外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

マーケットのコンセンサスはインフレリスクの解釈へ 

2008-05-15 22:54:14 |    -ドル円

先日のTV番組で、物価高騰の中の不況ということで、第二次オイルショック時代を紹介していました。

当時の記憶はそれなりに鮮明であり、消費者がトイレットペーパーを買いだめに走ったため、品不足となったという代表例も、ぼんやりとした実感として残っています。お一人様何ロールまで…という販売方法に、頭数(あたまかず)として買い物に同行した記憶があります。

ここには、原油高騰による消費財の高騰→消費者の買いだめ→品薄による消費財高騰というジレンマが見えますが、消費の増加が物価の高騰を招いたという教科書どおりのシナリオはどこかに活きている匂いがし、本来のスタグフレーション(不景気の中の物価高)だったのかという疑問は残ります。

もちろん、買いだめた後は消費が控えられ嗜好・贅沢品は避けられてしまうので、確かにスタグフレーション…と思う側面がありますね。ボーリング場が見る見る姿を消していった時期だったような気もしています。

さて、昨今の原油高騰にスタグフレーションをかぶせる世論の高まりを感じています。私も以前にその指摘をした記憶がありますが、最悪のシナリオとして紹介したと思います。

原油の高騰は、対ドルで見ると確かに狂気の沙汰としか見えませんが、1リットル80円程度だった数年前の原油価格から計算すれば、300円くらいになっていてもおかしくはありません。なぜ160円程度で収まっていられるのか、その一つの原因に、円高による抑制効果が指摘できます。未だにオイルはドル決済が主流だと思いますが、その結果、まだ160円でいられる現状があるとも言えそうです。
万が一1バレルが150ドルなどという時代が本当に訪れるのであれば、それこそドル円は70円台を期待せざるをえませんね。

インフレの増大は本来、通貨の価値がさがることを意味するのですが、同時に金利が上昇することも意味するため、最近はどうも通貨の価値が上がることを意味する「買い」が先行します。
今まさに、サブプライム問題の沈静化が僅かに見え隠れする状況下で、インフレリスクが台頭する度にその通貨が買われています。この現象は、もはや常識として対応しなければいけないステージがあることは認識しているのですが、金融的に考えると素直になれない自分がいます。いくら金利収益が増えても円高によって相殺されるように動くのが金融システムというものです。特段の円安要因も無いままに、このまま円安に流れるようなら、真剣に過剰流動性の問題が露呈することになり、価値を守れる通貨なりモノなりへの資金シフトを、個人ベースでも考えなければいけなくなりそうです。

テクニカル的には、ドル円は95円台をつけた日から、上下しながらも上昇トレンドと見える軌跡を残しながら上昇しているのは事実です。
ただ、107円台を割り込んで95円台に至った日数が僅か14日間であるのに対し、そこから105.66円をつけるのに要した日数は35日で、さらにその日から本日まで既に10日が経過していることから、45日かけても107円台からは程遠く推移しています。

この事実は少なくとも本日現在で、ドル買いの勢いが弱いことを意味しています。
また、週単位で見てみると、95円台をつけた3月17日の週から今週は9週目で、今週から来週にかけては変化週となる可能性があり、安値以来上昇してきた相場は下落反転を試す可能性が指摘できます。もちろん、何も起きなければこのまま一進一退を継続することもありえますので念の為。

今週中にここまでの高値となる105.66円を上抜けないと下落リスクが高まりそうです。もちろん、上値を抜いた場合は軽いブレークを伴い上昇を継続する可能性がありますが、こちらの考え方は通常の上昇の継続と捉えればよいわけで、ここまでの流れを反転する可能性の根拠を、変化週として取り上げてみました。高値圏での売りは一つのチャンスであり、上抜けでストップあるいは軽いドテンというシナリオが浮かんできます。