充分な額や量が世の中に広く自由に出回っているかどうか、の概念を流動性といい、充分な額や量が世の中に広く自由に出回っている状況を「流動性が高い」、その反対を「流動性が低い」と表現する。
このように、変化する可能性があり不利な状況もありうることを「リスク(危険性)」という。
流動性が高い状況から低い状況へ行くほどに流動性リスクが高くなる。 流動性を相場ものに当てはめれば、
・売買したいときにいつでも取引できるレートが存在する状況かどうか
・売買したい額や量が必要なだけ問題なく調達や売却ができるかどうか
・売りたい人・買いたい人がなるべく広範囲に無数に存在するかどうか
などが目安となる。
取引されるものが均一でなく、信用が低いほど流動性は低くなることは想像がつく。
外国為替でいえば、いわゆる米ドル、ユーロ、日本円、イギリスポンド、スイスフランがメジャー通貨として認知されており、流動性は高いとされる。 その次にカナダドル、豪ドルなどが準メジャー、以外を他通貨あるいはエマージェンシー通貨などといって流動性が低くなる。
流動性が低い通貨を取引する場合、売りたくても買い手が不在で売れないような状況が発生しやすく、やっと取引相手が見つかっても希望する額の一部しか取引できなかったり、その通貨の国が休みや夜の間はほぼ取引ができないなど自由さが制限され、リスクは高くなる。
本来、高金利通貨は信用がなく流動性に乏しいからこそ、金利を上げて信用を維持しようとする動きとなる。しかし、近年は世界中に資金余剰現象が発生しており、運用先に高金利通貨を求める傾向が顕著で高金利通貨が上昇するような、いわゆる古くからの金融システムが否定され始めている。 このような高金利通貨が本当に信頼を失ったときには著しい買い手不在が予想でき、高リスクの上に成り立っている高金利という認識は必要だ。
【外為大学 外国為替相場用語 ら行-L】あと
外国為替市場での取引は、必ず2種類の異なる通貨同士の交換比率が取引レートなっている。したがって常に2種類の通貨が一対(ペア)で表示されることからこれらの総称を「通貨ペア」という。世界で流通している各国や地域の通貨であればそれ分だけの組み合わせが理論上存在することになる。
各通貨の表記方法は国際基準で3文字のアルファベットでシンボル化されており、日本円はYENではなくJPYである。 中にはシンボルだけを見て想像しにくいものも存在するが、取引をして安心できる通貨の中ではCHFがスイスフランだけなので、そのくらいは最小限の暗記をお願いしたい。
2種類の通貨は必ず左右に併記され、2通貨を区別するために間に/、・、-などを挟むが、/は、%を意味しない。最近になって/を%(par の意味から・・・につき)という解釈をしているメディアを目にするが、この表現は金融市場ではなじまない。例えば、1ドル=118.50円のとき、118.50円/ドルと書いて良いかは疑わしいところだ。円ドル相場とドル円相場は逆数の関係であり、せめて基本用語の表現方法はマスターしたい。
USD/JPYはドル円相場だが、必ず左側にくる通貨(この場合USD)が基準となり常に1単位となる。 一方で右側にくる通貨(この場合JPY)が変動して2通貨の強弱を決定、交換レートとなる。つまり右側の通貨が変動する訳だから損益は右側通貨で発生する。 左右のルール( どちらの通貨が基準となるか)には決まりがあるが、新興通貨など一般的に信用が少ない(つまり流動性が低い)通貨が概ね右側となる。ただし新興通貨同士はより地域的な商習慣が一般化される場合もある。
最後に主なメジャーペアとルールを説明しておこう。
外国為替の歴史はイギリス→アメリカ→ユーロとなっていることを踏まえれば、暗記ペアは少ない。
ルール1:米ドルは左
ルール2:コモンウエルズ(国旗にユニオンジャックがある国)は左 しかもGBP>AUD>NZD
ルール3:ユーロは左
上のルールを把握した上で、かつ 3>2>1が原則 である。
かえって判りづらいとすれば、
・ヨーロッパつながりでは、ユーロが最も強く次が英連邦関係
・米ドルは世界的に基準だがユーロ&英連邦関係に弱い
という概念で捉えてはどうだろうか。
その他傾向と対策
・ZARは南アフリカランドで、本来はSouth Africa RandなのでSARとなるべきだが、先にサウジアラビアリアルが登録されたので、SをZに変えてシンボルとした。このような変換があるものは個別に理解
・JPYは3大メジャー通貨であるが、常に左に来る傾向がある。より流動性が高い通貨は左に来るというルールはあるが、日本円は対ドルで小数点以上3桁となる通り、基本単位の1円価値が小さいため概ね右扱いされる。基本単位価値がJPY同様に非常に小さい通貨を対円で表示する場合、100×××=○○.××JPYという表記もありえる。
こぼれ話
USDより後から誕生したEURは、USD/EURなのかEUR/USDなのかもめたことがあり、移行前後では両方のプライスが建っていたこともあった。しかし欧州圏通貨を統合する目的のEURがUSD基準ではややこしくなるので、ドルが折れてEUR/USDとなったと聞く。また左側は常に1という観点では、当時のEURは弱く、左をUSDにすると右のEURが1以上となり、EURの安さが露呈することを嫌ったからとも聞いている。 GBPとEURも同じような経緯があると聞くが、USDが右である以上GBPも右で落ち着いたのではないだろうか。ただし、イギリス国内ではGBPが左という古くからの慣習は根強く、国内向け報道関係ではGBP/EURのレートも存在する。
【外為大学 外国為替相場用語 た行-C】あと