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高所得家庭の国公立大進学率が上昇、私立大学以上に大きい格差 - 再び格差軽視・拡大の時代に入った

2013-05-21 | いとすぎから見るこの社会-格差の拡大
当ウェブログは原理主義的な反格差・格差是正派を批判し、
互いに助け合わず他人にカネを出させようとする低所得層にも責任の一端があること、
また、日本が元々平等を好まない、格差肯定の社会である事実を指摘した。

多くの日本人には非常に悪い癖があり、立場や状況が変わると主張も180度変わる。
かつて佐藤俊樹・東大教授がいみじくも指摘したように
「勝てば自分のおかげ、負ければ社会の責任にしたい」のである。

反格差論がまだ勢いがあった頃に当ウェブログが書いたように、
反格差論は自壊してゆき、自ら格差軽視・拡大の種を蒔いていたのだ。

 ↓ 参考

あなた方は99%ではなく、3%にも満たないのだ。- 日本で反格差デモが支持されない理由
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/079e8cf08b08723f935b5d7df9a66533

しかし時流が転換点を迎えたことで、再び格差問題の深刻化のフェーズに入ったと言える。
経済格差は屢々指摘される通り、必ずしも社会的要因だけではないから尚更である。
低所得層の言動や生活そのものに問題がある場合もある。
身も蓋もない遺伝要因である場合もある。
特定の原因に集約することができず、個々において異なる複合問題である。

 ↓ 参考

低所得であるほど喫煙率・肥満率が高く、野菜を食べない - 厚労省調査に見る格差是正の困難さ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/a4bf484ed92cbb8bfaeeda00f238f846

日本国民は平等が大嫌い -「高所得者はよりよい医療を受けられるべき」と回答する比率、先進国で最高
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0e1f4b8d755b7df19044b9d3937d38f8

▽ 経済格差においても無視できない遺伝的要因の大きさ

『遺伝子の不都合な真実: すべての能力は遺伝である』(安藤寿康,筑摩書房)


▽ 低所得層の家庭環境の劣悪さと教育軽視の深刻な実態

『ドキュメント高校中退―いま、貧困がうまれる場所』


「円安」の効果と副作用 自動車など改善、食料品は値上げ…(産経新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130510-00000121-san-bus_all
”円相場は節目の1ドル=100円を突破し、円安の効果と副作用の課題が改めて問われる段階に入った。円安が進むとの見方も強く、日本経済をリードする自動車など輸出製造業のさらなる業績改善への期待も高まり、株式市場に活気を与えている。その一方で、急速な円安は輸入価格の上昇に伴う商品の値上げ圧力を強め、家計に負担を強いる負の面もある
 「円安のマイナス面の影響と、プラス面の効果がそれぞれバランスしてくる」
 10日の閣議後会見で甘利明経済再生相は、円相場が1ドル=100円を突破したことへの感想を述べた。
〔中略〕
 円安で企業の収益がよくなれば工場建設などの設備投資が増え、雇用が拡大。景気浮揚の好循環が生まれる可能性があるが、同時にさまざまな輸入品の値段を引き上げる。食料品は顕著で身近なマイナス影響だ。
 政府は小麦の売り渡し価格を4月から平均9.7%アップし、6月以降製粉各社が値上げに踏み切る。キユーピーも食用油や包装資材の価格高騰を理由に、マヨネーズなどを7月から2~9%値上げする。すでに、はごろもフーズがツナ缶詰16品を2.2~6.1%値上げした。
 外食でもマクドナルドが輸入食材の上昇を理由に100円だった「ハンバーガー」を120円に引き上げたほか、回転ずしチェーン各社も値上げを検討中だ。
 円安による「輸出の効果は輸入効果の半年遅れ」(甘利氏)とされる。このため、輸出企業の好調を、実体経済に早期に反映させる政策が求められている。”

現下の金融緩和政策は、金融資産を持つ者を急激に富ませ、
金融資産の少ない者、持たない者に痛撃を与える。

資産家層にとっては2006年の市況好調の時代に近く、
低所得層にとっては2008年の物価高の時代に近い状況になってきた。
これは言う迄もなく、経済格差の急拡大を意味する。

「円安のマイナス面とプラス面がバランスする」などと言っている
健忘症の閣僚は、経済リテラシーの低さを曝け出している。
2006年に何が起き、何が問題となったかすら覚えていないのだろう。
伝統的に社会保障がバラマキで買票的傾向の極めて強い政党だから予想通りである。

予言しておくが、半年たっても恩恵は一部にしか及ばず、
大多数の低所得層は物価高の打撃しか受けないであろう。


国立大進学にも親の所得差くっきり 06年調査から一転(朝日新聞)
http://www.asahi.com/edu/articles/TKY201305150616.html
”【大西史晃】経済格差の影響が、授業料が比較的安い国公立大への進学にも及び始めている――。そんな実態が、東京大の研究者らの調査で浮かび上がった。年収400万円以下の低所得層と1050万円以上の高所得層では、子どもの国公立大進学率に3倍近い差があった。2006年の調査時にはなかった傾向だ。
 今回の調査は、昨春、高校を卒業した子どもの保護者が対象。1064人が回答した。
 国公立大進学率は、400万円以下の低所得層が7.4%。所得階層が上がるほど進学率も上がり、1050万円以上の高所得層では20.4%となった。私立大はそれぞれ20.5%と42.5%だった。〔以下略〕”

これは衝撃的な報道である。私立大よりも国公立大の方が格差が大きい。
つまり高所得者の方が多額の税金を利用して高等教育を受けているということだ。

もしこれが本当であれば、国公立大学の学費を親の所得によって決めるか、
所得税を数%引き上げて給付型奨学金に充当する政策が必要である。

かつて突如として格差問題がクローズアップされた時代、その前夜の頃とよく似てきた。
「格差の固定化」を指摘した佐藤俊樹教授の仮説が愈々現実のものとなってきた。

▽ 日本は階層社会化していると指摘し衝撃を与えた著書

『不平等社会日本―さよなら総中流』(佐藤俊樹,中央公論新社)

繰り返すが、他人に責任転嫁する低所得層にも格差拡大を助長する要因がある。
反格差論の一層の退潮と再度の経済格差拡大は不可避であり、
派遣問題のような「火薬庫」が必ずや肥大して炸裂するであろう。
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