外出して時間があいたので、久しぶりに映画を見ました。調べてみて、時間的にも合った「クリーピー 偽りの隣人」です。話題になっていることは知っていましたが、あんなに恐ろしい映画だとは思いませんでした。西島秀俊扮する犯罪心理学者の主人公が引っ越した先の、香川照之扮する隣人が大変な人間だったという話です。脚本がしっかりしていて、2時間というもの映画に集中させられました。とっても疲れたし、見終わった後も映画の内容に寝るまで引きずられました。ビニール袋に入った多くの死体が衝撃的でした。
もう少し内容に踏み込むと、隣人は名前と人物が実は違っていて、香川照之扮する男がある家族を乗っ取って食いつぶしているのでした。その家の娘は当然ながらそのことを知りながら、恐怖からか支配されていて誰にも本当のことを話せないのです。ここで、原作にあったってはいないのですが、尼崎の連続家族失踪事件、そう、主犯の女が拘置所で自殺してしまい、真実が闇葬られてしまったあの事件を思い出しました。映画では、覚せい剤を打つことで反抗的な人物は支配することになっていましたが、現実では覚せい剤など使わず、言葉だけで精神をコントロールされていましたね。そうしてみると、映画も怖かったが現実のほうがもっと怖いじゃありませんか。何気ない日常の中にスルリと入り込み、いつの間にか香川照之に支配されている竹内結子の役割が恐怖をあおりましたし、現実にはいくつもの家族を食いつぶした犯人の女は、どうやって日常に入り込んだのか、考えるとこれも怖くなりました。自分では何も手を下さずに、妄想を吹き込むことで周囲の者に汚れ仕事をさせる。オームの手口に通ずるものがあるとも感じました。
その後の尼崎事件の審理はどうなっているのか。真実はいくらかでも明らかになったのか、知りたくなりました。それがわからないと、人はいつでもモンスターになるのだというザワザワとした思いにつきまとわれます。
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