福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

維摩詰所説經・方便品第二

2022-02-08 | 諸経

維摩詰所説經・方便品第二

(維摩が種々の方便により人々を導くことを表す。聖徳太子の維摩経義疏では「維摩は元金栗如来であり人々を導くために仏弟子となって現世に現れた」としています。)

爾時、毘耶離大城中に長者有り、名て維摩詰。已に曾って無量諸佛を供養して深く善本を植ゑ、無生忍を得て辯才無礙。神通に遊戲して諸總持に逮び、無所畏を獲て魔の勞怨を降し、深法門に入り智度に善くして方便に通達す。大願成就して衆生心之所趣を明了す。又た能く諸根の利鈍を分別す。久しく佛道に於いて心已に純淑、大乗を決定し諸有の所作は能善く思量し佛威儀に住して心の大なること海の如し。諸佛咨嗟し弟子・釋・梵・世主の敬ふ所なり。人を度せんと欲するが故に善方便を以て毘耶離に居す。資財無量にして諸貧民を攝し、奉戒清淨にして諸毀禁を攝し、忍調の行を以て諸恚怒を攝し、大精進を以て諸懈怠を攝し、一心禪寂にして諸亂意を攝し、決定慧を以て諸無智を攝す。白衣たりと雖も沙門の清淨律行を奉持す。居家に處すと雖も三界に著せず。妻子有るを示せども常に梵行を修す。眷屬有るを現ずるも常に遠離を樂ふ。寶飾を服すと雖も而も相好を以て嚴身す。復た飮食すと雖も而も禪悦を以て味と爲す。若し博弈・戲處に至りても輒ち以って人を度す。諸異道を受けれども正信を毀たず。世典を明らかにすと雖も常に仏法を樂ふ。一切に敬せられて供養中の最と為り、正法を執持して諸の長幼を攝す。一切の治生(治世産業のこと)諧偶して俗利を獲ると雖も以って喜悦せず。諸四衢に遊びて衆生を饒益す。治政の法(俗世の法律)に入りて一切を救護す。講論處に入りて大乘を以て導く。諸學堂に入りて童蒙を誘開す。諸婬舍に入りて

欲之過を示す。諸酒肆に入りて能く其の志を立つ。若し長者に在りては長者中の尊として爲に勝法を説き、若し居士に在りては居士中の尊として其の貪著を斷ず。若し刹利に在りては刹利中の尊として教ふるに忍辱を以てす。若し婆羅門に在りては婆羅門中の尊として其の我慢を除く。若し大臣に在りては大臣中の尊として正法を以て教ゆ。若し王子に在りては王子中の尊として忠孝を以て示す。若し内官に在りては内官中の尊として宮女を化正す。若し

庶民に在らば庶民中の尊として福力を興さしむ。若し梵天に在らば梵天中の尊として誨ふるに勝慧を以てす。若し帝釋に在らば帝釋中の尊として無常を示現す。若し護世に在らば護世中の尊として諸衆生を護る。長者維摩詰、如是等の無量の方便を以て衆生を饒益す。其の方便を以て身に疾有るを現ず。其の疾を以ての故に、國王大臣長者居士婆羅門等及び諸王子并に餘の官屬、無數千人、皆な往いて問疾す。其の往者に、維摩詰は身の疾を以て廣く爲に説法す。「諸仁者よ、是の身は無常・無強・無力・無堅にして速かに朽ちるの法なり。信ずべからざる也。苦たり、惱たり、衆病の集る所なり。諸仁者よ、此の如きの身は明智者の怙まざる所なり。是の身は聚沫の如く撮摩すべからず。是の身は泡の如く久しく立つことを得ず。是の身は炎の如く渇愛に依りて生ず。是の身は芭蕉の如く中に堅あることなし。是の身は幻の如く顛倒より起る。是の身は夢の如く虚妄の見たり。是の身は影の如く業縁より現ず。是の身は響の如く諸因縁に屬す。是の身は浮雲の如く須臾に變滅す。是の身は電の如く念念に不住なり。是の身は主無く地の如しと爲す。是の身は無我にして火の如しと爲す。是の身は壽なし、風の如しと為す。是の身は無人なり、水の如しと為す。是の身は實ならず、四大を家と爲す。是の身は空爲り我・我所を離る。是の身は無知なり、草木瓦礫の如し。是の身は作無し、風力の轉ずる所なり。是の身は不淨なり、穢惡充滿す。是の身は虚偽たり。雖假に澡浴衣食を以てすと雖も必ず磨滅に帰す。是の身は災爲り、百一の病惱あり。是の

身は丘井の如し、老の為に逼めらる。是の身は定無し、要じ當に死んと為す。是の身は毒蛇の如く、怨賊の如く、空聚の如し。陰界諸入共に合成する所なり。諸仁者よ、此れ患厭すべし、當に佛身を樂ふべし。所以者何。佛身は即ち法身也。無量の功徳智慧より生じ、戒定慧解脱解脱知見より生じ、慈悲喜捨より生じ、布施・持戒・忍辱柔和・勤行精進・禪定解脱三昧・多聞智慧の諸波羅蜜より生じ、方便より生じ、六通より生じ、三明より生じ、三十七道品より生じ、止觀より生じ、十力四無所畏十八不共法より生じ、斷一切不善法集一切善法より生じ、眞實より生じ、不放逸より生じ、如是の無量清淨法より如來身を生ず。諸仁者よ、佛身を得て一切衆生の病を斷ぜんと欲せば、當に阿耨多羅三藐三菩提心を發すべし」。如是に長者維摩詰、諸の問疾者の為に如應に説法し、無數千人をして皆阿耨多羅三藐三

菩提心を發せしむ。(方便門終わり)

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