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7000発を越える中国のミサイル配備、日米合同でも対抗できない - 集団的自衛権では日本は守れない

2015-04-21 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
安倍内閣は優先順位の低い集団的自衛権に固執するパラノイアぶりで
矢張り安全保障分野でも「次元が低い」ことを立証しつつある。

集団的自衛権は中国の脅威に警戒感の強い南シナ海周辺国や豪州、インドには歓迎されるが
(自衛隊の戦力や装備を当てにできるから)日本の安全保障を顕著に強化するものではない。
せいぜい安倍首相得意の外交スタンドプレーでの「お土産」でしかない。

残念ながら自民党や保守派による安全保障の議論は元々お粗末であり、
軍事リアリズムへの理解を深めず国内の論敵ばかり攻撃する「内弁慶」なのだ。

その証拠に、彼らの集団的自衛権の議論は何ら個別具体的な状況を踏まえず、
何と週プレNewsの内容よりも劣ってしまっている。

人民解放軍のミサイル戦力の脅威を理解せず、
実際にあり得る紛争のシミュレーションも怠って
日本の国防力の現状と戦略正面である東シナ海周辺の軍備状況を真摯に分析していない。
(真面目に分析していたら米軍基地の沖縄集中をやめる筈だし、原発集中立地など論外である)

▽ 台湾を巡る局地戦であっても、中国のミサイル攻撃で日米に深刻な損害が出る(特に自衛隊への打撃が甚大)

『米軍と人民解放軍 米国防総省の対中戦略』(布施哲,講談社)


布施哲氏は、上掲書で日本の対中安全保障政策を考察し
財政制約の大きさのため大胆な予算の組み換え、
特に陸上自衛隊から海上自衛隊、人員から装備への予算移転が必要と提言している。

次元の低い安倍内閣も、せめてその程度の認識を持ち
安全保障のリアリズムに基づいたまともな議論を行うべきであろう。

「安倍首相はせいぜい器で言えば外務大臣で止めておけば良かったのだが、
 なまじ首相になってしまったために底の浅さが全方面で露呈している」

「聞きかじりの経済政策に調子のいいキャッチコピーを付けてPRし、
 見事にマイナス成長に沈んでしまったのがその典型である。
 民主党政権と大差ない成長率にとどまり事実上のマネタイズに踏み切ったのだから
 これから経済史の教科書で「失政」を嘲笑されるのは間違いない」

「安全保障政策でもそうした「次元の低さ」が遺憾なく発揮されている。
 テレビで「海外で邦人が危害に遭ったとき、自衛隊が救出できるための法整備を」と口を滑らせたのだ。
 これは湾岸戦争の際の民間人救出の話ではない。ISILの人質事件を受けて言っている。
 「所詮は坊ちゃんの二世政治家」と評されるのは確実である」

「自衛隊機関紙のコラムが早速、米軍がいかに人質救出作戦で苦労しているか、
 日本よりも遥かに諜報能力が高く、最新装備を持ち、
 世界各地で「実戦」経験を積んでいる米軍ですら失敗している現実を伝え、
 名指しは流石にできないもの厳しく批判している。(至極当然の話だ)」

「単細胞なタカ派政治家が、自らは大した覚悟も思慮もなく下した命令で、
 大勢の勇敢な若者が遠い国外で死んでゆくのである」

しかし現状は当ウェブログが指摘したような状況であり、
国防に関わる良識ある人材からも批判されている始末で実に情けない。

 ↓ 参考

自衛隊機関紙が人質救出作戦を「無責任」と批判、事実上の安倍発言否定 - 安全保障政策も「次元が低い」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/5f70805a19184d97f678eddc003a9925

「日本の過去の身代金支払いが原因では」- 高慢で脇の甘い安倍外交、外国メディアの質問に答えられず
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3a2cb6f56dd0b419980247679b2da7b9

安倍内閣は国際感覚を狂わせ、朝日報道に目くじらたてる視野狭窄-日韓関係悪化の根源は韓国民主化と靖国
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c6a040bfca7b5463da4460e8d5538990

▽ 米政府も米軍も現代戦を常に分析・研究しており、能天気で空虚な議論を繰り返す日本と大違い

『勝てないアメリカ――「対テロ戦争」の日常』(大治朋子,岩波書店)


世界の軍事支出 中国が突出、伸びが世界最高9.7%増 ロシアも8.1% SIPRI報告(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150413-00000508-san-eurp
”【ロンドン=内藤泰朗】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は13日、2014年の世界の軍事支出に関する報告書を発表した。世界の軍事支出は3年連続で減少し、前年比0.4%減の総額1兆7760億ドル(約213兆円)だったが、中露などの増加が目立った。
 国別の軍事支出では、世界最大の米国が13年比で6.5%減らす中、第2位の中国が同9.7%増。第3位のロシアも同8.1%増となった。第4位のサウジアラビアは、中東情勢の流動化を受け、同17%増となった。
 10年前の05年と14年の比較では、米国が0.4%減らしたのに対し、中国が167%増と、伸び率で世界最高。世界の軍事費構成比でも、1位の米国が34%と減少傾向だったのに対し、2位の中国が12%に伸長した。
 報告書は、中国の軍事支出増を受け、アジア太平洋地域での軍拡傾向を指摘。
13年比でみると、オーストラリアが6.7%増のほか、南シナ海問題を抱えるベトナムも同9.6%増だった。韓国とインドも増加した。
 日本はインド、ドイツを下回り9位。為替の円安傾向がドルベースでの比較に影響した形だ。同研究所は昨年4月の報告書で日本の順位を8位としていたが、その後7位に修正していた。〔以下略〕”

こちらが世界の軍事費の現況。
総額で言えばアメリカが圧倒的トップであるが、中国の軍事費の伸びは顕著である。
中南海は国土が広いからと強弁しているが、それではロシアとの差を説明できない。
経済成長を背景とした東シナ海や南シナ海における膨張戦略の反映と考えざるを得ない。
次元の低いアベノミクスでマイナス成長に陥った日本は、更に不利な状況になりつつある。


中国のミサイル装備が劇的に増強、もはや日米は200発で弾切れ(週プレNews)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150330-00045776-playboyz-pol
”いくら中国の軍拡が進んでも、なんだかんだで米軍が守ってくれるから日本は大丈夫――。中国の急速な軍備拡張により、そんな日本人の“楽観的な常識”が、いよいよ通じない時代になってきた。
 これまで日本周辺の海域は、米海軍のミサイル迎撃システムが目を光らせてきた。しかしイスラム国やロシアの脅威に手いっぱいのアメリカは「日本の自衛隊に期待する」と米海軍艦隊司令官が発言するなど引き気味…。(関連記事はこちら→http: //wpb.shueisha.co.jp/2015/03/25/45567/)
 ワシントンの国防系シンクタンク上席研究員から上記の迎撃システムでは対応不能というレポートも発表され波紋を呼んだばかりだ。中国軍は、これを無力化するだけの物量でミサイルを所持しているという。
 軍事ジャーナリストの古是三春(ふるぜみつはる)氏はこう語る。
「最も多いのは、1980年前後のアフガニスタン紛争で、ソ連と戦うムジャヒディン(民兵)に供給するため大量生産したミサイル。最高速度マッハ0.9程度と、性能はさほどでもありませんが、空対艦と艦対艦を合わせて7千発ほど保有しています。
 さらに、もっと高性能な艦載ミサイルもある。8隻のキロ級潜水艦に最高速度マッハ2.9のシズラー巡航ミサイルを推定200発保有。また、5隻のソブレメンヌィ級駆逐艦に最高速度マッハ2.5のモスキート対艦ミサイルを100発保有しています」
 まだ終わりではない。さらなる“切り札”の存在について、古是氏が続ける。
米海軍が特に警戒しているのが最近確認されたYJ-12対地対艦巡航ミサイルです。射程は400kmで速度は最高マッハ3.5。宮古島付近にたびたび出現するH-6爆撃機からの発射実験に成功しており、現在の保有数は50発ほどですが、その気になれば100発から200発はすぐ量産できるでしょう。
 そして、最も強烈なのがDF-21対艦弾道ミサイルです。これは台湾海峡に米空母艦隊を入れないための“空母キラー”で、最大射程は3千km。なんとマッハ10で飛んできます。

 撃たれてから対処する現在の日米艦隊の体制でも、マッハ1未満の亜音速ミサイルなら対空ミサイルとCIWS(艦載防空システム)の組み合わせで撃ち落とせる。しかしマッハ2から3、あるいはそれ以上となると対空ミサイルで迎撃しそこねた場合、そのまま命中してしまう危険性があります」
 そもそも、日米連合艦隊の対空ミサイル保有数は推定400発。通常、相手のミサイル1発に対して防衛側は2発を発射し迎撃するので、単純計算すると200発のミサイルを撃ち込まれれば“弾切れ”になってしまう。
 中国側があり余るミサイルを最大限利用し、日米艦隊に総攻撃をかけるシナリオをシミュレーションしてみると、中国がミサイルを撃ち尽くす前に日米艦隊の迎撃ミサイルは早々に尽きてしまう。〔以下略〕(取材・文/小峯隆生)”

当ウェブログで何度も紹介した布施哲氏は、著書において
上の記事にあるような中国のミサイル戦略の威力を既に指摘している。

安いミサイルの「飽和攻撃」で高価な日米の戦闘機・艦艇が大打撃を受け
「無力化」されるという極めて軍事合理性・経済合理性に適った戦略である。
場合によっては自衛隊だけが矢面に立って人民解放軍の「圧倒的物量」に対抗しなければならず、
我が国の安全保障にとって死活的な問題となりかねないのである。


「中国の脅威にどう備えるか」安保法制見直しの基本論点を整理すると、安倍政権のしたたかさが見えてくる(現代ビジネス)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150417-00042934-gendaibiz-bus_all
”「中国は脅威だ」と口が裂けても言えない政府
 さてとなると、どうやって日本の平和と安定を守るのか。それが集団的自衛権の話に直結する。米国との連携を強化し、日米の抑止力によって日本に対する侵略行為を未然に防ぐ。私はそれが一番安上がりで、かつ現実的な選択であると考える。だから、そのために集団的自衛権が必要なのだ。〔以下略〕”

さてこちらは週プレ記事に惨敗している長谷川幸洋氏の論考。
中国のミサイル飽和攻撃の脅威にも日本の財政・人口面での劣後にも全く触れていない始末。
元記事は意味もなく長いが読む価値は殆どないので大部分を省略した。
(直上の記事と比較するとどちらが「内向き」で「素人論議」なのか明白である)

ミサイル戦になった場合に「米国との連携」が即時有効かどうかすら分かっていない訳だ。
集団的自衛権を認めても中国の脅威は変わらないとする世論調査の方が遥かに賢明である。

因に布施哲氏は、米軍が中国のミサイル波状攻撃を回避するため
「前線」の日本周辺から大きく後退し自衛隊が独力で対抗せざるを得ない

最悪のリスクシナリオに言及している。上の素人見解とは「格の違う」リアリズムと言えよう。

長谷川氏は大塚家具のお家騒動の際にも娘社長が追い詰められているかのように書いて
見事に逆に出た「実績」がある。今回もまた専門外でよくも調べていない分野に
嘴を挟んだと衆目に映るのが関の山なのではないだろうか。
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