まずは前回の読者アンケートを振りかえってみます。前回の「久しぶりに円安に振れ、それに呼応するように日経平均も急回復していますが、今、日本株は買い?売り?」では・・・
1位:今、日本株は買い 48%
2位:分からない 22%
3位:今、日本株は売り 18%
4位:日本株に投資しない 11%
ということになりました。1位は足元の相場環境を反映してか「今、日本株は買い」ということですね。約5割ということですから圧倒的です。
一方、底値で買った日本株をこのタイミングで売却しようと言うことなのか、「今、日本株は売り」という方も2割近くいる点は面白いですね。これだけ短期間に急上昇したわけですから、一旦、売却して様子を見ようという考え方はよく理解できます。
売りにせよ、買いにせよ、日本株に関心が集まっているのは間違いなく、「日本株に投資しない」と答えた方はわずか1割ですね。いよいよ長かった「株式の冬」も明けるのでしょうか?期待したいと思います。
ただ気になる点があるとすれば、すでに日経平均の株価収益率(PER)は、今期の決算予想をベースにすれば23倍という高水準になっています。世界の株価収益率はせいぜい高くても15倍前後ですから、実に50%近く「割高」の水準にあるということです。
前回のコラムでご案内したように、来期の企業収益が15%~30%増加する可能性があるとしても、この割高感は解消されません。だとすれば、円安がさらに進むなどの後押しがなければ、少なくとも日本の株価がさらに上昇する可能性は低そうですね・・・。
昨日(6日)は日経平均が少し下落したほか、今朝はアメリカの株価も大きく下落していますね。さすがにそろそろスピード調整となるのでしょうか。いずれにせよ、日経平均がすでにかなりの割高水準にあるという点は、理解しておく必要があると思われます。
■日経平均チャート(期間:1年)
では投票がまだの方は、ぜひ投票をお願いいたします。
〔投票〕http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=791
〔前回のコラム〕http://www.ginkou.info/modules/xfsection/article.php?articleid=603
さて今回は、為替動向について。
--- Ginkou ---
ドル・円長期チャート、過去の円安局面と共通点
http://www.nikkei.com/money/features/29.aspx?g=DGXNASFZ0202R_02032012K10300
戦後にドル円相場が変動制に移行してからの長期チャートをみると、円安トレンドの時期は5回あり、今回といくつかの共通点がみられる。
1回目は1978年から84年にかけて。第2次オイルショックで石油価格が高騰。石油の輸入代金が急増し、日本は貿易赤字になった。東日本大震災による原発停止で火力発電のための液化天然ガス(LNG)輸入急増や原油高によって貿易赤字に陥った今回と構図が似ている。
2回目は87~90年ごろ。バブル期の株価と不動産価格の上昇で投資余力を増した機関投資家や企業が海外の資産を購入するために、円を売ってドルを買った。生命保険会社が「ザ・生保」とはやされ、ゼネコン(総合建設会社)が海外リゾート開発に傾注した。
今回は当時ほどの熱気はないものの、機関投資家はアジアなどの新興国投資に力を入れ、新興国などに活路を求める企業も海外企業のM&A(合併・買収)を加速している。
3回目は95~98年ごろ。阪神大震災が発生し、生命保険会社などの海外投資資金が本国回帰するとの見方から円相場が急伸。1995年4月に当時としての過去最高値(1ドル=79円75銭)をつけ、日米が7月に協調介入(七夕介入)を実施した。今回は東日本大震災後の円急騰に対し日米欧が協調介入したが、その後は日本が単独介入を強いられている。
4回目は2000~02年ごろ。01年9月の米同時テロによる「有事のドル買い」の裏返しで円安が進んだ。その一方で、米国ではIT(情報技術)バブルが崩壊。米連邦準備理事会(FRB)は経済を下支えするために利下げを繰り返した。
これに対し、日銀も異例の量的緩和策を導入。円安誘導の姿勢を強めた。今回も日銀は追加金融緩和に動いたという点で共通する。
5回目は05~07年ごろ。それに先立つ、03~04年ごろは米国のイラク戦争や、財政・経常のいわゆる「双子の赤字」を背景に、ドル安・円高傾向が強まった。
03年には日本の金融危機で株価急落する中、危機感を抱いた当時の小泉純一郎首相はブッシュ米大統領の盟友関係をテコに、ブッシュ氏から円安容認発言を引き出し、日本は大規模な円売り介入に踏み切った。同時に日銀も量的緩和を加速。円の超低金利が定着し、円安の流れをつくった。
そして05年以降は世界景気の拡大も手伝って、ファンド勢による円キャリー取引が活発化。個人投資家による外国為替証拠金(FX)取引も人気となり、円売り・高金利通貨買いの取引が広がった。今回も日銀の追加の量的緩和で円キャリー取引に復活の兆しが出ている。
〔 出典:日本経済新聞 〕
--- Ginkou ---
上記の通り、今後の日本の株価を占う上でポイントとなってくるのは為替相場です。アメリカの景気回復が徐々に鮮明となる中で、日銀の追加金融緩和の発表もあり、為替相場は大きく円安に動いておりますね。
日本の投資家にとっても、金融関係の方々にとっても、久しぶりの慈雨となったのではないでしょうか。為替相場の動向はこのようになっております。
■米ドル/円チャート(期間:1年)
2月中旬から大きく円安にトレンドが転向したことが分かりますね。すばらしい。
ただ一方でここ数日はやや円高に修正されつつあるようです。どんな相場でも一直線に上昇したり、下落したりすることはないわけで、当然の動きだとは思いますが、短期間で大きく動いたものは、短期間で大きく修正される可能性もあります。注意が必要なのかもしれません。
さて短期的な動向と同時に気になるのが中長期的な動向です。分かりやすいシナリオは
・アメリカの景気回復 → アメリカの金利上昇 → 日米の金利差拡大 → 円を売ってドルを買う動き → 円安ドル高
というものですね。「金利の低い通貨を売って、金利の高い通貨を買う」、いわゆるキャリー取引と呼ばれる動きが本格化する、という読みです。
ではいつ頃アメリカの金利が上昇するかですが、アメリカFRBのバーナンキ議長は「2015年ごろ」という発言をされておりまして、それが正しければ、実に3年後ということになります。
アメリカ経済が予想以上に順調に回復してきているのは、皆が認める点だと思いますので、上記予想もそれなりに前倒しになっている可能性がありますが、とは言え、今年や来年という話ではないですね。
だとすると、本格的な円安時代が到来するのはもう少し先であり、今の円安や、それに基づく日本株の上昇も、「早すぎ」であり「行きすぎ」の面が強いのかも・・・しれませんね。
とは言いつつ、筆者は常に楽観的でありますので(笑)、更なる上昇を期待していますが。
そんな楽観論者を勇気付けるべく、上記記事では、今回の円安状況と、過去5回の円安時期を比較し、その共通点を指摘しております。ポイントとしては
・貿易赤字
・積極的な新興国投資や海外M&Aによる円売りドル買いの流れ
・為替介入
・日銀の追加金融緩和
・円キャリー取引
ということであります。こうして並べられると、今回の円安には確かな理由があり、当面、円安が続くような印象を受けます。
しかし。
よく考えてみれば、1つ目の「貿易赤字」以外は、今までの超・円高局面でそれなりに試されつつも全く効果がなかったわけで理由としては弱いのではないですかね!?
また、その「貿易赤字」も、あくまで一時的という指摘もあり(筆者もそのように思いますが)、だとすると少なくとも上記共通点が、今後の力強い円安トレンドを示唆しているかと言われれば微妙な感じになってきますね・・・。
そしてもっと気になるのが、上記記事で紹介されている長期グラフでして、見事な右肩上がりになっております。つまり歴史的にはずっと円高だった、ということですね。
日本の高度成長が終わった90年代以降はそれほど上昇していないと言えるのかもしれませんが、しかしそれでも円高傾向は底堅く継続しております。
教科書的に言えば、金利の高い米ドルと金利の低い日本円を比べれば、長期的には金利の高い方の通貨=米ドルの価値が金利分だけ下がっていくのは当然といえば当然なわけですが、上記グラフはまさにそれを示唆しているようにも見えますね。
そうすると今後の動きとしては、
・短期:上がったり下がったり
・中期:円安
・長期:円高
ということになるのですかね?
久しぶりに動き出した為替相場ですが、日本経済にも、資産運用にも影響が大きいので注意が必要ですね。
ということで、今回の読者アンケートは「久しぶりに1ドル=80円台となるなど、為替相場が大きく円安に振れていますが、ここから更に円安?それとも円高?」でいきましょう。4月7日まで。
■久しぶりに1ドル=80円台となるなど、為替相場が大きく円安に振れていますが、ここから更に円安?それとも円高?(4月7日まで)
http://www.ginkou.info/modules/xoopspoll/index.php?poll_id=793
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