こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。
今回の番組で使用する最新データは、5月20日のIMM市場が終了した時点のものです。
<ドル円相場まとめ>
前回からここまでの間のドル円相場は、アメリカの雇用統計発表以降、強まった円高が一服したのもつかの間、前回のデータが締め切られるのを待つかのように、再び円高推移を再開し、そのまま安値圏で締め切りを迎える展開でした。これまで幾度となく跳ね返されてきた安値を既に割り込み、残すところは本年最安値のみという下落となり、最安値が試されるのは時間の問題という状況でした。
この下落で、円の売り越しポジションは一段と圧縮されているとの推測は難しくない中、円の買い越しが進んでいたのかどうか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。
<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
オレンジの折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は本年最安値となり、本年最小額の買い越しを記録するばかりか、2012年11月20日締切で5万コントラクトに乗せて以降、最も少ない、53,787コントラクトのドル買い越しまで減少する結果となりました。
IMMのポジションとしては、非常に意味のある事態になったのですが、この件に関しては、後程、考察の部分で取り上げたいと思います。
<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。
円は、前回思わぬ売り越し増加となった分を差し引いても、余るほどの解消となり、着々と円売りを圧縮する方向へ進んでいます。
ユーロは、ネットで概ねスクエアとなった前回、暫く動きが鈍る可能性も考慮しましたが、そのままユーロ売りを伸ばす結果となり、いよいよしっかりと売り越し側へと残高を伸ばしています。
その他、高金利通貨の豪ドルとメキシコペソは、想定通り買い越しを増やす流れは継続していますが、ペソの勢いはとどまる気配がありません。もはやどの通貨も差し置いて、77,266コントラクトの買い越しとなっており、最もアンバランスな通貨として、その動向はもはや無視できない存在になっています。
<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフをみて行きましょう。
先ず円ですが、3週前の円買いを上回る買い越しとなっています。
ブレークダウンから、売り越しの一方的な手仕舞いが要因だったことは明らかです。懸念された買い越しは極微増となっており、依然として積極的に円高を見通すまでには至っていません。
ブルベアも売り越しは80%にまで下がってきており、極端な売り越しはそこそこ解消されています。
次に、前回大幅な売り越しとなったユーロは、小幅ながら今回も売り越しを継続しました。
ブレークダウンは、売り越し買い越し共に残高を減らす動きになっており、一方的なユーロ安シフトは回避された模様です。
ブルベアは前回から2ポイントユーロ売りが伸びるに留まっていますが、相場は締切以降下落を再開しており、ユーロ売りへのシフトが一層進んでいることは充分想定できます。
最後に、やはり気になるメキシコペソの現状を一応確認しておきます。
前回大きく買い越しを伸ばした流れは依然として継続しています。
ブレークダウンを確認しますと、残り少ない売り越しは僅かながら一段と圧縮され、買い越しは続伸するといった、買い越しへのシフトは健在です。ただ、先週も指摘した通り、
既にフルベアはドル円のピーク時にも見られなかったほど異常な偏りになっており、買い越しが遂に86%までになっています。何かをキッカケとした急激な巻き戻しには充分注意が必要です。
<総括と考察>
さて、為替市場のその後の動きは、ユーロ安が再開する一方、本年最安値を試したドル円は一旦跳ね返され、大きめに戻しています。
ドル円は円の売り越し解消が相当進んだものの、5万コントラクトの売り越しという数字自体を前回の相場に当てはめた時、81円台だったことが判ります。単純に比較はできませんが、既に相当な水準で円安は定着したとも言えそうです。
残りのこの5万コントラクトというポジションは、もしかすると100円を大きく下回るコストであるとの見方もでき、相当な円高にならない限り手仕舞いはされないとすれば、目先の調整は概ね終了したという印象も受けました。
一方、ユーロを売り越す流れは、少なくとも次回ECB理事会の結果が出てくるまで、継続しそうな気配です。今のところ買い越しを取り崩す動きに留まっていますが、売り越しが増える動きには警戒すると同時に、今のケースからはユーロ買いとなる、いわゆる「事実売り」の展開にも要注意です。
また繰り返しにはなりますが、メキシコペソの異常な偏りには警戒を要します。幸い、為替を取引する範囲では、日本の投資家とって縁遠い通貨ですが、巻き戻しが発生し多場合、ドル買いというインパクトで相場に影響が出る一方、クロスで考えると一方的に弱かった通貨が急に強く推移するなどの影響には充分気を付ける必要があるでしょう。その材料になり得るのが、本日22:00に発表されるメキシコの貿易収支です。予想では赤字転落を見込む数値も見られており、少なくとも目先の強弱に影響があるかもしれません。
来週は、ドル円の底打ちを示すような暗示が見られるかどうか、そしてユーロの逃避先となっている高金利通貨及びポンドの買い越す流れに変化が見られるかどうか等に注目したいと思います。
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