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みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

「震災で亡くなった人より震災後に移転した人が多い」- 安倍首相の言う「新しいステージ」は単なる妄想

2015-03-11 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
陛下が震災の影響が色濃く残っている被災地の現状に心を痛め、
深い気遣いをされているのを聞いてしみじみと心打たれた後に、
安倍首相のいつもの空々しい言辞を聞いて猛然と怒りが込み上げてきた。

復興が進んでいる一部の見た目の良い場所だけで物見遊山し、
震災が「新しいステージ」に入ったなどととんでもない嘘を吐く政治家は、
天皇陛下のお気持ちを踏みにじる叛逆者に限りなく近い。

今、被災地は復興どころか復旧も不可能になりつつある。
それは様々な理由に基づくものだが、最大の理由の一つは安倍政権である。

「国土強靭化」などと愚劣なプロパガンダを展開して
公共事業予算を全国津々浦々にバラ撒いたために
被災地に向かう筈の資材も労働者も一気に分散し、コストも高騰した。

自民党のお家芸である業界買収策の余波で、
ただでさえ困難な復興が遅れに遅れ、
自民党と癒着している建設業界が優先するのは「ハコモノ」である。
生活再建は業界に及ぼす恩恵が少ないので後回しにされる。

このようなことは、自民党の通弊として、
これまでの「実績」から見て分かり切った話だった。

▽「一人当たり4000万円を投入してゴーストタウンができた」失敗例から全く学習していない安倍政権

『震災復興 欺瞞の構図』(原田泰)


だから、論理的帰結は明白である。
日本国民は、建設業界と癒着し族議員の巣窟だった自民党に投票することで
被災地を見捨て、復興どころか復旧すら不可能にした
のである。
その事実は、年を追うごとに明確になるであろう。

「元々、東日本大震災の被災地は過疎に苦しんでいた地域が多く、
 多くの識者が当該地域からの人口流出が起きると予想しており
 「復興」どころか「復旧」すら困難であることは予想されていた」

「加えて原発事故による壮烈な風評被害で
 福島とその近隣の第一次産業・観光業が凄まじい打撃を受けており、
 深刻な影響は後々まで残ることになる」

「知られているように被災地支援の熱意と活動は漸減するものである。
 被災地での日常回復も個々の状況や資質によって「まだら模様」となり、
 被災による打撃が甚大であった人々、復興の動きに取り残された人々は
 経済的にも心理的にもより苦しい状況に追い詰められつつある」

「寄付金でも「買って応援」でも彼らの苦境は改善されない。
 まして、自民党が票田にカネをばら撒き、選挙に勝つための方便である
 「国土強靭化」では復興が永遠に不可能なのは明白である。
 (せいぜい彼ら利益共同体の「利権回復」でしかない)」

「更に事態を深刻にしているのは、旧来の家族観に基づいた
 機能不全の日本の社会保障政策と雇用政策であり、
 この国では大切な家族や生活インフラを失うことで、極貧に転落することが多々ある」

と当ウェブログは書いたが、その懸念が現実のものになっている。

 ↓ 参考

被災地の女性の貧困が深刻化、自営業者・パートの約7割が失業中 -「国土強靭化」で復興できる筈がない
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/af4ca12c6b88a24beb5dfa856ad6ee5f

▽ 元々他人の子供に冷たい日本社会、被災地には二重の打撃になる

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)


安倍首相の被災地視察 復興進行が目に見える場所を主に選定(ポストセブン)
http://news.infoseek.co.jp/article/postseven_308474
”首相就任以来、安倍晋三氏はほぼ月1回のペースで20回以上にわたって被災地視察を繰り返してきた。
 宮城・亘理(わたり)町のイチゴ、石巻市の焼きガキ、福島・小名浜市のイカ、岩手・宮古市のワカメ、宮城・七ヶ浜町の焼き海苔……。被災各地の視察で特産品を振る舞われるたび、安倍首相は記者団に「ものすごくおいしい」などと笑顔で語り、被災地グルメを満喫してきた。
 岩手・大槌町では伝統刺「刺し子」の工房を訪れたほか、宮城・気仙沼市では漁の網を編む伝統文化を応用したニット製造会社でカーディガンを試着。編み手として働く地元女性たちの嬌声に気をよくしたのか「軽くて暖かい。自分でいうのもなんですが似合ってますね」とニンマリしながら軽口を叩いてみせた。
 首相の被災地視察はいつも和気藹々(あいあい)とした雰囲気の中、復興が目に見えてわかるような場所ばかりで行なわれている。2月14日、居住が始まった気仙沼の災害公営住宅を視察した安倍首相はテレビカメラの前で「復興もいよいよ新たなステージに移りつつあると実感した」などと語り、復興の進展を強調した。
 しかし実際に被災地を歩くと、現実は「新たなステージ」にはほど遠いことがわかる。首相が視察した気仙沼の公営住宅建設予定地前で商店を営む男性がいう。
「来年3月までに2000戸以上の公営住宅が完成するって聞いてましたけど、ご覧の通りですよ。実際にできているのは100戸もないじゃないですか」

 気仙沼市によると、計2155戸の建設を予定しているが、完成しているのは今年1月時点で75戸。4年もかかってこの数である。計画通りの来年3月までの整備はとても間に合わず、1年2か月も計画を先送りした。これが「新たなステージ」だろうか。
 安倍首相が焼きガキに舌鼓を打った石巻市でも同様だ。庄司慈明・市議が憤る。
石巻市では76.6%の家屋が被災するなど被害が大きく、4500戸の復興住宅が必要です。しかし3月末までの完成予定分を含めても936戸しかない。600戸分は土地の確保さえできていない。政府がカネだけ払えばそれで解決するというものではない
 甚大な被害を受けた航空自衛隊松島基地がある東松島市を安倍首相は2度訪問している。菅原節郎・市議がこう指摘する。
総理が視察した先は、松島基地と小松南団地という市内でも復興が進んだほんの一部だけ。そこにテレビや新聞の記者も同行するから、県外の人から『復興は順調に進んでいる』と思われている。ところが、小松南団地から車で10分も行けば仮設住宅が立ち並ぶエリアがあり、143人の犠牲者が出た東名地区には震災後から手つかずのままの荒れ地が広がっている。総理にはぜひバランスのとれた視察をしていただきたい
 本誌記者は首相が視察した岩手・大槌町の水産加工会社や山田町の造船会社などを訪問した。
〔中略〕
 しかし、その建物は無残な荒野の真ん中にポツンと建っていた。
 官邸にとっては首相の被災地訪問はパフォーマンスでしかない。官邸筋によれば「総理の視察先は復興が目に見える形で進んでいるところを主として選定している」という。
岩手県の幹部職員が苦々しい顔で話す。
「安倍首相が視察すると、同じ施設を閣僚が視察し、さらに復興庁の官僚が同じルートをなぞるケースが多い。首相の訪問先が“復興先進地”なので、中央から来た人は厳しい現場を素通りして帰ることになる」”

被災地の実情に関しては、大手メディアは悉くこの週刊誌報道に負けている。
権力の監視どころか「権力の犬」になっている御用メディアは恥さらしである。
こうした被災地の実情を知っていたら、「新しいステージ」が嘘八百である位はすぐ分かる筈だ。
保身のためゴマをすって沈黙する自身の醜態からどうして目を逸らすのか。


被災地復興 国は被災者生活再建よりもコンクリート事業優先(ポストセブン)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150311-00000006-pseven-soci
東日本大震災から4年。いまも津波に襲われた街では瓦礫を撤去しただけの更地が広がっている。電気もガスも上下水道も復旧していない地域は多い。災害公営住宅の建設も遅々として進んでいない。なぜそんな状況が放置されているのか。
 新聞・テレビでは「アベノミクス好況で都心部の再開発やマンション建設ラッシュに建設作業員が流れ、さらに、東京五輪特需で施設の整備にマンパワーが割かれていて、被災地が人手不足だ」などと、“景気が良いから仕方ない”といわんばかりの説明を繰り返している。復興の遅れは「失政」ではないといいたいのだろうが、それは嘘だ。
 三陸の海岸沿いを歩くとよくわかる。津波で無残にも破壊されたはずの堤防が、真新しいコンクリートによってさらに大きなスケールで作り替えられていた。被災地でいま一番進んでいる工事は「防潮堤」である。
 国は震災から時を待たず、岩手・宮城・福島3県の沿岸を総延長400キロメートル近くにわたってコンクリートで覆う“万里の堤防”計画をぶち上げた。総事業費約8500億円の巨大公共事業だ。

 建設には各地の住民から疑問の声が上がってきた。たとえば高さ14.7メートルの防潮堤が建設される宮城・気仙沼市本吉町小泉地区では、街全体を高台に移設するので海岸沿いの平地に住民はいない。松島湾のある無人島は“農地保護”を名目に約20億円をかけて防潮堤で囲まれる計画だ。一体、何を守るための堤防なのか。
 しかも、新しい防潮堤がいくら巨大でも東日本大震災レベルの津波がきたら止めることはできない。いかに早く避難するか、あるいは初めから危険な低い土地に住まないなど、他の手段によって対処すべきなのだ。
 それでも、ひとたび巨大防潮堤計画が動き出せば、政治家や役人、ゼネコン、マリコンに巨大な利権が発生する
。しかも、「防災に不可欠だ」といえば予算はつけやすい。
〔中略〕
 国は被災者の生活再建よりもコンクリート事業を優先しているのだ。”

こちらの指摘も正しい。
但し、「自民党の公共事業バラ撒きが元凶」というところまで
見抜けていないのが惜しいところ。もう一歩、踏み込みが必要だ。
(専門家に頼んで試算すればすぐ明らかになる話だ)


被災地・気仙沼の「復興」に“ウルトラマン”はいなかった(週刊朝日)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20150311-00000004-sasahi-soci
”「大丈夫。ウルトラマンが助けてくれるから」
 震災当時に3歳だった長男が、がれきの山を見ながらつぶやいた言葉をいまも覚えています。あれから4年、長男は小学1年生になりました。
〔中略〕
 いるはずがないヒーローに助けを求めたくなってしまいます。
 私たち家族が暮らす宮城県気仙沼市は、東日本大震災によって1200人以上が犠牲になりました。このうち、私の母(当時63歳)を含めて226人はいまだ行方不明のままです。震災から4年が過ぎて、少しずつ心の整理がつき、住宅や産業の再建も進みましたが、「復興」という言葉は遠のいている気がします。震災直後は「震災前よりよくなることが復興だ」と目標を立てたのに、現実は震災前並みのにぎわいを取り戻すことさえ困難になっているからです。

■“巨大”防潮堤問題
 私は1年前から気仙沼市議会議員をしていますが、それまでの15年間は地元新聞社の記者でした。2011年3月11日は、ふるさとを襲う大津波を魚市場屋上から目に焼き付けながら、カメラのシャッターを切り続けました。「記者として復興を見届ける」と誓ったのに議員に転身したのは、復興にはあまりに課題が多すぎて、記事で問題提起するだけでは解決できないと思ったからです。
〔中略〕
 最初に挑まなければならない課題の一つが、国内外から注目を集めた巨大防潮堤計画でした。防潮堤は震災前にもありましたが、高さは1~5メートル程度でした。それが最高14メートルにもなるのですから、海のまちで暮らしてきた市民は騒然としました。しかも、多額の公費を投じて高い防潮堤を整備しても、東日本大震災のような巨大津波を防ぐことはできません。国は、あまりに巨大な津波を構造物で防ぐことは非現実的と判断したものの、百数十年に一度程度の大津波までは防潮堤で防ぐと考え、それに県も市町村も従ったのです。
 新しい防潮堤を整備して、その背後地に住宅が戻るなら話は簡単でしたが、住宅は高台に移転しました。東日本大震災クラスの津波に備えて、防潮堤の背後地のほとんどが災害危険区域に指定され、基本的に居住できなくなりました。東日本大震災クラスの地震の発生確率は、今後100年以内で「ほぼ0%」、300 年以内でも「0.2%程度」と国の機関が発表しても、その流れは変わりませんでした。
 しかし、コンクリート製の防潮堤工事によって自然を失い、永久に美しい景観を損ねてまで巨大防潮堤は必要なのか、税金の無駄遣いではないのか…。
津波の恐ろしさを経験しても、海とともに生きてきた遺伝子は負けず、防潮堤計画の見直しを求める声は一気に高まったのです。
 気仙沼を中心とした運動が成果を上げ、不必要と判断できた海岸への防潮堤計画を撤回したり、防潮堤の位置を内陸側に後退させて海への影響を防いだり、一部を可動式にして景観を守ったりする変更などが認められました。
 ですが、ほとんどは行政の計画通り工事が進むことになりました。結論が遅れるほど復興が遅れるだけでなく、壊れた家を直して住み始める人も増えたからです。
さらに、地元自治体の負担がない復興予算には期限と限度があり、集中復興期間が終了する15年度以降は予算確保が困難になります。結局は、焦って結論を出さなければならず、「安心」を最優先させたのです。疑問を抱えながらも、気仙沼の防潮堤工事はこれから本格化します。
〔中略〕
■あれから4年…
 いまだに防潮堤計画が決まらない地域もあり、問題は山積みなのですが、マイナスばかりではありません。市外から訪れたボランティアの皆さんが、地元民が気付かなかった気仙沼の良さを発見してくれました。「お刺し身が安くておいしい」「人情がある」「夜空がきれい」など、住民にとって当たり前だったことから価値を見つけ、定住してまちづくりを応援してくれる若者も少なくありません。全国の自治体などから市役所へ応援に来ている約200人の職員の皆さんも、なれ合いになりがちだった職場に新鮮な空気を吹き込んでいます。
 大災害を乗り越えて、住民の意識も変わりました。一番変わったのは、中学生や高校生たちです。勉強をがんばって難関大学に進学したり、まちづくりに参加したり、子供たちの世界は確実に広がりました。
 しかしながら、震災から4年が経過して、被災地への関心が薄れてしまったのか、ボランティアも応援職員も減少するばかりです。今年1月にようやく災害公営住宅の第1号が完成しましたが、仮設住宅から退去できた人はまだ2割程度。気仙沼だけでも8千人以上が仮設暮らしを続けているのです。仮設暮らしが長引くと、心の問題が表面化しています。
 先日も、仮設住宅の隣人との騒音トラブルの相談がありました。
〔中略〕
■住民の2割が災害公営住宅を選択
 住宅再建の状況ですが、気仙沼市内で被災した約9000世帯のうち2200戸が災害公営住宅への入居を選択しました。今年1月に、市内第1号となる災害公営住宅の入居が始まりました。入居開始は15年度がピークになります。一番遅いところでは、16年11月まであと1年8カ月も待たなければなりません。
 市が造成した安全な団地へ自宅を建てる防災集団移転は、966世帯が選択しました。すでに48区画が引き渡され、自宅が完成した地区もありますが、すべての造成が終わるのは18年3月の予定です。一部の地区では、それから住宅の建設が始まります。
 これ以外の世帯は、被災した自宅を修繕したり、個別に高台移転したりします。地元を出て仙台のマンションを購入した人、都市部の親類宅へ移り住んだ人も少なくありません。人口問題はより深刻になり、震災前の7万4247人から7000人ほど減少しました。震災で亡くなった人より、震災後に移転した人の方が多いのです。

■鉄道復旧が大きな課題
 気仙沼が抱える難問の一つが、被災したJR気仙沼線の復旧です。現在は線路跡の一部を舗装してバスを走らせる「BRT」で仮復旧し、鉄道の復旧を目指していましたが、JR、国、地元自治体が費用負担を巡って牽制し合い、議論が停滞しています。JRは復旧費用700億円のうち400億円を国や沿線自治体が負担することを求めているのですが、国は国鉄から民営化した黒字企業への財政支出を拒み、沿線自治体にも費用負担の体力がないからです。
 駅周辺にあった住宅が高台へ移転し、仙台と気仙沼を結ぶ三陸沿岸道路の整備も進むと、鉄道が復旧しても震災前のような利用者数は期待できません。本当に鉄道を復旧できるか不安が増し、BRT(バス高速輸送システム)を充実させればいいという意見も出始めています。復興予算がなくなれば、利用者が少ないローカル線の鉄道復旧は一層困難になってしまいます。
 課題は、ほかにもあります。震災によって人口減が加速したのに、集団移転などによって内陸部を開発し、津波で浸水した沿岸部も復旧することによって市域は拡大しました。人が分散したことで、にぎわい創りが難しくなります。
気仙沼を支えてきた漁船漁業の後継者不足、少子化による小・中学校と高校の統廃合、超高齢化社会、直面する財政難、復興現場や水産加工場の人手不足、まちづくりの人材不足、多くの中学校の校庭を埋めている仮設住宅の集約、そして震災の教訓検証、次の災害への備え…、気仙沼は復興に全力を注ぎながら、地方が抱える問題も同時に解決していかなければならないのです。

■大切な「心の復興」
 子供のようにウルトラマンの登場を期待しながらも、自分たちが動かなければ何も始まらないことを忘れてはいません。現実の世界では、被災地に映画のようなヒーローはいないからです。私たちは、常に現実と理想のジレンマの中にあります。「震災前よりよくなることが復興だ」という目標を掲げながら、現実では難しいと悟り、お金に換算しない生き方、幸福度などに答えを求めようとしています。結局は「心の復興」が大切だと知ったのです。
 最後に、お願いがあります。私が震災5年目の被災地で最も心配しているのは心の問題です。ここまで来ると最低限必要な事業は時間がかかっても着実に前進するのですが、それを待つ被災者の中には心が折れそうな人もいます。この1年で災害公営住宅の入居時期が遅れることが2度も発表されました。心の強い人も、弱い人もいます。神戸の事例から、20年過ぎても遺族の悲しみが癒えないことも分かりました。できるだけ長く、被災地を見守ってください。

【今川悟】(いまかわ・さとる)39歳。自衛官、新聞記者などを経て14年4月から気仙沼市議会議員。被災地の現状と課題をまとめた「気仙沼復興レポート」を毎月11日に今川悟公式ホームページで発表している。”

この記事は本当に素晴らしい。
状況は来年も、再来年も変わらないのであろう。

被災地には穏和な人が多く、支援を受けて感謝している。
だからはっきりと言わないのだが、本音は以下の通りだ。
「安倍首相は大嘘つきで、「新しいステージ」になど入っていない」
「安倍政権や自民党は、被災地よりも建設業界のために行動している」
「震災復興は失敗しており、復旧すら不可能になった」

政治がこうしたざまなのだから、我々がミクロの局面で少しでも行動しなければならない。
まずは統一地方選で復興を妨害した利権癒着政党を蠅のように叩き落とすことから、だろう。
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地方への本社機能移転による法人減税は「地方創生」ではない - カネに釣られる企業はカネで裏切る

2015-01-06 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
「地方創生」なるバズワードは、政治感覚の鋭い者ならすぐ分かるように、
自民党政権による有権者を丸め込む地方統一選向けのプロモーションに過ぎない。

関係閣僚は「バラ撒きにはしない」などとほざいているが、
安倍内閣の「国土強靭化」そのものが明白な業界バラ撒きなのだから、
最初の第一歩から間違っている、もしくは有権者を騙そうとしているかのいずれかだ。
(自民党の体質から見て、その両方である可能性が極めて高い)

直近では「地方創生」と称して東京23区の大企業の本社機能を
地方に移転すれば税優遇という、シャープ亀山工場の失敗から全く学習していない
「次元の低い」政策案を大真面目で出してきた。

確かに企業経営の観点から言えばリスク軽減のために地方移転も必要だが、
それは「地方創生」ではない。自分を安売りする租税競争の国内版でしかない。

「地方創生」に寄与するのは、地域の実態や特性に根づいた
付加価値創造に長けている多様な中小企業の存在である。
そのような中小企業を政府が生み出したり育てたりすることはできない。

ただ補助金や税軽減だけで釣られてくる大企業は
自治体からいくらカネを貰えるかしか考えず、すぐに出てゆく厄介者だ。

エリック・シュローサーはアメリカの大企業が州政府を脅し、
移転をちらつかせて州政府から更なる恩典を脅し取る実態を書いている。

▽ 「税金を安くしなければここから出ていく」という態度である

『ファストフードが世界を食いつくす』(エリック・シュローサー,草思社)


▽ 更に言えば、デラウェア州のように地方自治体が特定産業に「乗っ取られる」危険性もある

『タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている!』(ニコラス・シャクソン,朝日新聞出版)


「地方創生」と僭称する次元の低い政策案しか報じられず、
当ウェブログの指摘した通り、さもしい選挙対策に堕してしまうのは間違いない。

「「地方創生」と聞いてすぐ思い浮かべるのは、
 バブル期に自民党政権が行なった愚劣な「ふるさと創生」である。
 1億円をバラまいて今は寧ろ不良債権のようになっている自治体も多い」

「今回の「地方創生」も所詮は同じである。
 支持率が下がっている安倍内閣の人気取り、姑息な地方選挙対策が本質である。
 ふるさと納税の税制優遇拡大や地方企業の税負担軽減などが挙がっているが、
 これまでの「ふるさと創生」や地方振興策がことごとく失敗に終わったという
 「不都合な事実」を直視し真摯に反省することなしに成果が出る筈はない」

「本気で地域経済の梃入れを行なおうと考えるなら、
 大企業正社員や公務員の退職金の税控除を大幅縮小し、
 その全額を育児世帯への現物給付に移転するのが最も効果的である」

「また、原子力発電を半永久的に凍結し、環境税を引き上げて
 税収を全額コージェネ推進と木質バイオマス熱利用に投入すべきである。
 エネルギー需要地では一気に熱利用が進み、
 化石燃料の輸入は大幅減少、その分は内需に還流する」

「農業では日本版AOC(原産地呼称)の導入、
 漁業では漁獲枠の大規模導入、林業では国産材建築の推進、
 木質バイオマス・コージェネの発電分の固定価格買い取り、
 食産業ではMOF(国家最優秀職人章)の導入、
 我が国の政府も官庁もこうした必要な施策を全く実行していない」

「非常に豊かな田舎がある欧州では地域資源の磨き方が巧みだし、
 自らの地域の良さをよく理解しているし活用法も優れている」

「うまくいった活性化策に「視察者が殺到」するのは結構だが、
 視察した後、何らかの成功に結びつけた事例が皆無に等しい。
 公費を使った視察に明確な成果がなければ、行政訴訟の対象とすべきである」

地方衰退はそもそも自民党政権と地方自治体に原因があるのだから、
失敗に終わるのは最初から分かり切った話である。

 ↓ 参考

「地方創生」は「ふるさと創生」の劣化焼き直し版、ただの選挙対策 - 多くの住民は地域衰退と予想
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/461d9af05f5d9c5cceecd227424a83fa

「奇跡の村」下條の出生率回復は住宅等の現物給付が主因、行政改革でも卓越 - 低次元の安倍政権と大違い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/08bd9d382dd2624bd567b845d473189

▽ 地方衰退の元凶は、公共事業依存や行政職員の体質そのものである

『反骨の公務員、町をみがく---内子町・岡田文淑の町並み、村並み保存』(森まゆみ,亜紀書房)


23区からの本社移転費7%軽減 税制改正の地方活性化策(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201412/CN2014122401001840.html
”政府、与党は24日、2015年度税制改正で行う地方活性化策を固めた。企業の地方拠点強化税制を創設し、東京23区から地方へ本社機能を移した場合はオフィス投資費用の7%分を法人税から差し引く。雇用を増やせば、さらに1人当たり3年間で最大140万円を減税する。ベンチャー企業への投資優遇税制は国家戦略特区で拡充し、地域の成長企業を育てる。
 外国人旅行者の消費税免税手続きを簡素にして観光客を呼び込む。これらの税制措置で企業や商店街を盛り上げ、人口減や地方経済の衰退に歯止めをかけたい考えだ。
 また、「ふるさと納税制度」は、減税対象の寄付上限額を2倍に上げる。”

ふるさと納税の上限引き上げは悪くないが、
この程度の軽減では大した効果がないだろう。

どうせまた、「人口減や地方経済の衰退に歯止めをかけ」るのに失敗しても
政府も与党もキャリア官僚も、誰一人として責任を取らないのは間違いない。

「ベンチャー企業への投資優遇税制」も、これまで死屍累々の政策だ。
これまでの失策を全く反省せず有権者のカネをバラ撒きに使う
政府や与党らしい腑抜けた政策案だ。

投資庁によって対内投資を積極的に募るスウェーデンや、
観光プロモーションが巧みな欧州国から学ぶ能力が根本的に欠如している。


法人税優遇:本社機能の地方移転促進 YKKが適用1号へ(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20141220k0000m020146000c.html
”政府・与党は、大都市圏に立地する企業が地方に本社機能を移転する場合に、法人税を優遇する制度を創設する。富山県黒部市への本社機能の一部移転を予定するファスナー大手のYKK(東京)が適用第1号となる見通し。安倍晋三首相が掲げる「地方創生」の目玉政策として、地方の人口減に歯止めをかけるために企業移転を促す狙いだ。【種市房子、松倉佑輔】
 政府案では、東京などの大都市圏から地方に移転する企業が移転先でオフィスなどの投資をする際に、投資額の数%を法人税(国税)の支払額から差し引くことができる特例措置を導入する。また、自治体が独自に企業に対し、法人住民税などの地方税減税の優遇をする場合は、自治体の減収分を国が交付税で穴埋めすることも検討している。
 本社が集中し、地方税収が突出して多い東京への偏りを是正することも狙い。
3大都市圏などは移転しても優遇措置の対象外として、地方への移転を促す。
〔中略〕
 東京都千代田区に本社を置くYKKは11年の東日本大震災をきっかけに、被災時も事業が継続できるよう機能の分散を検討。同社の国内最大の製造拠点がある黒部市を本社機能の移転先に選んだ。来年3月に、同社の事業所がある黒部市への大規模な本社機能の移転を予定しており、すでに法務部門など一部の機能を移し終えている。
 YKKは移転に伴い数百人の社員を黒部市に異動させ、黒部事業所内のオフィスの増設などを予定している。政府の税優遇策について同社は、「減税措置が正式決定されているわけではないので、(優遇措置の申請をするかなどの)対応はまだ決めていない」としているが、政府関係者によると、同社が税優遇の適用対象となるのはほぼ確実。モデルケースとなりそうだ。
 地方創生は、14日投開票された衆院選でも、自民党の重要政策の柱として位置づけられていた。YKKのような企業が今後増えれば、地方の雇用拡大や経済活性化などの効果が期待できることから、政府は企業の地方移転を積極的に後押しする方針だ。

本社機能の地方移転は、本質的に「地方創生」などではない。
上の報道にあるように、企業経営上のリスク低減である。

数多くの日本企業の本社が集中する首都圏は、
よく知られているように地震の巣であり
関東大震災クラスの震災に見舞われることが確実視されている。
本社機能を首都圏に集中させていると甚大な打撃を受ける危険性がある。
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タワーマンションはデメリットだらけ、揺れ・遮音性能・経年変化 -「ブラックスワン」もあり得る

2014-09-03 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
湾岸地域を始め、超高層のタワーマンションが人気である。
昨今のブームを見ていると、正直言って心配である。

投資家の性として、あらゆるリスクを考慮する癖があるが、
タワーマンションは各種のリスクが相対的に高いと見ている。

立地によるが流動性リスクも価格変動リスクも大きい。
そして何より、直下型地震の直撃をまだ受けていないので
大地震への耐性の高さが証明されていない。

個人的には、外気と遮断されて地上にはない揺れを感じる超高層での生活は、
人体に何らかの影響があると確信している。
(本格的な疫学調査を行った方が良いと思う)

特に地盤の悪い場所のタワーマンションは不確実性のリスクが大きい。
理論的に安全でも、よく言われるように「陸地の孤島」となる可能性がある。

▽ タワーマンションが震災に強いとしても、周辺のインフラが寸断されたら危機的状況になる

『地名は災害を警告する ~由来を知り わが身を守る』(遠藤宏之,技術評論社)


当ウェブログは、原子力ムラ及び官僚機構の行動原理として以下の二つを挙げた。
震災対策でも「安全」を連呼する者に対しては同じ結論になろう。

「自分の仕事と組織、権限を拡大させようとする」
「公共性より自らの存在を正当化する政治活動を優先する」

専門家にも科学的知見にも間違いなく限界がある。
利害関係者が「安全」を強調する際には、検証しなければならない。

 ↓ 参考

電力会社や原子力ムラの体質は、東電以外も皆同じ -「決して非を認めようとしない専門家たちの無反省」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f71268b83070c796f7a3733aeb97360d‎

▽ タワーマンションには、このような居住性の問題もある(企業のPR本だが、参考になる)

『なぜ新築マンションには自然素材が使われないのか』(幻冬舎)


震災、建て替え……それでも“タワマン”高層神話は永遠か(プレジデントオンライン)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20140807-00013083-president-bus_all
”PRESIDENT 2013年4月15日号 掲載
■建物が「軽い」ので風が吹くとユラユラ
 あらかじめ申し上げますが、私は超高層マンションをお勧めしません。
 その最大の理由は地震です。もし、震度7クラスの巨大地震に襲われたら……。購入者にもそんな不安があるにちがいありません。現行の建築基準法ではそれに耐えうる強度を確保することを義務付けているので、手抜き工事や耐震偽装などがない限り建物の倒壊などは回避できるでしょう。しかしながら、構造上はそうでも「安心して住めるか」というと躊躇なく「はい」とはいえません。
 なぜなら、揺れるからです。3.11のときも都心の超高層マンションは大変な揺れでした。それも住戸販売額が1億円超の物件も珍しくない上部の階ほどよく揺れる。

〔中略〕
 超高層物件は建築素材をできるだけ軽くする構造配慮ですが、皮肉なことに、そのことが災害時でないときの揺れやすさの原因になった。つまり、揺れを吸収するしなやかさが、かえってあだとなってしまったというわけです。
 ゆらゆらと船酔いのようになることが原因のひとつとなり、不眠症や倦怠感、めまいなどの不定愁訴で病院に通う人は少なくありません。専業主婦など自宅滞在時間が長い人ほどそうした症状を訴えるそうです。
 地震に関してもあまり知られていませんが、東日本大震災のような長周期型地震(通常の短い周期の地震動とは異なり、約2~20秒周期で揺れる)の大地震がきた場合の耐震基準は国内ではまだ確立されていません。あまり大げさなことは言いたくありませんが、巨大地震で超高層マンションが折れる潜在的リスクはゼロではないと、私は考えています。

■眺望はすばらしい「でも、それだけだ」
 先ほど、超高層マンションは建物を軽い素材でつくるといいましたが、そのことである問題が生まれます。それは遮音性の低下。鉄筋コンクリートの床や壁が厚ければ、それだけ遮音性は高くなりますが、軽くなる工夫をしているため、遮音性能を高くすることは難しくなります
〔中略〕
 軽くしなやかなつくりにすることの悪影響は外壁にも表れます。超高層マンションの外壁は主に幅一メートルの軽量気泡コンクリート版をならべ、それを樹脂系の材料でつなぎ合わせます。ところが、地震や強風などによる揺れのために、そのつなぎ目が徐々に疲弊して、ひび割れや破断が生じるのです。こうなると、雨が浸入して漏水したり、断熱材などに水がしみこんでカビが発生したり、ダニが繁殖したりします。
 また、前述した免震装置も“寿命”がくれば交換しなければなりません。免震ゴムは地中のバクテリアなどによって劣化するのですが、その交換には、巨大な建物を一時的に持ち上げる特殊な油圧ジャッキが必要となり、その工作機械のレンタル代や材料費には数億円のコストがかかるでしょう。そして問題なのは、その巨額のコストを修繕積み立てに組み入れていないケースが見受けられることです。
 図でも示したとおり超高層ならではのデメリットは枚挙にいとまがありません。個人的には超高層の利点は眺望だけだと思います。まあ、それさえも入居1カ月もすれば飽きてしまうのですけれども。
----------
一級建築士、碓井建築オフィス代表 碓井民朗
1947年生まれ。東京理科大学工学部建築学科卒。最新刊に「建築・設計のプロが教える『良識あるマンション』の見分け方・選び方」など。”

この記事は素晴らしい。
当ウェブログとしては予感的中といったところだ。

個人的には、高層階は移動に時間がかかるので駅近でも利便性が低下すること、
(エレベーターの移動より鉄道・地下鉄の移動の方が速いケースが多々ある)
航空機と同じで万一の際のリスクの極大化が生じる点も気になる。


死者最悪2万3000人=首都直下地震、被害額95兆円-中央防災会議が想定(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2013121900783&j4
”政府の中央防災会議は19日、首都直下地震の被害想定を公表した。今後30年間に70%の確率で発生する南関東でのマグニチュード(M)7級の地震のうち、東京23区南部を震源とする「都心南部直下地震」では、最悪のケースで埼玉、千葉、東京、神奈川の1都3県で2万3000人が死亡すると試算した。都心部を中心に多くの地域が震度6強以上の揺れに見舞われ、経済被害額は95兆円に及ぶ。
 また、当面発生する可能性は低いが、100年先には発生の恐れが高まるとして、関東大震災と同じ相模湾から房総半島が震源域のM8クラスの「大正関東型地震」が起こった場合の被害推計も参考として示した。それによると、死者数は最大7万人に達するという。
 同会議が2004年にまとめた前回想定では、死者数は最大1万2000人と推計していた。しかし、東日本大震災を受け、今後首都圏で起こり得る全ての地震を検証し直した結果、火災による死者数が増加するなどして、被害が大きく膨らむことになった。
 詳細な被害分析は、主に都心南部直下地震を想定して行った。最大の被害が発生するのは、冬の午後6時ごろに毎秒8メートルの風が吹いている場合。
〔中略〕
 倒壊による死者数は、自宅で就寝している人が多い冬の深夜に起こるケースが最大で1万1000人。”

首都圏でも、地盤の悪い場所に住むべきではないと考えている。
この地域は地震多発地域であり、高層建築が立ち並ぶようになってから
直下型の大地震に襲われたことはまだ一度もない。

大震災が起きると毎回のように「安全神話」が覆っている。
首都圏での直下型地震で、専門家が予想だにしなかった事態が起きる可能性はかなり高い。
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「地方創生」は「ふるさと創生」の劣化焼き直し版、ただの選挙対策 - 多くの住民は地域衰退と予想

2014-08-19 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
「地方創生」と聞いてすぐ思い浮かべるのは、
バブル期に自民党政権が行なった愚劣な「ふるさと創生」である。
1億円をバラまいて今は寧ろ不良債権のようになっている自治体も多い。
まともな使い道と言えるのは小笠原のエコツーリズム、
山形県庄内の風力発電あたりしかないだろう。
(因に、例によって自民党も総務省も何一つ事後検証していないという始末)

今回の「地方創生」も所詮は同じである。
支持率が下がっている安倍内閣の人気取り、姑息な地方選挙対策が本質である。
ふるさと納税の税制優遇拡大や地方企業の税負担軽減などが挙がっているが、
これまでの「ふるさと創生」や地方振興策がことごとく失敗に終わったという
「不都合な事実」を直視し真摯に反省することなしに成果が出る筈はない。

本気で地域経済の梃入れを行なおうと考えるなら、
大企業正社員や公務員の退職金の税控除を大幅縮小し、
その全額を育児世帯への現物給付に移転するのが最も効果的である。

出生率の高い地方の内需が大いに潤い、
育児関連産業で膨大な雇用が新規に生まれる。
母親は働きに出ることができ、出生率が上昇して消費が確実に増える。

また、原子力発電を半永久的に凍結し、環境税を引き上げて
税収を全額コージェネ推進と木質バイオマス熱利用に投入すべきである。
エネルギー需要地では一気に熱利用が進み、
化石燃料の輸入は大幅減少、その分は内需に還流する。

農業では日本版AOC(原産地呼称)の導入、
漁業では漁獲枠の大規模導入、林業では国産材建築の推進、
木質バイオマス・コージェネの発電分の固定価格買い取り、
食産業ではMOF(国家最優秀職人章)の導入、
我が国の政府も官庁もこうした必要な施策を全く実行していない。

重要なのは予算消化やくだらない選挙向けアピールではない。
真に効果を発揮する施策を探り当て、衆愚的抵抗を打破して断行することだ。

…下の著書では、政府や官庁のトップダウン型の行政を厳しく批判し、
先駆的な町並み保存で有名になった著者が、
「公共事業は金をドブに捨てるようなもので、やってもやっても地域はよくならない」
「行政マンの心を入れかえない限り、行政改革はできない」

と言い切っている。硬直化した他者依存の自治体への強烈な皮肉となっている。

▽ 地方自治体の抱える根深い問題が分かり、非常に参考になる

『反骨の公務員、町をみがく---内子町・岡田文淑の町並み、村並み保存』(森まゆみ,亜紀書房)


少なくとも全国で下條村と同様の施策が行なわれ、
出生率がV字回復すれば確実にGDPも税収も伸びるが、
次元の低い安倍政権と馴れ合いの知事会には無理であろう。

「全国知事会議が「少子化非常事態宣言」を採択したとのことで、
 それはそれで遅きに失したものではあるものの評価できる」

「しかし、本当に「思い切った政策」が実行できるのかは甚だ疑問である。
 これまでの地方自治体の「実績」から見て期待する方が間違っている」

「全国知事会では、少子化対策において劣等の自治体を厳しく批判することはできない。
 有効な施策を自ら出せず、国に予算を要求する手段に堕してしまうであろう」

「そもそも地方自治体は、他所の優れた施策から学ぶ謙虚さが全くない。
 もし本気で出生率を引き上げたければ、長野県下條に倣う筈である。
 即ち、人件費と公共事業を徹底的に合理化し、育児世帯への現物給付を強化するのである」

「既に素晴らしい結果を出している自治体の模倣すらできずに
 「思い切った政策」など実行できるとでも言うのか」

「日経新聞では「高齢者から若年世代への資産移転」という決定的な施策に言及されている。
 退職金への税優遇を大幅に縮小すれば容易に予算が出てくるし、
 地方税も若干引き上げて育児支援の現物給付に充当すれば確実に効果が出るが、
 多くの横並びで凡庸、官公労からの圧力に弱い地方自治体には
 そういった「思い切った政策」で率先垂範する能力が決定的に欠けている」

「また、横並びで新幹線や空港や箱ものを建設して赤字を拵えている間に
 地方から都市部へ若年人口は流出し続けており、
 その「戦犯」は間違いなく地方自治体である。
 (交通網を整備すると魅力の少ない地域からは人材が出ていくのだ)」

選挙目当てから始まった「地方創生」も、最初から失敗が約束されている。

 ↓ 参考

地方自治体にも絶望的な少子化への責任、自己批判できるのか -「思い切った政策」を行わない自治体
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/3ebec4a7e6fe9475b0895adc3b5a1abb‎‎

「奇跡の村」下條の出生率回復は住宅等の現物給付が主因、行政改革でも卓越 - 低次元の安倍政権と大違い
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/08bd9d382dd2624bd567b845d473189

▽ このような卓越した企業を抱えている自治体でも、人口は減っている

『スノーピーク「好きなことだけ! 」を仕事にする経営』(山井太,日経BP社)


▽ 熱供給を主軸とする小規模エネルギー産業は有望だが、施策の巧拙に大きく左右される

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


農山漁村、約4割が「衰退する」=都市住民は定住願望も―内閣府世論調査(時事通信)
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201408/2014080900216
内閣府が9日発表した「農山漁村に関する世論調査」の結果によると、農山漁村地域住民700人に地域の将来を聞いたところ「衰退する」と答えた人が37.6%に上り、「活性化する」と答えた人の13.6%を大きく上回った。
〔中略〕
 農山漁村地域の住民に対し、生活する上で困っていることを複数回答で尋ねたところ、「仕事がない」(32.7%)、「交通手段が不便」(31.7%)、「買い物、娯楽の施設が少ない」(30.9%)などの順になった。都市住民が定住する際の問題点についての質問でも、これらの回答が上位を占めた。
 一方、都市住民1147人に対して農山漁村地域への定住願望の有無を聞いたところ、「ある」「どちらかというとある」と答えた人の合計が31.6%となり、2005年11月の調査に比べて11.0ポイント増えた。こうした人の定住を実現するために必要なこととしては、「医療機関の存在」(68.0%)、「仕事がある」(61.6%)、「家屋、土地を安く購入できる」(47.2%)などが多かった。

日本の地方の一番悪いところは、地域の良さを理解せず、
それを上手に売り出そうとせず政治や中央官庁に泣きつくことだ。
丁度、災害や貧困を過大にアピールして援助増額を求める破綻国とよく似ている。

非常に豊かな田舎がある欧州では地域資源の磨き方が巧みだし、
自らの地域の良さをよく理解しているし活用法も優れている。


「地方創生法」で地方は活性化するのか?(THE PAGE)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140726-00000002-wordleaf-pol
”安倍首相が、地方の人口減少に歯止めをかけ、地方を活性化させるための「地方創生」関連法案を提出する方針を明らかにしました。
 法案の具体的な内容はまだ明らかにされていませんが、安倍氏が、ふるさと納税制度を使って地元の名産品の売上げを伸ばした事例を引き合いに出していることから、地方の特色を生かした製品やサービスの開発などを後押しする内容が盛り込まれると考えられています。
 日本における東京一極集中に対する批判はかなり以前から存在していました。補助金行政のほとんどは、地方と都市部の格差を縮小することを大義名分としていますし、官主導で地方経済を活性化する方策は形を変えて何度も実施されてきました。特に有名なのは1988年に竹下内閣が実施した「ふるさと創生1億円事業」でしょう。
 これは各市町村に対して使い道を指定せず、一律に1億円を支給するというかなり大胆な政策でした。しかし現実に1億円を交付された自治体の多くは、お金をどのように使えば良いのか分からず、ほとんどがムダな施設の建設に消えてしまいました。これ以外にも、中央官庁が主導する地域振興策は、地域の実情に合わないなど、うまく機能しないケースが少なくありません。
 こうした事例の存在は、官主導で地方経済を活性化させようという考え方には、そもそも無理があるという現実を示しています。熊本県のキャラクターである「くまモン」は大成功したケースといえますが、くまモンが話題になると、各自治体がこぞって同じような企画を始めてしまい、どの自治体を見ても似たようなキャラクターばかりという状況になっています。また、ある商店街の活性化策がうまくいったという話になると、無条件に同じものを導入しようと、各地域から視察者が殺到するというのもよくあるパターンです。
 各地域の人が、自分達の手で真剣に検討したやり方でなければ、本当の意味での地域活性化策にはなりません。単純に補助金を付けるといった方法では、以前のようにハコモノが出来て終わりという結果になってしまうでしょう。
 地方は人口減少が著しい状況となっていますが、それでも、志と能力を持った人たちは大勢います。本当の意味での「地方創生」策は、こうした人たちの行動を既存の制度が邪魔しないための基盤整備にあります。
〔中略〕
 「地方創生」関連法案が、従来のハコモノ行政型とは一線を画した内容であることが強く期待されます。 (The Capital Tribune Japan)”

THE PAGEでうまくこの問題を纏めている。
欧州の豊かな地域と比較すると更に良かっただろう。

付け加えると、うまくいった活性化策に「視察者が殺到」するのは結構だが、
視察した後、何らかの成功に結びつけた事例が皆無に等しい。
公費を使った視察に明確な成果がなければ、行政訴訟の対象とすべきである。
税金で物見遊山に来ているような連中に大改革を実行できる訳がない。
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里親による児童虐待が発覚、放置する自治体も - 本当に土井氏の言うような「温かい家庭環境」なのか

2014-05-05 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
子供の日の前にヒューマン・ライツ・ウォッチがアドボカシーを行っており、
「日本は養護施設ではなく家庭的環境で子供が育つようにすべき」と主張している。

典型的な「先進国に日本が学ぶべき」とのスタンスであり、
養護施設での養育が9割を占める日本は遅れている、ということなのだろう。

人権意識について日本社会では鈍感な面が多いのは事実で、
日本社会が学ぶべき点があることは否定しない。

しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチは重要な問題を忘れている。
日本において里親の「家庭的環境」が本当に良いのかどうか、
真剣に分析せずにただ他国の数値を鵜呑みにするのはナイーブに過ぎよう。

日本の場合、両親が存命であるのに施設に送られた子供が非常に多い。
純然たる貧困問題ではなく、家庭問題と言った方が適切なケースも多い。
また、仄聞する限りでも里親家庭は様々な苦労を抱えている。
報道によれば児童虐待も発生しているそうだ。

里親の希望者がこれほど少ないという現実も、よくよく考える必要がある。
本当に里親の養育が増えた方が望ましいのか。「第三の道」はないのか。

…当ウェブログは、日本が元々平等を好まない、格差肯定の社会であると指摘した。
施設で暮らす子供が放置されている一方で、
凄まじい金額が不妊治療に投入されている現状は、不安を募らせるものである。

経済合理性で考えれば、1000万円近い額を不妊治療に投入するのならば、
里親となって他人の子を養育した方が負担が軽くて済む場合もある筈だ。
ここには、「一度始めてしまったから引き返せない」という以外の理由の存在も推測される。
つまり、排他的で血の繋がっていない子供を無視する血族主義の思考か、
養護施設の子供が問題を抱えている可能性が高いとするリスク回避思考である。
どちらにせよ結局は根底に差別主義があり、子供の格差を拡大させる要因となる。
エマニュエル・トッドは日本の家族形態が排他的・権威主義的であると指摘した。
この問題は思いのほか根深いものなのかもしれない。

 ↓ 日本社会は平等を嫌っている

高所得家庭の国公立大進学率が上昇、私立大学以上に大きい格差 - 再び格差軽視・拡大の時代に入った
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/720b00effe9b7fa7a169d762e4b8c6db

日本国民は平等が大嫌い -「高所得者はよりよい医療を受けられるべき」と回答する比率、先進国で最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0e1f4b8d755b7df19044b9d3937d38f8

また、一部の人々が強硬に否定する遺伝的要因の大きさは、
残念ながら様々な研究によって裏付けられつつある。
下の報道の中にも示唆的な事実がある。

 ↓「取り違えられた男児は……長男として育てられたが、実父の介護に長男だけが協力的でなかった」そうだ

日本は「努力や能力では家庭環境を超えられない」不平等社会 - 事実はカンヌ受賞の映画より奇なり
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a4bf484ed92cbb8bfaeeda00f238f846

▽ これほど遺伝的要因が大きいとすると、自分の血を受け継ぐ子に固執するのも理解できる

『遺伝子の不都合な真実: すべての能力は遺伝である』(安藤寿康,筑摩書房)


子どもの施設養護、日本は9割近く 先進国で最高 HRW報告(AFP=時事)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140502-00000010-jij_afp-int
”【AFP=時事】日本では、親元から離れた子どもの9割近くが、里親に育てられる代わりに養護施設に入れられており、この割合は先進諸国では最も高いとする報告書を、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch、HRW)が1日、発表した。
 報告書によると、生みの親から離れた子どものうち、里親に養育されている子どもはわずか12%で、それ以外の数万人の子どもたちは、人手の足りていない養護施設で生活している。これは経済協力開発機構(OECD)に加盟する先進諸国の中で最も低い割合で、たとえばオーストラリアでは、こうした子どものうち 93.5%が里親の元で暮らしている。
 HRW日本代表の土井香苗(Kanae Doi)氏は「子どもたちが施設に押し込められ、温かい家庭環境で育つ機会を奪われているのには本当に心が痛む」と語る。
〔中略〕
韓国で里親に育てられている子どもの割合は43.6%、米国では77%、英国は71.7%だ。
 119ページに上る報告書によれば、親に子どもを養育する意思または能力がないとの政府の判断で家庭から離された子どもは3万9000人いる。

■里親避ける社会
 報告書によると、HRWが3年にわたり実施した調査の結果、児童相談所が「養子縁組や里親制度よりも施設を優先している」ことが分かったという。「児童相談所は里親よりも施設を好む実親の意向を重視する傾向にあり、また、時間がかかり気も遣う養子縁組や里親制度を避けたがる」といい、ある施設職員は「日本では親の利益が子どもの利益より重要だと見なされている」と語ったという。
 また、児童養護施設は入所している子の人数を基礎に支給される措置費で運営されているため、入所児童数の維持は施設の利益にもつながっている。

「児童養育に関し日本政府は、役所都合の優先順位を容認し、子どもの最善の利益になる判断をないがしろにしている」 と土井代表は述べる。
「子どものために一生懸命働いている社会的養護関係者が多いことは言うまでもない。しかし適切な解決策として、里親養育と養子縁組が今よりはるかに大きな役割を果たすべきとの認識が必要だ」 【翻訳編集】 AFPBB News”

「日本では親の利益が子どもの利益より重要だと見なされている」との言葉があるが、
もしそうだとすると今の施設養育の多さに対し、多数派の支持があると考えざるを得ない。

里親と養子縁組が「適切な解決策」という主張は、
里親希望者の少ない現状から見て現実的とは言えないし、
今の里親・養子制度が望ましい状況になっているかどうか充分に考慮していない。

一方では養育で問題が生じないよう、他方では養子の生育環境を向上させるため、
非営利組織が運営する、複数の「里親役」が世話をする新しい施設も必要と考える。
そのためのファンドレイジングの方がまだしも有益かもしれない。

▽ 日本社会は、自分の子には温かいが他人の子には冷たい

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)


▽ しかも高齢化が進むと医療給付・年金増を求める圧力が増し、教育予算が削減される事実が確認されている

『格差と希望―誰が損をしているか?』(大竹文雄,筑摩書房)


何も考えず里親や養子だけ増やそうとすると、新たな問題を生み出す可能性があろう。
例えば下の報道を参照のこと。


2県が虐待里親に委託継続 登録消さず児童福祉法違反の疑い(共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201404/CN2014042601001934.html
”何らかの事情で親と暮らせない子どもを養育する里親制度で、群馬県と滋賀県が、子どもを虐待したと判断した養育里親に子どもの委託を続けていたことが26日、分かった。児童福祉法は都道府県などに、虐待した養育里親の登録を取り消すよう定めており、同法違反の疑いがある。
 厚生労働省は里親委託を進めているが、一部で制度のずさんな運用が明らかになったことから「経緯を調べたい」としている。
 厚労省の発表を基に共同通信が調べた結果、2009~12年度に里親による虐待は少なくとも13道県市で19件あったことが判明。〔以下略〕”

虐待が19件というのは、直感的にかなり高い比率だと思う。
(日本では里親世帯は1万件を下回っており総数がかなり少ない)
そして判明した数の数倍以上の「予備軍」がいる筈である。

我々は、里親・養子制度や施設養育の実態をまだまだ知らされていない。
恐らく科学的に調査してもいない。そうした五里霧中のなかで、
社会正義を振り回す「良識」派が問題を益々混乱させる危険性もかなりある。
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