民俗断想

民俗学を中心に、学校教育や社会問題について論評します。

希望格差社会読了

2006-01-08 11:19:24 | 教育
 学習意欲をほとんどなくした生徒や、得点分布の上下2極化、夢は必ずかなうと意味もなくしがみつく風潮。気なる社会と学校の現象を、冷酷にデータをもとに手際よく処理したのが、この『希望格差社会』であった。グローバル化によって、勝組と負組がいやおうなく生じ、社会の各所に矛盾が生まれるという、読むほどに暗い話で、最後にあるという処方箋をたよりに読みきった。
 しかし、残念ながら処方箋というほどのものは示されていない。個人的対処には限界があるので、総合的な公共的取り組みが必要だという。そんなことは当たり前で、改めていうほどでもない。要は、今少子高齢化にばかり目がいっているマスコミや行政に対して、今を生きる若者への待ったなしの対応が求められていることを、どうやってもっとアピールするかではないだろうか。このままでは、意欲を失い義務教育を卒業しても、行き場のない若者が急増してゆく。勉強は不得意でも、手に職をつければ食べていかれる、という職業教育・職業観はできないものか。
 学校内部には、旧社会での教育の理想を説く論が幅をきかせ、社会の変化にまで目配りをした教育論は見られない。現場の教員は、古い教育観を持った上と、功利的要求の強い保護者、社会の変化に翻弄される子ども、この3者につきあげられ、心休まる日がない。


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