深田久弥さんの
日本百名山より
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登山者によって奥秩父と称せられている、小川山から東に向って
雲取山まで続く連嶺は、その延長と高度から言って、わが国で
日本アルプスと八ヶ岳連峰を除けば、他に例を見ない大山脈である。殊に
その中の甲信国境をなす金峰山から甲武信岳までは二千五百米の高度を保ち、
甲武信以東も二千米を失わず、破風山、大洞山などの甲武国境を走って、
その最後の雄を誇っているのが雲取山である。
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2年前の甲武信ヶ岳山頂からの展望は、
西南の国師ヶ岳・金峰山から小川山が
良く見えますが、東側は高い木の枝に遮られ
雲取山を見ることはできませんでした。
残念に思い、少し移動してみましたが、
願いはかないませんでした。
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霧藻ヶ峰は、通称燕岩と呼ばれていた所を
秩父宮様が昭和8年に登山されたときに命名されたもので
霧の中に揺れるサルオガセから得た発想だそうです。
深田久弥さんの日本百名山にも
サルオガセに関する記述がみられます。
帰りに通りかかると、
ちょうど霧が出ていました。
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方位盤があり、わずかに展望のある
北方向を眺めていると
小屋の中から、ご主人が現れました。
不定期に小屋番をされているようです。
雲がなければ、両神山や
遠くの白馬岳までみえるそうです。
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小屋の手前にある
秩父宮ご夫妻のレリーフは
皇族がご夫妻で並ばれている
日本で唯一のものだそうです。
今の天皇陛下も雲取山に3回も登られたと
思い出すように話されていたのが印象的でした。
10分ほどの休憩です。
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次の目標は、三峯のひとつ
標高1921mの白岩山です。
霧藻ヶ峰からまた400m上り
コース中で一番の上りになります。
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霧藻ヶ峰から15分ほど下ると
お清平という鞍部になります。
悲恋に泣いた炭焼きの娘お清の物語と
修験者が小石に経文を書いて埋めた厳粛な場所
という2つの言い伝えがあるそうです。
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ゆるゆると登り始めると次第に
今まで以上の傾斜が続き
コース中唯一の鎖があり
木製階段を上ると
一息付ける丸太のベンチがあります。
その後、再び、上りとなり、
高さ2~3mくらいの岩を超えると
前白岩の肩に到着です。
お清平から45分かかりました。
コース案内板には
妙法ヶ峰、霧藻ヶ峰、和名倉山の
展望良好とありますが
樹木が育ち、何も見えません。
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それまでの上りと比べれば
平坦な道を15分で
前白岩山1776mに到着です。
途中、富士山の展望があるそうですが
気が付きませんでした。
前白岩山からは、北に
少しだけ近くの山が見えたので
休んで、軽食をとることにしました。
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前白岩山から20分下ると
旧白岩小屋の赤い屋根が見えました。
建物は壁が壊れて
廃墟のようになっています。
10分ほどのところに水場がありますが
まだ水は十分残っているので寄らずに
ダケカンバ林の急坂を
上りに取り掛かります。
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20分ほど登ると
白岩山に到着です。
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山頂は登山道から少し逸れていて
見逃してしまうかもしれません。
展望はありませんが
雲取山荘とほぼ同じ高度に達した満足感で
小休止にしました。
霧藻ヶ峰から2:20はオーバータイムです。
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不定期に繰り返す上りや下りと
少しずつ変化のある林の様子
柔らかな腐植土と所々にある小さな岩場
何気ない山歩きを
時間をかけて楽しみました。
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つづく