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日本国民は平等が大嫌い -「高所得者はよりよい医療を受けられるべき」と回答する比率、先進国で最高

2012-09-25 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
多くのメディアが左程触れなかったことではあるが、
今年の「厚生労働白書」に非常に重要な調査内容が入っていた。

「所得の高い人は医療費を多く払ってよりよい医療サービスを受けられる」
との見解を肯定する比率が5割近くに上ったと言う。
あのアメリカやイギリスを超えて先進国で最高の数値である。
これは医療関係者等が強硬に反対する混合診療への事実上の支持を意味する。

当ウェブログは日本国民が本音として隠している利己主義的傾向と
既得権死守の姿勢を指摘してきたので情けない話ながら想定内である。

 ↓ 参考まで

大阪が衰退する理由 - 資産家は巨額の現預金を死蔵し、一般人は既得権にしがみつく
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/daae1ceebc68a944f208865f75a9779c


▽ 意識調査によれば、日本は社会的弱者に対し先進国で最も冷淡な国



『格差と希望―誰が損をしているか?』(大竹文雄,筑摩書房)


▽ 日本の家計金融資産は高齢層に集中しており、しかも殆どが預貯金

『フレンチ・パラドックス』(榊原英資,文藝春秋)



所得で医療サービスに差、肯定が半数-12年版厚生労働白書(cabrain.net)
http://www.cabrain.net/news/article/newsId/37994.html
”小宮山洋子厚生労働相は28日の閣議で、2012年版厚生労働白書を報告した。同白書に結果が盛り込まれた国民意識調査では、医療サービスの平等性に関する意識などについて質問。「所得の高い人は、所得の低い人よりも、医療費を多く払って、よりよい医療サービスを受けられる」との見解について、「正しい」「どちらかといえば、正しい」との回答が49.6%とほぼ半数に上り、ほかの先進諸国を上回る結果となった。
 肯定派は「正しい」(15.6%)、「どちらかといえば、正しい」(34.0%)となっており、否定派は「どちらかといえば、間違っている」 (14.1%)、「間違っている」(11.2%)で、肯定派が否定派の約2倍に上った。「どちらともいえない」は24.0%、「分からない」は1.1% だった。
 一方、先進諸国を見ると、英国では肯定派が42.6%(「正しい」19.5%、「どちらかといえば、正しい」23.1%)、米国は31.4%(各12.5%、18.9%)、オーストラリアは28.9%(各10.1%、18.8%)などだった

■負担よりも「少ない給付しか受けない」が6割弱

 このほか、自身の生涯を通じての社会保障の給付と負担のバランスに関する意識を聞いたところ、自分が生涯で負担したよりも「かなり少ない給付しか受けないと思う」との意見が33.7%で最も多かった。「やや少ない給付しか受けないと思う」が23.8%でこれに次いでおり、負担に比べ給付が少ないとの見方が6 割弱に上った。
 一方、「やや多くの給付を受けると思う」は14.2%、「かなり多くの給付を受けると思う」は3.1%だった。「ちょうど釣り合った給付を受けると思う」は17.8%、「分からない」は7.4%となっている。
 また、今後の社会保障のあり方について、「給付水準を保つためにある程度の負担の増加はやむを得ない」と考える人は46.5%に上り、「給付水準を引き上げるために、大幅な負担の増加もやむを得ない」とした3.2%と合わせて、ほぼ半数が負担の増加を容認
 一方、「給付水準をある程度下げても、従来どおりの負担とすべき」は21.8%、「給付水準を大幅に引き下げて、負担を減らすことを優先すべき」は14.4%と、負担増を認めない人は36.2%だった。「分からない」は14.1%。
 この調査は、今年2月28日から3月1日にかけて、インターネット上で実施。成人男女3144人から回答を得た。
〔中略〕
 28日の閣議後の記者会見で、小宮山厚労相は「国民、特に学生をはじめ若い人たちが、社会保障について知識を持って議論するために役立つものになっている」と強調した。【津川一馬】”

この調査項目を国民が果たして理解しているかどうか疑問はある。
「高所得層はより良い医療を受けられる」は、
「低所得層はより良い医療を制限される」と同義であり、
真っ先に疑われるのは政策リテラシーの欠如である。

高所得層へより高価な医療サービス(病室環境やアクセス等)を提供して
それを財源として公的医療を改善あるいは医療関連雇用改善を
図ると言うのなら理解できるが、何も考えずに
無意識の利己主義をつい見せてしまった可能性が高い。

「負担に比べ給付が少ない」という馬鹿丸出しの意見が
過半数を占めていることを見ても明らかである。
(これはごく一部の高所得層にしか当てはまらない)
「負担に比べ給付が少ない」のであれば何故GDPより社会保障給付の方が
伸びが大きいのか。自己欺瞞はいい加減にすべきである。


社会保障、若者に不公平感…「給付上回る負担」(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120902-OYT1T00590.htm
”年金や医療保険などの社会保障費について、「負担した分より少ない給付しか受け取れない」と考えている人が約6割に達することが、厚生労働省の国民意識調査の結果でわかった。
 65歳以上では「給付が負担を上回る」ととらえる割合が高かったが、20~40歳代では、8割近くが「負担の方が多い」と答えるなど、世代間の意識の差が鮮明になった。
〔中略〕
 社会保障の給付と負担のバランスをどう見ているかについて、58%の人が「一生涯で負担したよりも少ない給付しか受けられない」と回答。年代別に見ると、59歳以下では負担が給付を上回ると考え、このうち25~29歳は80%、30~34歳の82%がそう答えた。これに対し、60~64歳では36%、65歳以上は24%にとどまった。

すかさず読売新聞が突っ込みを入れている。
「給付水準維持のためある程度の負担増はやむを得ない」が
年金制度批判を避けたい厚労省の望むシナリオであるのだが
このシナリオは世代間不公平の上に築かれているという
厚労省が強硬に否定し嫌がる批判を呼び寄せることになる。

▽ 世代間不公平は明白、経済成長率と出生率を抑制している

『世代間格差:人口減少社会を問いなおす』(加藤久和,筑摩書房)


次回の厚労白書では、世代間不公平の存在を認識しているか、
改善すべきと考えているか、年金制度の持続可能性を信じるか、
そして年金制度に関して政府・厚労省・メディアの3者の
どれを最も信用しているか調査し公開すべきである。
(恐らく政府と厚労省の信用度は低く、メディアも信用されない)
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