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被災地の女性の貧困が深刻化、自営業者・パートの約7割が失業中 -「国土強靭化」で復興できる筈がない

2014-04-30 | いとすぎの見るこの社会-コミュニティ関連
矢張り恐れていたことが起こった。
被災地、特に福島県内での貧困が深刻化しているとの報告が出ている。

元々、東日本大震災の被災地は過疎に苦しんでいた地域が多く、
多くの識者が当該地域からの人口流出が起きると予想しており
「復興」どころか「復旧」すら困難であることは予想されていた。

加えて原発事故による壮烈な風評被害で
福島とその近隣の第一次産業・観光業が凄まじい打撃を受けており、
深刻な影響は後々まで残ることになる。

知られているように被災地支援の熱意と活動は漸減するものである。
被災地での日常回復も個々の状況や資質によって「まだら模様」となり、
被災による打撃が甚大であった人々、復興の動きに取り残された人々は
経済的にも心理的にもより苦しい状況に追い詰められつつある。

寄付金でも「買って応援」でも彼らの苦境は改善されない。
まして、自民党が票田にカネをばら撒き、選挙に勝つための方便である
「国土強靭化」では復興が永遠に不可能なのは明白である。
(せいぜい彼ら利益共同体の「利権回復」でしかない)

更に事態を深刻にしているのは、旧来の家族観に基づいた
機能不全の日本の社会保障政策と雇用政策であり、
この国では大切な家族や生活インフラを失うことで、極貧に転落することが多々ある。

▽ 日本は「家族格差」を拡大させる社会システムを維持している

『なぜ日本は若者に冷酷なのか: そして下降移動社会が到来する』(山田昌弘,東洋経済新報社)


福島の場合、「原発倒産」に続いて「原発事故貧困」の問題が生じつつある。

 ↓ 参考

大震災関連の倒産の最多は原発事故要因、経済の害悪であるのは明白 - 双葉町長も「許せぬ殺人的行為」と
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/6ac992a8ce4d3f144d12d9829df7f01e

▽ しかも日本は、先進国で最も社会的弱者に対して冷淡である

『脱貧困の経済学-日本はまだ変えられる』(飯田泰之共著,自由国民社)


東京ガールズコレクション:復興支援で東北初開催 郡山(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20140430k0000m040084000c.html
”国内最大級のファッションイベント「東京ガールズコレクションin福島2014」が29日、福島県郡山市のビッグパレットふくしまであった。東日本大震災からの復興を支援しようと、東北で初開催となった。オーディションで選ばれた県内の小学生13人がモデルと一緒に夢のステージに立ち、福島の元気を発信した。人気モデルやアーティストを見ようと県内外から延べ約9800人(午後5時現在)が詰めかけ、会場は歓声と熱気に包まれた。
 午後3時開演。いわき市出身の松井愛莉さんをはじめ、土屋アンナさん、香里奈さん、道端アンジェリカさんらが大音量の音楽に乗ってランウエーに登場。若い女性を中心に満員となった会場にペンライトが揺れ、歓喜の声が上がった。ステージの合間には根本匠復興相や佐藤雄平知事、品川万里郡山市長も登壇し、「このイベントの開催が復興そのもの」とあいさつし、復興への加速を誓った。
 小学生モデルには県外避難者を含め555人の応募があった。書類選考を経て58人がオーディションに挑み、13人が晴れ舞台を踏んだ。
〔中略〕
 屋外には、福島の食や観光をPRするブースも出展され県の魅力をアピール。郡山市の女子大生(21)は「香里奈さんのスタイルとファッションに注目しています」と話していた。【浅田芳明】”

このこと自体は良い話であるが、
「復興」をアピールする政治的道具に堕している側面は無視できない。
大学生のコメントから見て、福島が以前より一層首都圏の影響を強く受けるようになり、
若年層の人口流出を加速させる可能性も充分にあろう。

…そして、そうした華やかなステージの裏では「復興格差」も拡大している。


被災地の貧困「女性が深刻化」研究者が報告(毎日新聞)
http://mainichi.jp/feature/20110311/news/20140424k0000m040025000c.html
”東日本大震災被災地の支援団体や研究者が現地の貧困問題を報告する「震災から3年被災地の生活困窮者支援を考える」(実行委主催)が23日、東京都千代田区の参院議員会館であった。福島大の丹波史紀准教授が基調講演し「被災地の女性の失業が深刻化している」と指摘。
〔中略〕
 「反貧困ネットワークふくしま」の共同代表でもある丹波准教授は「震災から4年目に入っても、福島県内の災害公営住宅の建設はわずか1割で、被災者が安定して生活する環境にはない」と指摘。また、震災前後の被災者の職業の変化のデータを示し「震災後、自営業者、パート従業員の約7割が失業しており、パート従業員の多くは女性。除染作業などで有効求人倍率は上がっているが、代替できるものではなく、女性により影響が出ている」と述べた。
 また、福島で子供、若者の支援を行う「ビーンズふくしま」の中鉢博之さんは、福島県外避難世帯のアンケートから「福島に残って父が働き、県外で母と子が暮らすという二重生活者が非常に多い。そうした中で生活資金の不足を抱える世帯が多く、母親たちのメンタルにも問題が出ている。子供たちに向かうケースも報告されており対応が必要だ」と話した。【垂水友里香】”

反貧困の運動家の主張は、科学的な調査と言うよりも
公共資源を分配させるための政治的意図の強いものであるので
言う迄もなく検証は必要だが、他の報道や調査から見て概ね正しい主張と思われる。

二重生活は個々で事情が異なり、どこまで公費でカバーすべきか論が分かれるところだが、
問題は自営業とパートである。公共事業のバラマキでは絶対に彼らは助からない。
実態調査を行った上で、精神的な影響なのか雇用のミスマッチなのかを明らかにし、
公費に依存しない自立的な、かつ以前の職種に代替可能な雇用が必要である。
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