こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。
今週番組で使用するデータは、1月28日のIMM市場が終了した時点のものです。
今回、データの対象になった期間のドル円相場は、1月23、24日に掛けて顕著になった、新興国のリスク懸念によって、円買いが優勢となり、先週序盤には101.75の安値を付けました。しかし、その後の反発も強く、103円台に戻したところで締め切りを迎えています。
では早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参ります。
<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
ドル買い残高が、ピークを迎えた翌週に高値を付けたドル円相場は、下落基調で推移したことに合わせて、これで5週連続してドルの買い越しは減少となりました。
ドルのネットポジションは102,169コントラクトの買い越しと、前回比で25%強の減少になり、買い越しを取り崩したコントラクト数としては、この3年間で1,2を争う大幅な減少となっています。
<全通貨別ネット残高推移>
円売り残高が急速に減少する中、その他の通貨では、前回同様ドルカナダと豪ドルの売越残高が、比較的高水準を維持しています。
円のブルベアはこのように、依然として大きなアンバランスとなっていますが、前回と比べると幾分、買い持ちの割合が増えたことが判ります。
またメジャー通貨のポンドとユーロは、ドル金利の先安観によってドル売りが進み、ブルの割合が少し増えています。
その他、大きな変化があったのは、メキシコペソです。円グラフは準備できませんでしたが、高金利をもってしても、とうとうIMMは売り越しに転じ、今回の新興国ショックをそのまま反映する結果となっています。
<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフです。
先ず円ですが、買い越しの変化は大きな額になりました。
ブレークダウンを見ると、売り越しが大きく取り崩され、買い越しも僅かに増加しており、両方の変化が共に買い越しに働いたのが背景です。ただ、買い越し額は想像以上に少額だったことから、IMM市場は依然として円高見通しは低く、売り残高の取り崩しだけが進んでいたことになります。
次にユーロですが、前回の売り越しから大きく買い越しに転じていました。
ブレークダウンを見ると、市場規模は殆ど変らないように見えますが、そこそこ買い越しが増加した以上に、売り越しも減少したことから、ネットでは大きな買い越しとなったことが判ります。これは、前回の比較とは正反対の動きであり、市場は下落見通しから、一気に上昇見通しへ方向を変えていたことを意味し、23日のユーロ急騰を裏付けた格好です。
続いてポンドですが、前回の売り越しから、今回は比較的大きな買い越しとなりました。
ブレークダウンでは、売り越しの減少分と、ほぼ同額が買い越されており、買い越しは結果的に倍増しています。市場規模は概ね同じに見えることから、IMMの見通しは上昇に転じた格好です。データ対象期間中の相場は、乱高下したにも関わらず、この様な結果になったことは、興味深く受け止めています。
大幅な売り越しとなったメキシコペソは、買い越しはある程度取り崩されて20,000コントラクト強へと残高が減少する一方で、売り越しは25000コントラクト近くが純増となり、IMMは売り一色になっていたことが判ります。
<総括と考察>
さて、新興国パニックは諸国の緊急利上げなどが好感され、今回のデータが締め切られる時点では、リスク度が後退していました。しかし、その効果も一時的に過ぎず、先週末にかけて、ユーロドルは前週の安値を更新し、ドル円も安値を試すなど、リスク回避色は再びドル買い・円買いに傾いています。
一方、こうした地合いの中でアメリカは、据え置く可能性も出ていたQE3縮小の第二歩を躊躇なく踏み出したことで、新興国リスクに対しては様子見というアメリカのスタンスを市場に伝えたことになります。現にその後のアメリカ経済指標はさほど弱くも無く、ドル金利の先高観とリスク回避のドル買いが一致しかける局面もありました。
ドル円にとってはドル金利先高思惑のドル買いと、リスク回避の円買いという上下2つの要素が絡み合い、それが乱高下の一因だとも考えられますが、今週末のアメリカ雇用統計が好結果となれば、一部の通貨でドル買いが急伸する恐れも出てきたように思います。
今週は、リスク回避の影響がドル金利にどう影響するかを見極めながら、雇用統計に対する準備をしたいと思います。
以上、IMMの取組残高分析は動画でも視聴できます。
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