みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

世界の風力発電能力は2010年に2割増、中国が初の1位に - 国内で愚かな議論の続く日本と対照的

2011-05-06 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
また池田信夫教授が古い議論を持ち出しています。
「風力発電は環境破壊がひどい」だそうです。

福島第一原発と比較してどちらが「環境破壊がひどい」のか
誰にとっても明らかではないのでしょうか。
核廃棄物が我々にとって風車よりクリーンだとでも言うのだろうか。

おまけにこのような大袈裟なtweetがあったので記録しておきます。

「浜岡停止、他の原発再稼働ができなくなると、これから経済は大変なことになる。
 経済低迷、倒産、失業増、低賃金、増税、国債増。結局被害者は今年の新卒予定
 者や、派遣・契約社員等。僕は十分な警鐘を鳴らした。杞憂に終わればいいが、
 残念ながら現実のものになりそうだ。」

これはほぼ確実に杞憂に終わるので全く心配ありません。
この程度の警鐘は歴史上よくあるオオカミ少年にしかならない。
財政破綻の可能性は大きいが原発では全くなく社会保障で潰れる。
(歳入と歳出を見れば小学生でもすぐ分かる)

近代史で言えばロンドン軍縮会議の際の「6割アレルギー」と同類です。
歴史的事実として、この手のヒステリックで終末論的な予言は皆外れています。
矮小な個人の予知能力などその程度のものでしかない。

全原発が停止しても電力ピークさえカットできれば問題はない。
OECDの指摘通りに日本の火力発電の稼働率は低過ぎるのだ。
金持ちは太陽電池でTVを見て、庶民は節電して電気料金を下げればよい。
(実は、冷房を嫌がる高齢者は意外に多い)

つまらない原発論争などして時間を浪費せずに
鈴木亘教授や野口悠紀雄教授のように価格メカニズムを論じた方が
経済学者として正しく遥かに生産的であるのは明らかだ。

結局は無害なので放っておけばいいのですが
何も知らず鵜呑みにする可哀想な人が大勢いそうなので書き残しておきます。

これから彼が己の知性に思い上がったイカロスなのか
本物の知識人かどうか証明されるだろう。
その後で信じるかどうかを決めれば良い。


「自然エネルギー」の幻想(池田信夫ブログ)
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51703016.html

”ここ1ヶ月でエネルギー問題を勉強したにわかエコロジストは「原発は反自然エネ
 ルギーだから凶悪で、太陽光は地球にやさしい自然エネルギーだ」と思っているの
 だろうが、太陽電池はきわめて人工的な技術であり、風力発電は環境破壊がひどい。
 上の写真はパームスプリングスの風力発電機だが、これが「自然」な風景だろうか。
 ニューズウィークにも書いたことだが、「自然エネルギー」という言葉を使うのは、
 エネルギー問題を理解していない人の特徴である。化石燃料はもちろん原子力も、
 太陽を見ればわかるように自然のエネルギーである。人工のエネルギーなんかあり
 えないのだから、自然か反自然かということは意味をもたない。”

 → 気の毒ですが池田教授の知識もかなりお粗末なので
   あまり他人のことを言えた義理ではない。
   「風力発電は環境破壊がひどい」の欺瞞は前述の通りだが
   自然か反自然かは無意味との主張なのであれば
   そもそも「環境破壊」も「自然な風景」も論理上あり得ない。

   また、我が国の風車は新たな景観を形成して
   名所になっている場所すらある。
   洋上風力にも言及しておらず、情けない水準である。


▽ 整然と並んだ北海道の風力発電(Wikipediaより)



▽ 風力を意図的に貶めた写真(池田信夫ブログより)



両者を比較すれば底意が分かってくる。
ごく初歩的ですぐバレる情報操作に過ぎない。


”再生可能エネルギーが化石燃料と違うのは、資源が枯渇する心配がないことと環境
 汚染が少ないことだ。しかし埋蔵量でいえば、石炭も天然ガスもウランも(劣化ウ
 ランを再利用すれば)数百年あるので、再生可能エネルギーの優位性は環境負荷が
 小さいことに尽きる。大気汚染は重要な問題だが、地球温暖化は問題が存在するの
 かどうかも疑わしい。民主党も「温室効果ガス25%削減」は放棄したようなので、
 今後むしろ再生可能エネルギーは不利になるだろう。電気代の3倍も払う補助金が
 切れたら、終わりである〔中略〕”

 → この手の議論にも困ったものです。
   資源価格や補助金の水準など愚かな人間に予測できるものではない。
   現在の自動車の燃費すら数十年前には「夢物語」だった。
   80年代に今の石油価格を教えたら誰も信じなかっただろう。
   「人間の予想は当たらない」という科学技術史の常識に欠けている。

”いま騒がれている「環境問題」のほとんどは、漠然とした「自然」への憧れを満た
 す贅沢品である。「地球にやさしい」エネルギーを使いたいなら、それなりの高価
 格を払える人がやればよい。「ソーラーハウス」に何百万円もつぎこむのは自由だ
 が、政府に彼らの趣味のコストを負担するように要求するのは筋が通らない。”

 → 原発のゴミの最終処分に何十兆円も注ぎ込むのは
   「技術をコントロールできる」との高慢な自負心のためであり、
   自分が賢いと思い込んでいる浅はかな知識人の道楽である。
   核エネルギーで遊びたいなら自己責任でやるべきであり
   政府にそのコストを要求する方が余程間違っている。



さて、以上のような見え透いた情報操作は放置して、
より広い視野を持ってエネルギー政策の現状を見てみましょう。


世界の風力発電、10年は2割増 中国が米国抜き1位に(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381959FE1E3E2E6818DE3E7E2E6E0E2E3E39494E3E2E2E2

”【北京=多部田俊輔】風力発電の業界団体、世界風力会議(GWEC)の調べで、
 2010年末の世界の風力発電能力が09年末比22.5%増の1億9439万キロワットに
 上り、国別では中国が米国を抜き世界最大となったことが分かった。
欧州の経済
 低迷で全体の伸びは鈍化したが新興国が牽引。原子力発電の安全性が議論となる
 中、初期投資がより少ないとされる風力発電の普及が加速する可能性も出てきた。
 〔以下略〕”

 → 世界各国は資源価格高騰に備えて着々と
   風力発電を拡大させている。
   適地がないなどと事実に反する世迷い言をつぶやいて
   逡巡しているのは日本国内の衆愚勢力だけだ。


風力発電で原発40基分の発電可能 環境省試算(朝日新聞)
http://www.asahi.com/national/update/0421/TKY201104210510.html

環境省は21日、国内で自然エネルギーを導入した場合にどの程度の発電量が見込
 めるか、試算した結果を発表した。風力発電を普及できる余地が最も大きく、低い
 稼働率を考慮しても、最大で原発40基分の発電量が見込める結果となった。
風の
 強い東北地方では、原発3~11基分が風力でまかなえる計算だ。
 同省は震災復興にあたり、風力発電を含めた自然エネルギーの導入を提案していく
 方針だ。
 今回の試算は、理論上可能な最大導入量から、土地利用や技術上の制約を差し引き、
 さらに事業として採算性を確保できることを条件に加えた。

 試算によると、固定価格買い取り制度など震災前に政府が決めていた普及策だけで
 も、風力なら日本全体で約2400万~1億4千万キロワット分を導入できる。風
 が吹いているときだけ発電するため、稼働率を24%と仮定。それでも出力100
 万キロワットで稼働率85%と仮定した場合の原発約7~40基分に相当する。
 ただし東北など電力需要を上回る発電量が期待できる地域がある一方で、電力会社
 間の送電能力には現状では限界がある。試算どおりに導入するのは短期的には難し
 いとみられている。
 家庭以外の公共施設や耕作放棄地などを利用する太陽光発電や、用水路などを活用
 する小規模水力発電についても検討したが、多くの導入量は見込めなかった。
これ
 らを普及させるには、さらに技術開発を促すなど追加的な政策が必要だという。 ”

池田信夫ブログより環境省のこの発表の方が遥かに参考になる。
震災リスクや電力供給リスクの軽減に風力は間違いなく必須だ。

あとはコストをいかに効率化していくかが重要。
イノベーションの進まない、事故のたびにブレーキがかかる原発より
遥かに計算できる電源である点は評価できる。

ただ細かな試算の前提が分からないので、
或る程度オープンにして民間や大学からも提言できるようにした方が良い。


私が先月、「今年は日本で風力発電の本格普及が始まる年になる」とした
理由を再掲しておきます。

○再生可能エネルギーの中でもコストが安い
○国内製造業への波及効果が大きい
○原発のような安全性リスクがほとんどない
○日本国内には風の安定した洋上風力発電の適地が多い
○エネルギー価格高騰の影響を受けない
○震災に対して極めて強い
○発電量の不安定性の問題は技術的に解決できる
○騒音やバードストライクといった問題も抑制可能

▽ 期待を集める洋上風力発電

『日本は世界4位の海洋大国』(山田吉彦,講談社)


▽ 風力発電を妨害してきたのは電力会社と原発支持勢力だった

『エコ・ウオーズ 低炭素社会への挑戦』(朝日新聞特別取材班)

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 各企業の被災支援の動きのま... | TOP | 米PIMCO、急落でも依然... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える