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「氷河期世代を公務員に」すると一層鮮明になる官民格差、安倍の「買収」政策 -「官製春闘」と同じ

2019-12-10 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
氷河期世代の公務員採用は、氷河期世代のためではない。
氷河期世代は馬鹿にされている訳で、本来なら怒るべきである。

何故なら、教員等の公務の年齢構成を見れば一目瞭然、
(舞田敏彦氏がSNSで公開されている図表が分かり易い)
氷河期世代は「本来、採用されるべきなのに採用されなかった」からだ。

年上の世代の雇用と待遇を守るために氷河期世代が人柱とされたのであって、
「採用する」ではなく「謝罪した上で採用させて頂く」が理の当然である。

特に氷河期世代の採用をバッサリ削減していた時期に
厚待遇(国民にとっては高コスト)だった団塊世代の罪は重い。
本来なら団塊世代の退職金に課税して氷河期世代支援の予算にすべきだった。
団塊が逃げ切って多額の退職金を受け取ってから採用するのだから、
これは「世代間搾取」以外の何ものでもなかろう。

また、最近の公務に採用される人材は明らかに質が落ちている。
不祥事が信じ難い程に増えており、一度に教員3名が懲戒処分の新潟、
今年だけで6人の逮捕者が出た京都府警など酷い例は枚挙に暇がない。

これは2000年代半ばの好況期(現在より高成長)には起きなかった現象であり、
少子高齢化による構造的な人手不足による人材劣化が進んでいるのだ。
つまり氷河期の中途採用は倫理や善意ではなく「穴埋め」でしかない


しかも、兵庫県に遅れてから真似し始めた安倍は、
氷河期世代のごく一部を国家公務員にすることで、
安倍自身がもたらした醜悪な官民格差拡大を一層明確にしている。

何しろ、安倍の典型的な買収政策「公務員65歳定年」導入によって
国家公務員一人につき「生涯賃金4000万円増」と試算されており、
トータルでは消費税引き上げの1%分を超える巨額(兆円規模)である。

このような醜悪な官民格差が拡大しているために
自治体の例では400倍もの応募があるのである。

氷河期世代は完全に安倍に馬鹿にされているのだ。
僅かな者だけが中途採用で国家公務員になり一気に賃金改善、
(相変わらず年功賃金だから、成果を上げなくとも安定所得になる)
他の多くは外国人と一緒の職場で低賃金労働を強いられるのだから。

▽ 悪しき「官邸主導」による官僚の疲弊・意欲低下が深刻、勤労統計の捏造も安倍が元凶

『官僚たちの冬 霞が関復活の処方箋』(田中秀明,小学館)


当ウェブログが指摘した悪癖を、矢張り安倍政権が益々深刻なものにしている。

「公務員・医師・看護師・弁護士といった安定職に就いた大人は、
 その安定高収入をよく知っており、その厚待遇を子供に受け継がせたいと願っているのだ。
 (この中で看護師は賃金水準でやや不利だが、公立病院であれば話は違ってくる)」

「自称庶民でありながら、税負担の重い欧州人より
 明らかに可処分所得の高い中高所得層こそ、
 現下の日本の雇用問題を悪化させ「家族格差」を拡大させる利己主義の根源である」

「広島県の自治体の職員採用試験で、口利きの謝礼として
 300万円を受け取った元市議会議員が逮捕された」

「問題の根本にあるものを考えると根は深い。
 300万円を口利きの謝礼として出すということは、
 300万円を払ってもそれ以上の利得がある、ということだ」

「民間企業で採用の口利きで謝礼を出した例など聞いたことがない。
 自治体職員でこうした恥ずべき事件が発生した事実は、
 民間企業よりも得られる利得が大きいということを意味する」

「都や府以外の道県の官民格差は20%以上はあるとされるので
 充分「元が取れる」口利き代だと言えよう」



「基本的に組合は社会正義の追求者でもなければ、社会正義の実現者でもない。
 露骨に言えば所謂「三百代言」であり、
 組合費を払ってくれる特定集団の利害のために働く代弁者に過ぎず、
 本質的には雇われたエージェントである」

「今も相変わらず国民から冷ややかな目を浴びているのにも気づかず
 ご都合主義の情報操作を垂れ流している惨状である」

「例えば日本の正規公務員1人当たりの年功賃金の高額さを無視して
 「日本の公務員数は少ない」「日本は小さな政府」と喚いているのは醜悪だ」

「正規の厚待遇のしわ寄せを受けている非正規公務員への差別待遇も大して気にせず
 挙げ句の果ては復興のための特例法による給与削減に怒って提訴し、完敗している始末。
 彼らの退職金の税控除を即時全廃して非正規労働者への給付付き税額控除や現物給付に充当すべきだろう」

「フランスの公務員は日本の正規公務員より全般的に賃金水準が低いし、
 税負担・社会保険料負担が非常に重くその分を育児政策や貧困対策に拠出している。
 税負担が著しく低い日本の正規公務員よりも明確に手取りは低いのである。
 そうした「不都合な事実」を隠蔽して姑息な情報操作に必死になっているから
 国民から冷淡な目で見られるのである」

「マイナビ調査によれば、子供を持つ公務員は
 我が子を「公務員にしたい」とする意見が60%を超えており、
 医師や弁護士と同じような高率になっている。
 こちらの方が「本音」なのである。
 官公労のプロパガンダは利害関係を裏に隠した「建て前」に過ぎない」

「北欧諸国と比較して、日本の公共部門は明らかに「効率性」「透明性」の評価が低い。
 国際評価や世界ランキングを継続的に見ていれば明らかである。
 1人当たり所得が高いのに非効率的で透明性に欠けるのでは話にならない」

「「先進国」北欧に倣って平等でフラットな賃金体系に改め、
 公共部門でも合理的なビルド&スクラップを断行すべきである。
 (成長率も労働生産性も高い北欧では、公務員でもリストラ・転職が常識)」

安倍「癒着」政権の大企業への利益誘導政策は、社会全体を腐敗させ利己主義を蔓延させている。

 ↓ 参考

「子は公務員にしたい」「自分と同じ医師・公務員になって欲しい」- 安定志向は若者ではなく、大人が元凶
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9bc9282983d90a3bd51e8bc50dbfe0d6

▽ 日本より高成長・高生産性のスウェーデンは、公務の賃金がフラットで手当や退職金はごく僅か





『スウェーデン・パラドックス』(湯元健治/佐藤吉宗,日本経済新聞出版社)


矢張り、完全に当ウェブログの警告通りだったと言えよう。

「衆院選で全く問われなかった点として重要なのは「公務員の定年延長」である。
 あらゆる点で次元が低く、金正恩のお蔭で延命できた安倍政権は、
 公共部門でも果てしなく低レヴェルで、只でさえ非効率なのに更にそれを悪化させている」

「業界の献金と引き換えに公共事業を濫発して生産性を低下させたのも重罪だが、
 更に公務員の定年延長という芸のない政策で霞が関を「買収」し、
 公共部門の人材流動性を低下させ無駄と非効率を増殖させようとしている」

「これは、職にしがみつく保守退嬰の労働者を増やすだけでなく、
 公共部門の新陳代謝と活力を失わせる点で日本経済にマイナスだ」

「安倍政権の腐敗した経済政策によって大企業ばかりにカネが回っているから、
 おこぼれを貰ってすっかり気分を良くし、国益を忘却する情けない官僚もいるようだ。
 (そうした愚かな近視眼のため日本社会が甚大な被害を被ることになろう)」

「同時に、安倍政権の本性が中共やロシアと同じ「国家資本主義」であり、
 愚劣な権威主義と経済統制によって最終的には経済成長を損ねるものだということも意味する」

「もし安倍政権がまともな政策リテラシーを持っているなら、
 定年延長は個々の公務員に新たなチャレンジの機会も提供するものとし、
 待遇に差をつけることによりただ安定を求める高齢公務員から
 高い意欲を持ち社会システムを変革できる人材に予算と所得を移転させる筈だ」

「その程度もできない(無能だから考え付きもしない)のだから、
 安倍政権は保身的で薬にも毒にもならない、高コストの公務員を増殖させることになる」

「定年延長は、明らかに悪しき政策である。
 公務員が定年延長のため自己利益の最大化を図って
 間違いなく「事勿れ主義」に陥る。容易に弊害が予想できるが、
 霞が関を「買収」して黙らせたい安倍政権は日本社会の未来など全く考えていないのだ。
 (目先の選挙が勝てればいいという腐り切った体質なのである)」

「定年延長は確実に日本の財政を蝕む。
 北欧のように賃金カーブをフラットにせず、ただ「利権」に等しい人事制度にしたために、
 ビルド&スクラップを怠って職へのしがみつきを推奨するようなシステムにしたために、
 日本は民間だけでなく公務も保身と停滞をもたらす悪しき体質に傾いている」

「労働者に占める公務員の割合が日本よりも高い国は幾つもあるが、
 フランスは日本と似た低成長だがスウェーデンは日本より遥かに高成長だ。
 スウェーデンの公共部門の特徴は誤摩化しの多い安倍政権と違って数字に厳しいこと、
 積極的労働市場政策が公務員に対しても適用されて転職やリストラが多いことだ」

「スウェーデンの成長率も女性就労率も労働生産性も高い理由ははっきりしている。
 だから、日本が低成長で労働生産性も低いこと、政府の効率性が低い理由も明白である。
 安倍政権をはじめ、歴代自民党政権の政策が根本的におかしいからだ」

「日本国民は、こうした次元の低い安倍政権に投票すること自体が愚行で、
 日本経済を低成長に導き、公共部門を停滞と非効率に陥らせる元凶であると悟らねばならない。
 (悟らなくともいずれ現実によって思い知らされるのではあるが、それでは余りに遅過ぎる)」

日本経済が低迷し、すっかり意欲を失っているのも当然である。
この国は活力ある資本主義国ではなく、安倍政権に「買収」された国家資本主義に堕したのだ!

 ↓ 参考

公務員の定年延長で「消費税5%分」の国民負担増、霞が関にもバラ撒き - 安倍政権は官庁も実質「買収」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/38329989c4626cc63585695cdf887fca

官公労がまた顰蹙発言、フランスを範とするなら年功賃金の削減を-1人当たり純所得にも触れないご都合主義
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b67588867d518c46bcdd41a46aa56818

公務員採用の口利きで300万円の謝礼、元市議会議員を逮捕 - 生涯給与の多さが問題の根本に
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/03669da14eee1d550263a959b08a0a88

公務員の賃金フラット化は当然である - 退職金2000万円超でも不満顔、「質」も北欧に遠く及ばない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/404569ae1c83f2ca18a6294dfeafc868

地方公務員に毎年3兆円超の退職金給付、なぜ課税強化しないのか - 今後20年間で62兆円以上に達する
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ae4eaf97d3de716d5616acc0aacc8d8c

▽ 日本の正規公務員の年功賃金カーブは、意図的に大企業に近い高コストなものとされている





『公務員の給与はなぜ民間より4割高いのか』(北見昌朗,幻冬舎)


首相、氷河期世代を国家公務員に中途採用する方針表明(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191126/k00/00m/040/213000c.html
”安倍晋三首相は26日、バブル崩壊による就職難を経験した「就職氷河期世代」を国家公務員として中途採用する方針を表明した。
〔中略〕
 首相は会議で「もっと早く就職氷河期の方々に対する政策を実行すべきだった」と「反省の弁」を述べた。対象となるのは30歳代半ば~40歳代半ばで、バブル崩壊後、企業が採用者数を絞った頃に高校・大学を卒業した世代。首相は兵庫県宝塚市や同県三田市がこの世代の中途採用を始めたことを念頭に「地方自治体でも動きが見られる中、国も積極的に取り組む」と述べ、西村康稔経済再生担当相に具体的な計画をとりまとめるよう指示した。
 氷河期世代は非正規雇用で働くことを余儀なくされた結果、貯蓄が少ない▽年金加入が困難▽就労経験が不十分だとみなされて正社員になれない――などの課題を抱える人が多いとされる。政府は不安定な仕事に就いている人や長期間、無職の人が現時点で100万人程度いるとみている。職業訓練の強化などを通じて3年間で、うち30万人を正社員にすることを目指している。【杉直樹】”

これまでの「実績」で言えば、安倍が「反省」と口にしたということは
全く反省などしておらず選挙での「買票」を企んでいる証拠である。
本音としては愛知や兵庫に出遅れたので便乗して人気取りを図っただけだ。
(その証拠に、大騒ぎになった「桜を見る会」の名簿など不都合な情報はを隠蔽したまま)


兵庫県が就職氷河期世代採用へ 都道府県では愛知に次いで2例目(毎日新聞)
https://mainichi.jp/articles/20191202/k00/00m/040/173000c.html
”兵庫県は2日、高校、大学卒業時にバブル崩壊後の採用難に直面した「就職氷河期世代」を県職員として採用する考えを明らかにした。10人程度を見込んでおり、井戸敏三知事は「経営者の団体に働きかけるなどして民間に広がるよう期待する」としている。
 対象は来年4月1日時点で35~45歳で、学歴や職務経験は不問。募集する職種は、一般事務5人▽総合土木3人▽警察事務1人▽教育事務1人。
〔中略〕
 井戸知事は「即戦力を期待するだけでなく、就職氷河期対策を兼ねており、採用人数の若干増も考える」と述べた。県人事委員会任用課によると、都道府県では愛知県に次いで2例目。和歌山県が来春の採用で「氷河期枠」を設ける予定という。
 兵庫県内では今年、宝塚、三田両市が同様の採用試験をし、求人に対して400倍を超える応募があり、注目を集めた。【春増翔太】”

採用自体は先ほど述べたように「遅過ぎた」位で、
本来なら採用で氷河期を「大量虐殺」して我が身を守った
高齢層が謝罪して退職金を差し出し、謝罪すべきであろうに。
しかも厚待遇を享受出来るのはごく一部に過ぎず、
他の大多数は低賃金不人気の職を強いられる。


公務員の給与増は結局ダメ職員を増やすだけだ(president)
https://president.jp/articles/-/30370
”■「民間の給与が上がっているから」という大義名分
 またしても公務員の給与が引き上げられることが決まった。政府は10月11日に閣議を開いて、2019年度の国家公務員一般職の月給とボーナスを増額する給与法改正案を閣議決定した。8月の人事院勧告を受け入れ、月給を平均387円、ボーナスを0.05カ月分それぞれ増やす。公務員給与の増額は6年連続だ。
 対象は国家公務員27万7000人だが、人事院勧告に沿って改定される地方公務員も含めると約330万人に影響する。財務省などの試算によると、引上げによって2019年度には国家公務員で約350億円、地方公務員で約680億円人件費が増えることになる。
 人事院勧告は毎年8月に出されるが、目的は民間と国家公務員の給与水準を合わせること。スト権などが制限されている公務員自身が給与の増額を要求する術がないので、代わって人事院が民間並みを確保するよう給与改定額を決定、政府に対して「勧告」する仕組みになっている。第2次以降の安倍内閣ではこの勧告をほぼ完全に受け入れてきた。
〔中略〕
■庶民感覚からずれている総裁談話
 8月の人事院勧告で、人事院は次のような総裁談話を出した。
 「本年4月分の月例給について、民間給与が国家公務員給与を平均387円(0.09%)上回る結果となりました。そのため、初任給及び若年層について俸給月額を引き上げることとしました。また、特別給(ボーナス)についても、民間事業所における昨年8月から本年7月までの直近1年間の支給割合が公務を上回ったことから、年間4.5月分に引き上げることとしました」
 あくまで民間が上昇しているとしているのだが、このあたり、庶民感覚とは違う。給与が増えているのは大企業だけで、中小企業の働き手には賃上げの実感が乏しい。また、景気の先行きに不透明感が漂っていることもあり、大企業でも2019年夏のボーナスは前の年に比べて減額されているケースも少なくない。
 人事院は4月の月給をベースに比較しているが、それ以降、急速に民間給与は減っていることが統計で明らかになっている。厚生労働省が10月8日に発表した「毎月勤労統計調査(速報)」によると、8月の「実質賃金」は前年比0.6%減少と、前年同月を8カ月連続で下回った。
名目賃金に当たる「現金給与総額」も27万6296円と前年同月を0.2%下回り2カ月連続でマイナスとなった。日本経済新聞は「8月の実質賃金、前年比0.6%減 賞与の減少響く」と報じていた。

■「人材確保のため」は言い訳ではないか
 この「毎月勤労統計調査」は今年の初めに発覚した「不正統計」で大きな問題になったもので、統計対象企業の入れ替えなどの影響が大きい。
 その後、政府は、過去からの時系列の変化を見るには統計数字は不適切だとして、集計対象を共通の事業所だけにした「参考値」を公表してきた。何とか、給与が増えているということを数字で示したかったのだろう。
 その「共通事業所」の現金給与総額は、政府が数字を公表した2017年8月以降、ずっとプラスが続いてきたのだが、ついに2019年7月には、このデータでも0.9%減とマイナスになった。どうやら、民間の給与は増加が止まり、再びマイナスになり始めているのだ。
〔中略〕
 人事院は「民間が若年層への配分を増やす中で、人材確保のために初任給などを引き上げた」と説明しているが、苦し紛れの言い訳だろう。

■有能な若手人材ほど「今の高い報酬」を求める
 確かに、少子化による働き手の不足によって公務員でも若手の人材確保が難しくなっているのは事実だ。かつて、東京大学法学部を卒業したエリートは霞が関に就職するというのが当たり前だったが、今やトップ人材は官僚にならない。外資系のコンサルティング・ファームや金融機関などが就職先として人気だが、いずれも若いうちから高給が支払われる。また、霞が関の各省庁に就職しても、数年で辞めていく若手公務員が少なくない。期待と現実のギャップで2~3年で辞めるのならともかく、7~8年たってこれから働き盛りという年頃で辞めていく人が少なくない。中堅・若手の相次ぐ退職に各省庁は頭を悩ませている。
 そのひとつの理由が、仕事量に給与が見合っていないことだと言われる。
公務員の俸給制度は勤続年数に重点が置かれているため、若手の給与は低い。その代わり、基本的にクビになることはないし、将来にわたって収入が増えていくので「安定」しているというわけだ。だが、民間企業の間でも終身雇用が崩れつつある中で、将来にわたる安定を求め、「今は苦しくても将来は安泰だ」と考える若者は着実に減っている。とくに有能な人財ほど、将来よりも今の高い報酬に惹かれる。人手不足が深刻化する中で、霞が関は有能な若手人材の草刈り場になっている。

■雀の涙のような引き上げでは不十分
 本当に人事院が、有能な若手人材の確保を狙うのならば、雀の涙のような賃金引上げで効果があると考えるのは不十分だろう。
 実は、自民党の行政改革推進本部が、「公務員制度改革の徹底について」という意見書を2019年3月8日に出している。そこでは、2008年の公務員制度改革基本法に明記されながら、いまだに実現していない改革を早急に実行することを求めているのだが、その柱が、能力・実績主義の徹底による若手官僚の抜擢の仕組みの導入なのだ。
 意見書には、①幹部職員に求められる役割を明確に示すこと、②民間からの幹部ポストへの登用の拡大、③抜擢人事に不可欠な「特例降任」の実施、④能力・実績主義の人事評価の徹底――が本来実行されるべき事として明記されている。そのうえで、「能力・実績主義を一層貫徹するために、給与制度の見直しこそ最重要課題である」と結論付けている。
 要は、定年までの雇用を前提にした年功序列の賃金制度ではなく、優秀ならば若手でも幹部ポストに抜擢し、比較的高い給与を支払う給与制度に変えるべきだとしているのだ。
〔中略〕
■定年廃止、能力主義の人材配置が必要
 与党である自民党ですら改革を求めている霞が関の人事制度だが、政府や霞が関はまったく耳を貸そうとしないのが現状だ。年功序列の給与制度は、一定以上の勤続年数がたち、ポストに就くようになると、一気に待遇が改善される。
 霞が関で課長になれば1100万円から1400万円、局長級は1800万円から2000万円、事務次官ともなると2500万円から3000万円になるとされる。「公務員の給与は安い」と一般的に信じられているのは、現業職の現場や課長補佐以下の職員の給与である。今回の給与法改正は一般職の給与改定だが、幹部の給与もこれに連動して引き上げられることになる。
 さらに、公務員の定年の引き上げもほぼ固まっている。現在60歳の定年を、段階的に65歳まで延長する方針だ。民間企業の場合、60歳の定年を機に再雇用となり、給与水準が大幅に引き下げられるのが一般的だが、公務員は60歳からはそれまでの7割程度とするとされている。「民間並み」などどこ吹く風なのだ。
 定年が引き上げられ、高齢職員がポストに居座り続けることになれば、ますます若手に重要なポストは回ってこない。
課長になるのが遅くなれば、当然、若手の給与は低いまま放置される。
〔中略〕
----------
磯山 友幸(いそやま・ともゆき)
経済ジャーナリスト
1962年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。日本経済新聞で証券部記者、同部次長、チューリヒ支局長、フランクフルト支局長、「日経ビジネス」副編集長・編集委員などを務め、2011年に退社、独立。著書に『国際会計基準戦争 完結編』(日経BP社)、共著に『株主の反乱』(日本経済新聞社)などがある。
----------”

しかも安倍が官邸に忠実なヒラメ官僚を量産しようとしてか
定年延長を「利権化」させてしまったので歪んだ構造が更におかしくなっている。
氷河期も、採用され喜んで安倍の忠実な「走狗」となるなら
祖国日本や同胞への「裏切り者」に他ならないことをよくよく認識しなければならない。
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