、花木を楽しんでいるだけなら、毛虫との共存も、がまんできますが、「野菜作り」ともなれば、そうはいかないのが現実でしょうね。
以前専業農家の知人に「無農薬でつくってみたら」と軽い気持ちで言いましたら、「売れないよ。子ども育てられないよ」との応えが返ってきました。
「生きる」ということは、きれい事にはいかないのでしょうね。
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