外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

各相場は壊れ気味-薄くて乱高下も高金利通貨売り先行か

2008-09-18 02:21:15 | ☆相場分析-ユーロドル
先月20日にアップして以来、概ね一ヶ月が経過してしまい、大変ご無沙汰してしまいました。
決してマーケットを離れていたわけではないのですが、週末も含め時間がとれずただズルズルとしてしまいましたこと、お詫びいたします。
 
その間、随分いろいろなドラマがありました。
 
その中でも「いよいよ来たか!」と、鳥肌を立てながら見守ったイベントは、やはり米系大手証券会社の破綻とAIGが資金の援助を受けたこと。そして、メリルリンチが買収されるなど、一世を風靡した無く子も黙る米系の機関投資家が次々とギブアップを始めたことです。
 
ただ面白いことに、相場はこれらの真実が明白になった後でも大きなドル安とはならず、ユーロやポンドなどメジャーの対ドル相場は、どちらかというと上値が重く感じてしまいます。
 
たしかに、数週間前の底値からは一相場となる戻りを見せていますが、ここ数日のサプライズだけをとってみれば、値動きは荒いもののどちらかに傾いた動きには至っていません。
 
その大きな理由は、リスク回避を主眼としたレパトリの動きが巻き起こり、一旦はドルに置き換えられるリスク資産が、ドル買い圧力となっているのも一つだと思われます。例えば、高金利投資をしていた資金が、今後の不透明性を理由に一旦は解消と言うことになれば、例えばポンドを売りドルに戻したり、ニュージーランドドルを売り米ドルに戻すなどの動きは想定の範囲で、本邦のこうした動きを想定すれば、まさにクロス円での円高を演出することになります。
 
また原油や貴金属などに流れたリスク投資も、解消の売戻しということになれば一旦はドルを買い戻す動きになることから、ハプニングに驚いた割にはドルが売られない状況となっていることは充分考えられます。
 
金利はというと、実は非常に興味深い現象が起こっています。日本のバブルがはじけた直後とまったく同じ現象ですが、信用が失墜した金融機関は足元の資金繰りに苦しくなります。つまり、こうした金融機関へのドル貸し出し金利は急上昇するわけです。したがって市中の短期金利は連動して上昇するので、政策金利ではドルよりも高いユーロやポンドでも、対ドルでは金利差の逆転現象が発生し、何とポンド買いドル売りをすればスワップを支払わなければいけない状態となっています。
 
まさか、これを受けてドルの政策金利が上昇するという先読みをすることは無いと思いますが、ストレートでなかなかドル売りが進まない一つの理由付けになっている可能性があります。
 
テクニカルには、やや下落スピード速すぎたため、売り疲れているようにも見える市場ですが、残念ながら特に対円のクロスが上昇する目は非常に薄い気がします。増して、ストレートでもドル売りは非常に不利に展開しており、ある程度の時間を調整した後は底値探しが再開されるように思えます。ドルの悪材料が出るたびに、何故かドルが売られず、クロス円が売られる“からくり”が少しでもご理解いただければと思います。つまり、ドルを買っているのではなく、その他の通貨が資金離れを起こしていると考えれば、幾分か納得できるかもしれません。
 
詳細な分析をしていないので、ターゲットを示すことは過剰誘導に聞こえるかもしれませんが、ユーロは対円で140円、対ドルで1.3500、ポンドは対円で160円、対ドルで1.7200辺りはあっておかしくない水準です。イメージは・・・ドルの悪材料は格好のドル買い相場(ドル円を除く)!上手く回り始めたらクロス円の売りにも挑戦する・・・ような展開に見えます。(為替投資郎)