figromage

流出雑記 

2009/8/12

2009年08月11日 | Weblog
昨夜、大林宣彦監督『廃市』(1984年)を観た。

福岡県柳川市が舞台。
夏、青年は卒業論文を書くために、静かなこの町を訪れる。
宿泊先は親戚に紹介された旧家の名残ある貝原家。そこには安子という娘がいて気立ての良い彼女は彼の世話を焼く。安子には夫と別れて寺に引きこもり姿を見せない美しい姉がいる。姉の夫は婿養子だったが、家を出て別の女性と同棲しており、ある日情死してしまう。
事件の発端となったのは姉妹の想いや思いやりのほつれで、激しい嫉妬や憎しみとは違うものがゆるやかに首を絞めていった様な、ゆるやかによどみながらこの町を隈無く流れる川の流れや、端から見れば情緒と見える町の雰囲気の中にある閉鎖的な要素にゆっくりと窒息させられたかのような死。
そんな出来事に立ち会いつつ、青年は一夏の間、安子に想いを寄せていたと帰りの電車の中ではっきり自覚するが、それも激情ではなく、焦点を結んだ像は、水面のようにゆらぎ記憶のなかに沈殿する。
全編を通して映像がとても美しかった。日本家屋の夏の建具と日差しの陰影、、柳川を下る船、岸辺を覆う緑、夏祭りの夜の紺…今の時候、夏の夜にちょうど良い映画だった。
九州、特に長崎、福岡を旅したくなる。
そうめんを食べるシーンがあって、なんだかそれがすごくおいしそうに見えた。見終わった後、ダーリンもそうめん食べたくなったと言うので、深夜にそうめん。固めに茹でてしっかり冷やす。ダーリン作キュウリの浅漬けと共に。
それもなんだか妙においしかった。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿