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バレンボイムの鬼気迫る白熱のライヴ!ベルク/歌劇「ヴォツェック」

2010-01-15 02:46:22 | オペラ
 今日は鬼才ダニエル・バレンボイム(Daniel Barenboim/1942~ )が1994年4月、ベルリン国立歌劇場で上演したアルバン・ベルク(Alban Berg/1885~1935)のオペラ「ヴォツェック(Wozzeck)」の鬼気迫るライヴ盤(写真/独テルデック/0630-14108-2/2CD)を紹介したい。
 ベルクの歌劇「ヴォツェック」は彼の無調主義のオペラとして好評を博した初の作品でもあった。3幕15場から構成されるこのオペラの原点は23歳で夭折した自然科学者で医者でもあったゲオルク・ビュヒナー(Georg Büchners/1813~1837)の未完の戯曲「ヴォイツェック(Woyzeck)」にある。ビュヒナーは1821年ライプチヒで実際に起きた殺人事件に関心を持ちこの戯曲に着手したと言われている。オペラのタイトル「ヴォツェック(Wozzeck)」はこの未完の戯曲が発見された際に題名を誤って「Woyzeck」を「Wozzeck」えと表記されたためそれがそのままオペラのタイトルになった。
 このライヴ録音による全曲盤はバレンボイムにとっても初のベルクのオペラ録音でこの作品が持つ抒情性を奥深く表現した名演に仕上がっている。彼はまた1997年11月に同歌劇場公演で来日した際にもこのオペラをこのCD盤のキャストとは一部異なるが上演し好評を博している。このライヴ盤は鬼才バレンボイムのまさに鬼気迫る白熱の名演と言えるであろう。参考までにこのライヴ盤の主要キャストを下記に挙げておきたい。

      ヴォツェック:フランツ・グルントヘーバー(バリトン)
      鼓手長   :マーク・ベーカー(テノール)
      アンドレアス:エントリク・ヴォトリヒ(テノール)
      大尉    :グレアム・クラーク(テノール)
      医者    :ギュンター・フォン・カンネン(バス)
      マリー   :ヴァルトラウト・マイアー(メゾ・ソプラノ) ほか