経済界は最近、非常に不思議な習性を身につけてきた気がします。
最大の使命は企業の成長による日本経済への貢献である筈です。
(国内での雇用や人材育成に寄与して頂ければ更に望ましい)
しかし現在のところ自らの成長鈍化や悪しき因習から目を背け、
政治や他分野に矛先(例えば農業や若者)を向けているのは解せません。
アップルやサムスンにシェアを奪われている日本企業をなぜ批判しないのか。
狂ったように三角合併に反対し、役員報酬公開に抵抗した「実績」
の方が遥かに本音に近いと思われてならないのですが。。
自らの失策や通弊から目を背けて、有権者やメディア批判ばかり熱心だった
政権陥落前の自民党の姿によく似ており不吉の念を禁じ得ません。
…先日は、財界を代表する団体(圧力団体?)が日本農業に
「集約で競争力強化」を求めたので仰天してしまいました。
「集約で競争力強化」すべきなのは、電機や製薬、食品など
世界のグローバル企業と比較して小さ過ぎ収益性も低い
日本企業なのではないでしょうか。
現に、世界の機関投資家は日本企業の競争力低下を冷然と見つめています。
付け加えると、日本製鋼所のように規模において不利でも
図体だけが大きい鈍重な日本企業より遥かに「強い」会社もあります。
集約だけで競争力が強化できると考えるのは幼稚な論理です。
農地提供者に優遇措置=集約で競争力強化―経団連提言(時事通信)
http://web05.jiji.com/jc/c%3Fg%3Deco_date2%26k%3D2011021000783
”日本経団連は10日、国内の農業改革に向けた提言をまとめた。環太平洋連携協定
(TPP)への参加も視野に、今後10年をめどに競争力を強化するのが目的。そ
の中で、意欲のある農家に農地を売却、貸与した際の所得控除などの優遇措置導入
などで農地の集約を促すよう政府に要望した。
さらに「農業成長産業化促進法(仮称)」を制定し、コメ、麦といった主要品目ご
とにコスト削減などの目標を決め、目標を達成した農家を集中的に支援することも
提案。また、中国が検疫上の理由で農産品の輸入を制限している点などを踏まえ、
政府間交渉で輸出拡大に向けた環境を整えることも求めた。
その上で、一連の強化策を行っても、なお輸入品に比べて競争力が下回る品目につ
いては、輸入品の流入による農家の減収分を補う「直接支払い」の実施を認めてい
る。”
→ コストで米、加、豪に対抗するのは根本的に誤っている。
結局はアジアの研修生に奴隷的労働をさせることになるのだ。
(非正規をクビにして自分たちの給与を守ることと似ているかも)
藻谷浩介氏の指摘通り、高付加価値戦略の方が遥かに賢い。
しかも重要なのは「政府間交渉」ではなく
少なすぎる検疫担当者の増員と対外広報+支援である。
ノルウェーやデンマークの輸出体制の研究が足りない。
A.T.カーニー 梅澤高明日本代表「言い訳ばかりの日本の経営者」(globis)
http://news.goo.ne.jp/article/globis/business/globis-20110207-03.html
”日本は海外から「新興衰退国」と揶揄されるまでに落ちてしまった――。経済学者
やジャーナリストが語る、「人口減社会にあっても、豊かさは失わず、所得再分配
によって格差も解消する」という青写真は、成長なくしては崩壊する。このままで
は日本は「惨めな縮小」と語る、A.T.カーニー日本代表の梅澤高明氏。トップコン
サルタントが説く世界の今、日本の未来とは何か。
■日本企業はなぜ飛躍できなかったのか
〔中略〕
梅澤さんは、企業が一気に飛躍していくためには、どういった条件が必要だとお考
えですか。
梅澤:会社または経営者の意識。これが一番でしょうね。数年前、中国へ行った時
に感じたことがあるのですが、中国ではたとえば創業数年で従業員100人、そして
売上高も100億円みたいな会社の社長でも平気で「10年後には世界一だ!」と言う
んです。一方、我々が現在お手伝いしている日本企業には売上高1兆円超のクライ
アントもずいぶんいます。でも、「実は世界一になりたいんだけど、どうしたら良
いか相談に乗ってくれない?」と、ストレートに言われたことは一度もありません。
この違いは大きいでしょうね。
〔中略〕
たとえば本田宗一郎さんは、今お話しした中国人経営者と何も変わらなかったと思
います。会社が倒産しそうだという時に「世界のレースに出る」と言って大はしゃ
ぎしていたんですよね。「世界で一番になるんだ」と。そういう経営者が今の中国
やインド、あるいはブラジルにはいます。でも、日本にはいない。”
「愛国者」を自任する梅澤高明氏の指摘です。
グローバルな視点を持っている者なら頷ける主張ばかり。
経済人でもドメスティックで視野の狭い者が大勢いるので
せめてこの程度は理解してほしいものだ。
日本の農業を批判したいのなら欧米の農業補助金も罵倒すべきだし、
何よりアップルやサムスンを打倒してから口を開くべきだ。
ご都合主義のダブルスタンダードは欺瞞であり見苦しい。
最大の使命は企業の成長による日本経済への貢献である筈です。
(国内での雇用や人材育成に寄与して頂ければ更に望ましい)
しかし現在のところ自らの成長鈍化や悪しき因習から目を背け、
政治や他分野に矛先(例えば農業や若者)を向けているのは解せません。
アップルやサムスンにシェアを奪われている日本企業をなぜ批判しないのか。
狂ったように三角合併に反対し、役員報酬公開に抵抗した「実績」
の方が遥かに本音に近いと思われてならないのですが。。
自らの失策や通弊から目を背けて、有権者やメディア批判ばかり熱心だった
政権陥落前の自民党の姿によく似ており不吉の念を禁じ得ません。
…先日は、財界を代表する団体(圧力団体?)が日本農業に
「集約で競争力強化」を求めたので仰天してしまいました。
「集約で競争力強化」すべきなのは、電機や製薬、食品など
世界のグローバル企業と比較して小さ過ぎ収益性も低い
日本企業なのではないでしょうか。
現に、世界の機関投資家は日本企業の競争力低下を冷然と見つめています。
『外国人投資家が日本株を買う条件』(菊地正俊,日本経済新聞出版社) |
付け加えると、日本製鋼所のように規模において不利でも
図体だけが大きい鈍重な日本企業より遥かに「強い」会社もあります。
集約だけで競争力が強化できると考えるのは幼稚な論理です。
農地提供者に優遇措置=集約で競争力強化―経団連提言(時事通信)
http://web05.jiji.com/jc/c%3Fg%3Deco_date2%26k%3D2011021000783
”日本経団連は10日、国内の農業改革に向けた提言をまとめた。環太平洋連携協定
(TPP)への参加も視野に、今後10年をめどに競争力を強化するのが目的。そ
の中で、意欲のある農家に農地を売却、貸与した際の所得控除などの優遇措置導入
などで農地の集約を促すよう政府に要望した。
さらに「農業成長産業化促進法(仮称)」を制定し、コメ、麦といった主要品目ご
とにコスト削減などの目標を決め、目標を達成した農家を集中的に支援することも
提案。また、中国が検疫上の理由で農産品の輸入を制限している点などを踏まえ、
政府間交渉で輸出拡大に向けた環境を整えることも求めた。
その上で、一連の強化策を行っても、なお輸入品に比べて競争力が下回る品目につ
いては、輸入品の流入による農家の減収分を補う「直接支払い」の実施を認めてい
る。”
→ コストで米、加、豪に対抗するのは根本的に誤っている。
結局はアジアの研修生に奴隷的労働をさせることになるのだ。
(非正規をクビにして自分たちの給与を守ることと似ているかも)
藻谷浩介氏の指摘通り、高付加価値戦略の方が遥かに賢い。
しかも重要なのは「政府間交渉」ではなく
少なすぎる検疫担当者の増員と対外広報+支援である。
ノルウェーやデンマークの輸出体制の研究が足りない。
『デフレの正体 経済は「人口の波」で動く』 |
A.T.カーニー 梅澤高明日本代表「言い訳ばかりの日本の経営者」(globis)
http://news.goo.ne.jp/article/globis/business/globis-20110207-03.html
”日本は海外から「新興衰退国」と揶揄されるまでに落ちてしまった――。経済学者
やジャーナリストが語る、「人口減社会にあっても、豊かさは失わず、所得再分配
によって格差も解消する」という青写真は、成長なくしては崩壊する。このままで
は日本は「惨めな縮小」と語る、A.T.カーニー日本代表の梅澤高明氏。トップコン
サルタントが説く世界の今、日本の未来とは何か。
■日本企業はなぜ飛躍できなかったのか
〔中略〕
梅澤さんは、企業が一気に飛躍していくためには、どういった条件が必要だとお考
えですか。
梅澤:会社または経営者の意識。これが一番でしょうね。数年前、中国へ行った時
に感じたことがあるのですが、中国ではたとえば創業数年で従業員100人、そして
売上高も100億円みたいな会社の社長でも平気で「10年後には世界一だ!」と言う
んです。一方、我々が現在お手伝いしている日本企業には売上高1兆円超のクライ
アントもずいぶんいます。でも、「実は世界一になりたいんだけど、どうしたら良
いか相談に乗ってくれない?」と、ストレートに言われたことは一度もありません。
この違いは大きいでしょうね。
〔中略〕
たとえば本田宗一郎さんは、今お話しした中国人経営者と何も変わらなかったと思
います。会社が倒産しそうだという時に「世界のレースに出る」と言って大はしゃ
ぎしていたんですよね。「世界で一番になるんだ」と。そういう経営者が今の中国
やインド、あるいはブラジルにはいます。でも、日本にはいない。”
「愛国者」を自任する梅澤高明氏の指摘です。
グローバルな視点を持っている者なら頷ける主張ばかり。
経済人でもドメスティックで視野の狭い者が大勢いるので
せめてこの程度は理解してほしいものだ。
日本の農業を批判したいのなら欧米の農業補助金も罵倒すべきだし、
何よりアップルやサムスンを打倒してから口を開くべきだ。
ご都合主義のダブルスタンダードは欺瞞であり見苦しい。