経済産業省のクリーンヒットが出ました!
排出量取引を原理主義的に敵視せず、
巧みに日本の優れた技術を活かして
排出二酸化炭素を削減しつつ国益にも資する。
世界のエネルギー問題の解決にも貢献できる。
当ウェブログで以前より主張してきた通りの方向性です。
但し、まだ課題は残っています。
自動車や家電においても省エネ技術に排出枠を設定し、
「新しい省エネ技術の普及分を削減量に算入」する。
そして国内製造業が新興国の追い上げを受けている
ドイツ・韓国・台湾・スウェーデンと同盟を組み、
国際世論への多数派工作を行うのです。
(日本一人勝ちの制度を企むと失敗します)
日本に豊富な木質バイオマスの利用分も滑り込ませ、
地域経済の振興を図ることすら可能です。
丸紅研究所の柴田明夫氏の記す通り、
日本には優秀な技術がまだまだ眠っています。
独自の国際排出量取引制度、経産省準備開始(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100516-OYT1T00409.htm
”日本企業が原子力発電所などを新興国や途上国に輸出した場合、相手国での温室効果
ガス削減量を日本国内の排出枠に算入できるようにする仕組みを実現するため、経済
産業省が、6月から事前調査を始めることが15日わかった。政府の新成長戦略に盛
り込み、インフラ(社会基盤)輸出による経済成長と、温暖化対策の推進の両立を図
る。
アジアの新興国や途上国などと2国間の協定を結び、地球規模で温暖化対策を進める。
事前調査には、インドネシアの協力が得られる見通しだ。日本が、原発や高効率の石
炭火力発電技術などを輸出した場合の相手国の温室効果ガス削減量を計測し、独自制
度の運用を確認する。
日本独自の国際排出量取引制度として2013年にも導入し、温室効果ガスの排出量
を1990年比で25%削減する政府目標の達成につなげたい考えだ。
先進国が途上国で行った環境対策を自らの排出枠に算入する制度は、国連の「クリー
ン開発メカニズム(CDM)」がある。しかし、手続きが煩雑なうえ、原発の輸出が
対象外であることなど、使い勝手の悪さが指摘されていた。
経産省の試算では、中国が計画するすべての石炭火力発電所に日本の先端技術を導入
すると、日本の年間排出量の約6%に相当する約8300万トンの温室効果ガスを削
減できるという。”
→ 着眼点は完璧でしょう。
電機メーカーや自動車メーカーも当然、
このスキームに参加すべきです。
ただ露骨な「日本一人勝ち」構造だと
世界から袋叩きに遭うので注意!
あと、記事中の「独自制度の運用を確認」は
「独自制度運用の成果を検証」の誤りだと思います。
石炭火力 インドに省エネ指南 経産省 インフラ売り込みへ(産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20100511043.html
”インドに対する新たなエネルギー協力として、経済産業省が電力会社の技術者を派遣
し、石炭火力発電の高効率運転管理のノウハウを“指南”する事業に乗り出す。電力
需要の増大や温暖化対策でインドはエネルギー供給の約4割を担う石炭火力の性能改
善を迫られており、経産省としては日本の技術を売り込む足がかりとしたい考えだ。
運転管理の支援は、早ければ秋にも現地の石炭火力発電所から3カ所程度を選定。日
本の電力会社の技術者が設備劣化や維持管理の仕方を調べたうえで運転効率を高め、
二酸化炭素(CO2)排出量を削減する改善策を助言する。
少ない石炭で発電出力を高める運転管理のシミュレーションなどの先端技術を紹介す
る一方、日本の支援で削減したCO2排出量を日本の削減分に算入できるようにする
2国間協定の締結も働きかける。
経産省によると、世界の石炭火力の新増設需要の規模は2030年までに約230兆
円。今回の支援の経験を生かした技術支援をインドネシアやベトナムといったアジア
各国にも広げることで、石炭火力関連設備をインフラ輸出の“目玉”に育てたい考え
だ。
新興国に対し、三菱重工業や日立製作所などは発電効率の高い「超臨界圧」と呼ばれ
る設備の売り込みを進めている。ただ、導入にあたっては高度な運転技術と安定した
維持管理が求められるだけに、現地の技術水準の向上が課題になっている。”
こちらは石炭火力です。
恐らく、削減分は技術提供側(日本)と受入れ側(途上国)とで
折半せざるを得なくなると予想されますので
そうそう上手くはいかないのですが、正しい方向ではあります。
ただ産経新聞は最近、日本の石炭火力を持ち上げ過ぎです。
いつもの悪癖でJパワーの技術もハイスペック・高コスト過ぎて
全く売れない可能性もありますので。。
「現地の技術水準」だけでなく相手のニーズを掴めるかも重要。
マーケティングでサムスンに敗れた日系電機の教訓を忘れてはいけません。
▽ 環境対策とは、もはや世界産業戦争なのです。
排出量取引を原理主義的に敵視せず、
巧みに日本の優れた技術を活かして
排出二酸化炭素を削減しつつ国益にも資する。
世界のエネルギー問題の解決にも貢献できる。
当ウェブログで以前より主張してきた通りの方向性です。
但し、まだ課題は残っています。
自動車や家電においても省エネ技術に排出枠を設定し、
「新しい省エネ技術の普及分を削減量に算入」する。
そして国内製造業が新興国の追い上げを受けている
ドイツ・韓国・台湾・スウェーデンと同盟を組み、
国際世論への多数派工作を行うのです。
(日本一人勝ちの制度を企むと失敗します)
日本に豊富な木質バイオマスの利用分も滑り込ませ、
地域経済の振興を図ることすら可能です。
『原油100ドル時代の成長戦略』(柴田明夫,朝日新聞出版) |
丸紅研究所の柴田明夫氏の記す通り、
日本には優秀な技術がまだまだ眠っています。
独自の国際排出量取引制度、経産省準備開始(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100516-OYT1T00409.htm
”日本企業が原子力発電所などを新興国や途上国に輸出した場合、相手国での温室効果
ガス削減量を日本国内の排出枠に算入できるようにする仕組みを実現するため、経済
産業省が、6月から事前調査を始めることが15日わかった。政府の新成長戦略に盛
り込み、インフラ(社会基盤)輸出による経済成長と、温暖化対策の推進の両立を図
る。
アジアの新興国や途上国などと2国間の協定を結び、地球規模で温暖化対策を進める。
事前調査には、インドネシアの協力が得られる見通しだ。日本が、原発や高効率の石
炭火力発電技術などを輸出した場合の相手国の温室効果ガス削減量を計測し、独自制
度の運用を確認する。
日本独自の国際排出量取引制度として2013年にも導入し、温室効果ガスの排出量
を1990年比で25%削減する政府目標の達成につなげたい考えだ。
先進国が途上国で行った環境対策を自らの排出枠に算入する制度は、国連の「クリー
ン開発メカニズム(CDM)」がある。しかし、手続きが煩雑なうえ、原発の輸出が
対象外であることなど、使い勝手の悪さが指摘されていた。
経産省の試算では、中国が計画するすべての石炭火力発電所に日本の先端技術を導入
すると、日本の年間排出量の約6%に相当する約8300万トンの温室効果ガスを削
減できるという。”
→ 着眼点は完璧でしょう。
電機メーカーや自動車メーカーも当然、
このスキームに参加すべきです。
ただ露骨な「日本一人勝ち」構造だと
世界から袋叩きに遭うので注意!
あと、記事中の「独自制度の運用を確認」は
「独自制度運用の成果を検証」の誤りだと思います。
石炭火力 インドに省エネ指南 経産省 インフラ売り込みへ(産経新聞)
http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20100511043.html
”インドに対する新たなエネルギー協力として、経済産業省が電力会社の技術者を派遣
し、石炭火力発電の高効率運転管理のノウハウを“指南”する事業に乗り出す。電力
需要の増大や温暖化対策でインドはエネルギー供給の約4割を担う石炭火力の性能改
善を迫られており、経産省としては日本の技術を売り込む足がかりとしたい考えだ。
運転管理の支援は、早ければ秋にも現地の石炭火力発電所から3カ所程度を選定。日
本の電力会社の技術者が設備劣化や維持管理の仕方を調べたうえで運転効率を高め、
二酸化炭素(CO2)排出量を削減する改善策を助言する。
少ない石炭で発電出力を高める運転管理のシミュレーションなどの先端技術を紹介す
る一方、日本の支援で削減したCO2排出量を日本の削減分に算入できるようにする
2国間協定の締結も働きかける。
経産省によると、世界の石炭火力の新増設需要の規模は2030年までに約230兆
円。今回の支援の経験を生かした技術支援をインドネシアやベトナムといったアジア
各国にも広げることで、石炭火力関連設備をインフラ輸出の“目玉”に育てたい考え
だ。
新興国に対し、三菱重工業や日立製作所などは発電効率の高い「超臨界圧」と呼ばれ
る設備の売り込みを進めている。ただ、導入にあたっては高度な運転技術と安定した
維持管理が求められるだけに、現地の技術水準の向上が課題になっている。”
こちらは石炭火力です。
恐らく、削減分は技術提供側(日本)と受入れ側(途上国)とで
折半せざるを得なくなると予想されますので
そうそう上手くはいかないのですが、正しい方向ではあります。
ただ産経新聞は最近、日本の石炭火力を持ち上げ過ぎです。
いつもの悪癖でJパワーの技術もハイスペック・高コスト過ぎて
全く売れない可能性もありますので。。
「現地の技術水準」だけでなく相手のニーズを掴めるかも重要。
マーケティングでサムスンに敗れた日系電機の教訓を忘れてはいけません。
▽ 環境対策とは、もはや世界産業戦争なのです。
『エコ・ウオーズ 低炭素社会への挑戦』(朝日新聞特別取材班) |