○ドヴォルジャーク 弦楽五重奏曲第3番 作品97 J.スーク(Va)、スメタナ四重奏団 1973年
○ドヴォルジャーク 弦楽四重奏曲第9番 作品34 スメタナ四重奏団 1964年
昨日のアシミーレ・カルテットのアメリカを聴いて、無性に聴きたくなったのが、この作品97。
ドヴォルジャークがニューヨークのナショナル音楽院の院長に招へいされ、アメリカの地を踏んだのが、1892年9月。翌年1月~5月にかけてアメリカ時代の最初の作品として作曲された交響曲は、アメリカから故郷への便りということで「新世界より」名付けられ、彼の一番の代表作となりました。黒人霊歌やインディアンの音楽とボヘミヤの音楽が結びつき、これまでの作品とは少し趣の異にします。
ドヴォルジャークはホームシックにかかり、この年の夏休みには故郷に帰りたいと思っていました。彼がアメリカに渡る際、船上をともにしたチェコ移民2世のコヴァルジークが、トヴォルジャークのアメリカの地での助手となって、行動をともにしており、そのコヴァルジークの強い進めにより、コヴアルジークの故郷、アイオワ州のチェコ移民、スピルヴィルで休暇を過ごすことになったことは有名な話で、アメリカの解説書には必ず書いてあります。
アメリカがわずか3日間でスケッチを書きあげられたことは有名な話ですが、それに引き続いて作曲されたのが、この弦楽五重奏曲です。アメリカとは兄弟的な関係にあると言ってよく、アメリカ以上にアメリカ的な曲と言えます。インディアンの打楽器のリズム等インディアンま音楽要素が多く採り入れられています。冒頭、ヴィオラが哀愁あるメロディを奏で、私は、新世界の序奏と雰囲気が似ているるではと思っています。
日本人として最初のドヴォルジャークの評伝を書いた渡鏡子さんによれば、「スピルヴィルの快い印象を内容とした軽いものである。」とのことですが、そんなことはない、とても充実した内容の音楽と思います。もっと有名になってよい曲です。
演奏は、さすがにスーク、スメタナ・カルテットだけあって隙のない、完璧といってよいのではないかと思います。
作品34のカルテットは、彼が小さい子供を次々に亡くした頃の作品で、とても暗い印象を受けます。1楽章の冒頭など、すすり泣くような悲痛感があります。