外為ガイドブック☆FX取引の基礎や相場分析を解説…五里霧中の相場取引に一筋の光を

外為市場経験者の浅野敏郎が値動きに着目したチャート解説や個人的意見を綴る相場ブログ&用語集!

円の売越しシフトは鮮明、ユーロは買越しの手仕舞い継続-IMM分析活字版

2014-06-10 18:53:55 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、6月03日のIMM市場が終了した時点のものです。
前回データから今回データまでのドル円相場は、100円台後半までの円高相場が終わり、切り返しの第一波動を終了したところから始まりました。直後は調整の反落が先行しましたが、第一波動のピークを越えて続伸したところで終わっています。
前回は僅かに円安へシフトする兆しが在りましたが、実際に円安はもう一段すすむことになりました。相場通りIMMポジションはドル買いを積み上げたのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、本年最安値から2週連続して切り上げました。ドルの買い越しも74218コントラクトに増加しており、久しぶりに円安相場に対して敏感に買い越しを増やしています。
底打ちと断定するのはまだ早いという印象はありますが、相場が多少反落してもドル買いが増えているようなステージが確認できれば、底打ち感も一段と強まるでしょう。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

円は、加速度的に円売りを強めていました。100円台を付ける円高が急伸した後だけに違和感は残りますが、相場の急上昇はポジションを伴っており、市場は再び円安を志向し始めている可能性は充分察知できる状況です。

ユーロも、予想通り売り越しを強めた状況が判ります。市場規模が大きいだけにこの程度ではブルベアにはあまり大きな変化はないと思いますが、後程詳しく見てみましょう。

その他ではメキシコペソが、依然として快調に買い越しを積み上げています。ユーロの金融緩和観測が手伝って高金利通貨の買い越しが根強くなり、豪ドルも買い越しを増やす結果になっています。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフをみて行きましょう。

先ず円は、この3週間で円買いから円売りへシフトした状況が良く判ります。
ブレークダウンを確認しますと、円売りを伸ばしているばかりか、円買いを一段と手仕舞う動きとなっており、ブルベアも一気にロングの割合が13%まで下がっています。

ユーロは、売り越し基調が継続し、前週の倍額が今回売り越されています。
ブレークダウンから、今回の売り越しは買い越しの手仕舞いが主たる原因になっていますが、売り越しも3週連続して微増となっており、ユーロ売りへシフトしていました。ブルベアは4対6程度でベアが優勢という程度に留まっており、ベアが続伸する地合いは充分に残されています。

豪ドルは、買い越しに返り咲いています。
ブレークダウンでは、前回市場規模が拡大したあと、今回買い越しへシフトした格好となっており、買い越し地合いへの兆しを暗示しています。ブルベアは6対4でブルが優勢という程度で収まっており、ブルが続伸する地合いは残されています。

ほかに関して簡単に触れておきます。
ポンドはブルが6対4から4ポイント優勢なまま、前回から僅かにブル・ベア共に市場規模を拡大しています。ここからの展開については上下のにらみ合いが継続しそうです。

メキシコペソは、円並みの極端なアンバランスが継続しています。売り越しも僅かながら3週連続して増加傾向にあり、警戒感が芽生えている兆しが伺えます。ペソ自体の流動性を考えると、円を上回る買い越しは異常な事態であることは間違いなく引き続き要注意です。

<総括と考察>
さて、先週の為替相場は、ECBが利下げを行いマイナス金利の導入に踏み切るなど、金融緩和を一段と推し進める一方、アメリカの雇用統計は底堅い結果で、月初のイベントが終わりました。

このイベントの結果は、本日締め切られるデータに反映されるわけですが、相場が大きく動いたのはユーロに留まり、一時は大幅に売られたものの、直後には大幅に買い戻され、方向感のない乱高下で終わりました。次回、ユーロの売り越しがどの様に変化しているのかが注目される一方、円とペソのアンバランスは異常な状態が継続しています。

円は3週前の円高で、目先の売り越し残高が確認できた一方、ペソは2月中旬あたりから新興国リスクの後退に伴って、調整らしい調整もなく、ここまで来ています。円はブルべアが示す程、目先のアンバランスはニュートラルだと考えられる一方、ペソについては未知な部分があります。

雇用統計の結果を受けて、アメリカの長期債の利回りは下げ止まる動きとなっており、金利先高観が強まれば、ユーロや円は対ドルで売り越しを積み上げ易い状況に加えて、そもそも流動性が低いペソの極端な買い越しというアンバランスは、金利差縮小の見通しから売り圧力が掛かりやすい状況になるでしょう。

アメリカの長期金利の動向には、これまで以上に注意が必要になっており、今週はこうした背景からドル買いへのバイアスの変化に注目したいと思います。



ECB、政策金利引き下げ後、記者会見で一段の緩和措置を発表と予告

2014-06-05 21:21:34 |  -ユーロドル

こんばんは、

注目のECB理事会発表は、予想通り利下げとなりました。ただ、下げ幅は市場予想が0.15%下げて0.1%になるだった中、0.1%の下げ幅にとどまったことで、一時1.3590前後を試した後、1.3640前後へと反発しました。
しかし、その後、「一段の金融緩和措置を後程発表する」との、珍しい予告が入り、相場は底堅かった1.3585を割り込み、一気に1.3557まで下落しています。

一旦下げ止まったことから、以降は1.3570前後を戻り高値として揉み合っています。

為替に直接関係がある金利部分についてはこれ以上の緩和は一先ずあり得ないことから、問題は株価にとって何らかの支援材料になる内容であれば、下値もこれで一旦は終わりかもしれません。追加案の発表があるとすれば総裁の定例記者会見の場になる可能性が高いと思いますが、さすがに欧米の反応より先に反応するのはなかなか難しいとすれば、いまからストップエントリーを置くしかありません。

皆さんはここから上下、どちらだと思いますか?記者会見は21:30から始まる予定です。
Liveの模様は、英語ですが下記リンクからご覧いただけます。ECBのホームページからのダイレクト・リンクです。

http://www.ecb.europa.eu/press/tvservices/webcast/html/webcast_140605.en.html?content=3181617&idx=1


円は若干の売越しシフトへ、その他メジャーは意外に方向感出ず-IMM分析6月03日活字版

2014-06-03 13:10:36 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析の活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、5月27日のIMM市場が終了した時点のものです。
前回データから今回データまでのドル円相場は、初日から円高圧力が強まり100円台後半まで下落した後、買い戻しも急速に入り、一気にちょうど本日水準へと戻す展開でした。
円高ピーク時には円の売り越しは一段と圧縮されていた可能性が高かったはずですが、その後急激に戻す局面ではどのような動きがあったのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、本年最安値から僅かに切り返したことで、ドルの買い越しも59,036コントラクトと、前回から5000コントラクト以上戻す結果となりました。このデータを見る限り、特に底打ちを示す動きには至っておらず、また相場も買い越しも、依然としてダウントレンドを継続しており、円高警戒感が後退したとは言いにくい状況でした。

<全通貨別ネット残高推移>
円は、先ほどドルのネット分析で買い越しが増えていたように、円から見ると売り越しは増えています。
前週で大きめに解消された分の調整という範囲で、まだどちらとも言えない状況はこのグラフからも伝わってきます。

ユーロは、今回も着々と売り越しを伸ばしていました。
スイスフランは中央銀行の政策思惑から、ユーロと連動しているようです。スイスF単独のイントは全く無さそうに見えることから、もしスイスFを取引する場合は、ユーロの動きに注意しましょう。

ポンドは、底難い動きを反映するように、今週も僅かながら買い越しを増やしています。
対ドル相場はデータ締切後に下落していますが、通貨によっては依然として強く推移しているものもあり、クロスでの買い支えがどこまで影響するかに掛かってくるでしょう。

また、メキシコペソは、今回も順調に買い越しを伸ばしていました。依然として調整相場には要注意です。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
先ず円ですが、
方向感が定まらない傾向はこれを見ると明らかです。
ブレークダウンを調べて意外だったのは、買い越しが一段と圧縮されたことです。目先は、円高見通しだった短期的なポジションが手仕舞いとなった印象もある一方、今回積み増された円売りは、明らかにこの水準でのコストだという事になり、前回の売り越し額と今回の買い越し額は、今後の騰落を考える上で、基礎的なポジション額となる可能性を感じています。流れは円売りへ僅かにシフトしたことで、目先はボトム感が優勢となるかもしれません。
ブルベアは円売りが再び2ポイント戻すと言った状況です。

ユーロは、順調に売り越す動きが継続しています。
これでブレークダウンはユーロ売りへ僅かにシフトした格好となり、ユーロロングの手仕舞いだけの下落から、ユーロ安を見通す動きに傾きつつある兆しが在りました。
ブルベアはユーロ買いが2ポイント落とす結果となっています。

高金利通貨としてポピュラーな豪ドルは、買い越しが弱まる中、今回は売り越しとなりました。
ブレークダウンでは、売り越しが優勢ではあったものの買い越しも増えており、見通しは割れている状況が判ります。
ブルベアは買い越しが3ポイント落とす結果となっています。

<総括と考察>
さて、為替市場のその後の動きは、全面的にややドル買いが優勢となっています。

5月はヘッジファンド等投機筋の上半期の決算月に当たり、ECBの追加金融緩和が色濃くなる中で、ユーロの投げ売りがドル高をけん引している印象があります。
ユーロの行き先として高金利通貨が選ばれる流れも有るはずですが、ここへ来てドル金利の底打ち感も少しずつ見え始め、低金利通貨は、高金利通貨に加えてドルへと流れる動きも出てきたように思います。
ドル金利が今後も底堅く推移するとなると、高金利通貨の妙味は一段と薄れることも考えらえ、現に豪ドルは今回売り越される結果となっています。
ドルと高金利通貨の綱引きは今しばらく続くかもしれませんが、全てはアメリカの株式市場がその運命を握っていると言えそうです。

次回、この番組をお送りする時には、ECBの決定内容やアメリカ雇用統計の結果が明らかになっています。データに反映されるのは残念ながら次回の次という事になりますが、ユーロ安株高という展開に発展すれば、ドル買いに拍車が掛かるかもしれません。



カナダ高相場に注目-14年05月28日

2014-05-28 16:47:53 |    -加ドル

久しぶりに相場分析をしたいと思います。
御覧の2つのチャートはそれぞれ何の通貨ペアだと思いますか?





実は上がAUD/CADで,下がEURCADの日足です。普通は余り気に掛けることのない、マイナーなクロス通貨ペアですが、ユーロや豪ドルの上値が重い原因についてあれこれ探し回っているうちに辿りついたという訳です。
この2つのチャートには非常に顕著な共通点がありますが、皆さんはお気づきでしょうか?
それは、泣く子も黙るヘッド・アンド・ショルダー・トップが両方に出現しており、これまで上昇して来た相場の反転が暗示されている点です。

既にAUDCADの方は目先目標を達成した観はありますが、EURCADはまだこれから下落する余地は充分ありそうです。



値幅に関する詳細は当ブログの用語解説にも掲載していますが、目先、予想できる最大の下落をするとして、ヘッド部分をネックラインから下側に降ろした、1.4400前後が下値となる可能性が指摘できます。(それ以降の下落に関して、可能性が無いというのではなく、ヘッドアンドショルダーで計測可能な最大値という意味です)

カナダドルの上昇余地についてその他のチャートを調べても、現在どの相場もカナダ高へ向けてブレークできる位置にあり、どれか一つでもしっかりブレークすると、芋づる式に全てがブレークする可能性が在りました。

当ブログで定期的に特集しているIMM分析でも、カナダドルのショート(売り越し)は殆ど調整されておらず、巻き戻しが入り易い通貨としてカナダ買いの動きに注目したいと思います。

推奨されるペアとしては、ユーロカナダとカナダ円辺りは、取引しやすいかもしれません。ユーロカナダのファンダメンタルは知る由もありませんが、テクニカルのメリットは「どんなマイナー相場でも当てはまるべき」という立場ですから、もしこれが実現すればそれを証明することにもなるでしょう。

では最後に、ユーロカナダのモデル取引を掲載しておきます。
OCOエントリー:
リミット売A@1.4870 or ストップ売B@1.4775
If done
A:ストップ買@1.4930 or リミット買@1.4410
B:ストップ買@1.4850 or リミット買@1.4410

一度、1.4650前後で引っ掛かる可能性があり、そこでスクエアになるのも有りでしょう。昨年の年末年始で付けたトップとボトムが一致する1.4410前後は目標値の若干手前になりますが、ここは重要なレベルになるため、一足先にスクエアになりたいところです。


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アンバランス修正は円だけが目立つ中、高金利通貨は買い越し増加-IMM分析活字版

2014-05-27 14:00:29 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。
今回の番組で使用する最新データは、5月20日のIMM市場が終了した時点のものです。

<ドル円相場まとめ>
前回からここまでの間のドル円相場は、アメリカの雇用統計発表以降、強まった円高が一服したのもつかの間、前回のデータが締め切られるのを待つかのように、再び円高推移を再開し、そのまま安値圏で締め切りを迎える展開でした。これまで幾度となく跳ね返されてきた安値を既に割り込み、残すところは本年最安値のみという下落となり、最安値が試されるのは時間の問題という状況でした。

この下落で、円の売り越しポジションは一段と圧縮されているとの推測は難しくない中、円の買い越しが進んでいたのかどうか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
オレンジの折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は本年最安値となり、本年最小額の買い越しを記録するばかりか、2012年11月20日締切で5万コントラクトに乗せて以降、最も少ない、53,787コントラクトのドル買い越しまで減少する結果となりました。

IMMのポジションとしては、非常に意味のある事態になったのですが、この件に関しては、後程、考察の部分で取り上げたいと思います。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

円は、前回思わぬ売り越し増加となった分を差し引いても、余るほどの解消となり、着々と円売りを圧縮する方向へ進んでいます。

ユーロは、ネットで概ねスクエアとなった前回、暫く動きが鈍る可能性も考慮しましたが、そのままユーロ売りを伸ばす結果となり、いよいよしっかりと売り越し側へと残高を伸ばしています。

その他、高金利通貨の豪ドルとメキシコペソは、想定通り買い越しを増やす流れは継続していますが、ペソの勢いはとどまる気配がありません。もはやどの通貨も差し置いて、77,266コントラクトの買い越しとなっており、最もアンバランスな通貨として、その動向はもはや無視できない存在になっています。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフをみて行きましょう。

先ず円ですが、3週前の円買いを上回る買い越しとなっています。
ブレークダウンから、売り越しの一方的な手仕舞いが要因だったことは明らかです。懸念された買い越しは極微増となっており、依然として積極的に円高を見通すまでには至っていません。
ブルベアも売り越しは80%にまで下がってきており、極端な売り越しはそこそこ解消されています。

次に、前回大幅な売り越しとなったユーロは、小幅ながら今回も売り越しを継続しました。
ブレークダウンは、売り越し買い越し共に残高を減らす動きになっており、一方的なユーロ安シフトは回避された模様です。
ブルベアは前回から2ポイントユーロ売りが伸びるに留まっていますが、相場は締切以降下落を再開しており、ユーロ売りへのシフトが一層進んでいることは充分想定できます。

最後に、やはり気になるメキシコペソの現状を一応確認しておきます。
前回大きく買い越しを伸ばした流れは依然として継続しています。
ブレークダウンを確認しますと、残り少ない売り越しは僅かながら一段と圧縮され、買い越しは続伸するといった、買い越しへのシフトは健在です。ただ、先週も指摘した通り、
既にフルベアはドル円のピーク時にも見られなかったほど異常な偏りになっており、買い越しが遂に86%までになっています。何かをキッカケとした急激な巻き戻しには充分注意が必要です。

<総括と考察>
さて、為替市場のその後の動きは、ユーロ安が再開する一方、本年最安値を試したドル円は一旦跳ね返され、大きめに戻しています。

ドル円は円の売り越し解消が相当進んだものの、5万コントラクトの売り越しという数字自体を前回の相場に当てはめた時、81円台だったことが判ります。単純に比較はできませんが、既に相当な水準で円安は定着したとも言えそうです。
残りのこの5万コントラクトというポジションは、もしかすると100円を大きく下回るコストであるとの見方もでき、相当な円高にならない限り手仕舞いはされないとすれば、目先の調整は概ね終了したという印象も受けました。

一方、ユーロを売り越す流れは、少なくとも次回ECB理事会の結果が出てくるまで、継続しそうな気配です。今のところ買い越しを取り崩す動きに留まっていますが、売り越しが増える動きには警戒すると同時に、今のケースからはユーロ買いとなる、いわゆる「事実売り」の展開にも要注意です。

また繰り返しにはなりますが、メキシコペソの異常な偏りには警戒を要します。幸い、為替を取引する範囲では、日本の投資家とって縁遠い通貨ですが、巻き戻しが発生し多場合、ドル買いというインパクトで相場に影響が出る一方、クロスで考えると一方的に弱かった通貨が急に強く推移するなどの影響には充分気を付ける必要があるでしょう。その材料になり得るのが、本日22:00に発表されるメキシコの貿易収支です。予想では赤字転落を見込む数値も見られており、少なくとも目先の強弱に影響があるかもしれません。

来週は、ドル円の底打ちを示すような暗示が見られるかどうか、そしてユーロの逃避先となっている高金利通貨及びポンドの買い越す流れに変化が見られるかどうか等に注目したいと思います。




5月20日の豪ドル下落の不思議と裏読み-IMM番組で豪ドル買いの余地ありの発言を受けて

2014-05-21 15:51:37 |    -豪ドル

いつも、当ブログ並びにIMM分析番組をご視聴頂きまして、まことにありがとうござます。

ところで、昨日5月20日の豪ドル相場は全面安となり、月足同様に日足も完全に一目均衡表の雲の中へと入りこんでしまいました。週足は雲の上限で上値を抑えられて結局は中に入れず、消去法でも下落が優勢な地合いです。

先ほどご紹介したIMM番組の中で、豪ドル買いの余地を指摘しています。
相場が落ち着けば再び金利差が見直され、ジリジリと買われると見ていますが、ただ、とにかくロングもショートも見境なく手仕舞いが先行している現在の相場は、豪ドルも一先ず目先のロングを手仕舞いつつ底値を探しに、暫く上値が重い展開になりそうです。どの水準で押し目を買うのか非常に悩みますが、どこかでボトムの形を作った際には是非、挑戦してみたいところです。


ところで、NZDも含めて、昨夜のAUDの下落要因について、いろいろな解説を探し回ってみましたが、今一つ明確な理由は見あたりませんでした。ただ、某ストリーミングニュースではRBA総裁補佐(ってどんな役職?)の発言として、「長期資本の流入低下が豪ドル安を招く恐れがある」との報道があり、それが材料視された可能性はあるかもしれません。

長期資本の流入が低下傾向にあるかどうか、確認していないので何とも言えませんが、豪州の経済や財政は御存知の通り、海外勢の債券買いや不動産購入などによる資本流入が高い割合を占めており、もしこうした資本流入が本当に低下傾向を鮮明にしているなら、企業や政府の財政に逆回転が掛かりかねず、そうなると中国のようにデフォルトリスクが表面化するのは確かです。豪州の不動産バブルは、機会があるごとに懸念されており、豪ドルが下落傾向にある時は、このネタには十分注意が必要です。


ユーロやポンドが崩れる中、ドル買いで反応した円相場は円売りが増加-5月20日IMM分析活字版

2014-05-21 15:45:42 |   -【特集】IMM残高分析

こんにちは、今週もIMM取組残高分析活字版をお送りします。

今回の番組で使用する最新データは、5月13日のIMM市場が終了した時点のものです。
この間のドル円相場は、ユーロやポンドの対ドル相場が第一弾の下落を開始する中、ドル高に連れてまたもや安値から反発する地合いとなりました。下落リスクが意識されてかなりの時間が経過しましたが、5度目の下落も跳ね返される結果でした。

 一方IMM市場の残高は、これまで戻したところではドルの売戻しが入る流れが続いてきましたが、今回のデータではそのような変化があったのか、早速、投機筋のポジションを表すとされる、非実需のデータを見て参りましょう。

<ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化>
先ずは、ドル円の相場推移と対円におけるドルのネットポジション変化を表すグラフからです。

オレンジの折れ線グラフが示す毎週火曜日時点の終値推移は、これまで通り明確な方向も無く同じ水準で上下に揉み合っています。相場はやや円安に振れて締め切りを迎えていたこともあり、ドルの買い越しネットポジションは、64,707コントラクトと、意外にも4000コントラクト分が増えている結果となりました。

 しかし、ご存知の通り相場はその後円高を強め、昨日は過去5回付けたボトムのうち、最安値以外を下に抜ける展開となっています。本日締め切られるデータでは、恐らく買い越しが大きく減少しているはずですが、どの程度まで進んでいるか、今週末の発表に注目です。

<全通貨別ネット残高推移>
次に、各通貨のネット残高のグラフです。

円は既に売り越し増加という意外な結果だったことはお伝えしましたが、今回は注目すべきポイントが2点あります。

まず1点は長期に渡って買い越しを継続してきたユーロは、この1週間で忽然と買い越しが消え、僅かな売り越しに転じたことです。8日からの急落でロングは投げ切った様子がうかがえます。

2点目は、このところ持ち高を解消する流れが主流となる中、先週も高金利通貨へ資金が集中する可能性をお伝えしましたが、実際に豪ドルとメキシコペソが買い持ちを増やし、ペソに至っては急増する結果となっています。

本日締め切られる次回のデータでは、どこまで高金利通貨の残高が増えているのかと、比較的残高を有しているポンドの買い越しと、カナダの売り越しがどこまで圧縮されているか…などに注目したいと思います。

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>
では続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフをみて行きましょう。

先ほどのグラフの結果を証明するように、ユーロの売り越しが目立ちます。
ブレークダウンを見ると、買い越しが大きく取り崩されたことに加えて、売り越しも増加しており、手仕舞いからユーロ下落を視野に入れた動きが確認できます。残高は明確に売り越しへとシフトしており、ブルべアもブルが10ポイント減少して遂にベアが逆転する結果になっています。

ポンドはこれで3週連続して売り越しが優勢となりました。
ブレークダウンでは、確かに買い越しが大きく減少していますが、売り越しも残高を減らしており、ポンド安までもは見通されていないことが判ります。ブルベアもブルは僅かに2ポイントの減少に留まっており、見通しはさて置き、リスク回避の撤退が最優先されているのかもしれません。

メキシコペソは、これまでの調整から、一気に買い越しを強める一週間でした。
ユーロペソというペアが取引できていれば良い収益が上がっていたような展開です。ユーロの急激な巻き戻しで、やもすれば盲目的なリスクオフにより、新興国からも資金が流出するシナリオも否定し切れませんでしたが、低金利が蔓延する市場環境に対して、参加者は冷静に金利裁定に対応しているようです。ブレークダウンでは、売り越し残高までもが減少したことで買い越し一色といった状況です。気になるのはこの一週間でブルが更に6ポイント増えており、偏り過ぎが一気に進んだ状況です。これは急反転のリスクを常にはらんでいることになり、急な巻き戻しが他の通貨に与える影響には十分な注意が必要です。

<総括と考察>
さて、為替市場のその後の動きは、ユーロ安が一段落した一方、その他の通貨で調整が進んだ印象があり、ポンド安や円高が進んでいます。

本日締め切られるデータは、一段とアンバランスが解消され、全体の残高は高金利通貨を除き、恐らくイーブンに近づく動きになっていると考えられます。

ユーロのブルべアが概ねイーブンとなった相場は、最後の投げが出て以降、方向感を失ったように見えます。こうした観点でみるとポンドや円、カナダにはもう少し調整される余地がある一方、ブルベアがイーブンに近付くほどに相場の方向性は失われることになり、神経質で取引しにくい相場になる可能性が出てきます。
円、ポンド、カナダの深追いは充分警戒すると同時に、ペソはここから更に買い越す動きには同調すべきではないように見えます。

そう考えると、全面的なリスクオフの動きにならない限り、豪ドルにはまだ買い越す余地が残っているようにも見えます。次回は、アンバランスがどんな形で修正されているかに注目したいと思います。




ドル円、あまりの同意の無さに仕切り直し-「A氏からのメッセージ」05月14日

2014-05-14 22:44:32 |  -ドル円

ポジション:スクエア
戦略:成行き売り決済@102.15(05/14) 対 ロング@101.85(04/09)



今日の午後、余りに動かないため手仕舞った…の一言、メッセージがありました。
調べてみればこの約40日間の安値は、ポジションメイク翌日の101.32、高値は5月2日アメリカ雇用統計直後の103.01のワンタッチという酷い有様です。本当に久しぶりのメッセージでしたが、これでは仕方がありません。

また、何か閃かれればご連絡を頂けるでしょうから、その時にはまた皆様にご紹介いたします。

※プロスティックス・チャートで表示している一目は、正式な一目均衡表とは異なります。作図する際に対象とする足の本数は、「9-26-62」の代わりに「7-22-44」を使用してあり、また「半値」を使用する代わりに「モダル・ポイント」という独特な数値を使用しています。従って、雲と呼んでいる先行スパンの位置や、転換線、基準線の水準は、正式な一目均衡表と基本的には異なりますのでご注意ください。

 


主要通貨の低金利長期化で高金通貨のロングに妙味、急な巻戻しには注意-IMM活字版(3)

2014-05-14 16:33:22 |   -【特集】IMM残高分析

<総括と考察>

さて、先週末の相場は、主要通貨でドルの買い戻しが急伸する展開でした。ことの発端はECBが表明した追加金融緩和への可能性が示されたことになっています。だとすれば、ユーロだけが売られる展開でも良かったにも関わらず、ポンドやスイスまで急落した一方、カナダは急伸するなど違和感がありました。

スイスはユーロ売りに連動した政策的な動きだったとしても、ポンドは明らかに調整だった可能性が強いことが今回の分析で少し見えてきました。

一方でECBの発表によって、好調な経済指標発表が続いているユーロにも、低金利が長期化するとの思惑が強まり、その後の市場では高金利通貨に対する買い意欲が旺盛となり、豪ドルは再び上昇に転じ、メキシコペソは対ドルで年初来高値を更新する下落となっています。
しかし、IMMはメキシコペソのロングを縮小し始めている気配を見せており、きっかけ次第では調整を入れてくる可能性が想定できます。

本日見たデータはあくまで6日時点のものであり、先週末の大相場でロングショートの景色はまたガラッと変わっている可能性は充分あり得ます。ただし、IMMという限られた市場ではるものの、メキシコペソのように、特に日本にはあまりなじみの無い通貨の市場規模が円に迫るまでに膨張しているのは事実ですから、一度巻き戻しが起こり始めると市場全体に及ぼす影響はそれなりに在り得ることになり、今後発生するやもしれない意味不明なドル買いには充分に注意しておきたいところです。

最後に、先週末の大相場を経たデータは、本日のIMM市場が終わった時点で締切となり、今週日本時間の土曜日にはCFTCを通じて公開されます。ポンドやユーロのロングがどこまで圧縮されているのかなど、興味は深まりますが、例えば、ブルベアが五分五分程度で収まっていたり、売り持ちが全く増えていないようだと、先週末の暴落は単なるロングの投げがストップを巻き込んだだけで終わる可能性も有り、再びドル売り地合いへ回帰することも充分あり得ることになります。
今週の値動きを踏まえて、次回のデータからなにが見えてくるのか、楽しみにしたいと思います。


相場は既に下落後ながら、ポンドはタイバージェンスを示唆していた-IMM分析活字版(2)

2014-05-14 16:11:23 |   -【特集】IMM残高分析

<前回データと比較した各通貨のネット残高変化>

では続けて、前週と比較した各通貨のネット残高の変化を、3週間追跡したグラフをみて行きましょう。


今回のデータは最も濃い色で示されていますが、前週のデータを含めて、目立つ動きだったのは、ユーロと円の買い越し程度でした。トレンドとして捉えても、ポンドの売り越し傾向が比較的鮮明だった以外は、ほぼ動きが無かったといえそうです。

先ず円ですが、
前週比で買い越しがここまで鮮明になったのは久しぶりという印象です。

ブレークダウンをチェックしてみますと、
円売り残高が縮小された一方で、買い越しが2万コントラクトに達したことで、その合計が強めの買い越しに作用したことが判ります。結果的に残高は買い越しにシフトする動きとなり、少なくとも連休明け直後は円高リスクが掛かっていたことになります。ブルベアも円のブルが20%を回復しており、円高が意識され始めていた地合いが伺えます。

次にユーロですが、
重かった1.39台を連休中に乗せるなど、ここ最近では3月高値を付けた時に次ぐ買い越し残高となり11万コントラクトの大台に戻しています。

ブレークダウンでは買い越し売り越し共に残高を伸ばす中、買い越しが一段上回っていました。全体の残高は18万8千コントラクトと、市場規模はかなり膨らんでいたことで、多少の動きでは、もはやブルベアに影響を与える次元ではなかったようです。

3週連続して前週比で売り越しとなっていたポンドのブレークダウンは、
前の週からロングが減少傾向にあったことが判りました。6日の締切時点では、売り越しも微増となっており、これまでポンド買いにシフトしてきた残高は僅かに売り越しへとシフトを始めていました。市場規模は全体で12万コントラクトを上回る中、ブルベアは一時70%までポンド買いが押していた状態から4ポイントも引かれていました。締め切りの6日と言えば1.70に迫る最高値を付けた日でもあり、もしこのデータが判っていれば典型的なダイバージェンスを引き起こしていたことになります。


最後になかなか取引としてはまだ一般的ではないメキシコペソは、
代表的な新興国通貨として稀にこの番組でも取り上げています。この通貨の魅力は何と言っても高金利ですが、新興国懸念で一時大きく売り越されていたものの、懸念後退で買い越しが優勢になり、前半にお送りした全通貨のネット残高では、4万コントラクトを上回る買い越しとなっており、買い越されている通貨の中では最大の通貨にまでなっています。


ブルベアは円の売り越しに近い不均衡が買い越しで発生しており、その様子はブレークダウンでも良く判ります。気になる点は売り越しが徐々に増加傾向にある一方、ロングが伸び悩んでいます。ボリューム的にはまだ僅かながらも、今回のデータでは買い越し推移までもが売り越しとして機能しており、ポジション調整が始まる兆しが見て取れます。市場規模は9万コントラクトに迫る膨張をしており、巻き戻しの規模によっては、主要通貨にもインパクトを与えかねない状況になっていることだけは、念頭に入れて置きたいと思います。