昨夜もやはりコタツに沈没。4時頃に夫が仕事ひと段落と居間に降りてきて風呂を張っている音で目が覚めた。また化粧したまま朝になるところだったので助かった。風呂に入って上がったら5時だったが、ちゃんとパジャマを着てベッドで寝直す。
夫に、さっき何をあんなに叫んだのかと聞かれた。
コタツで寝ているとき、夢うつつでうっすら目を開けたら冷蔵庫を開ける人が見えた。こんな時間に家の冷蔵庫を開ける人は夫以外にあり得ないのに、それが誰であるかはあまり問題ではなく目を開けたときにいきなり動いている人が見えたこと自体に何かすごく驚いて叫んだ。それは夢で実際に声は出ていないと思っていたが、結構な声量でぎゃーっと言ったらしい。
9時起床。
今日は久しぶりに朝から米を炊いた。
米。
小豆は体調の悪い時以外はものすごくよく食べる猫だった。腎不全の猫には腎臓に負担をかけない低タンパクの腎臓ケアのフードが推薦される。
体の為にはいいが普通のフードより嗜好性に欠けるそうで嫌がる猫もいるらしい。そのうえ値段も高い。小豆は構わずなんでもよく食べてくれるので2kgの大袋を買っていた。
年明けに新しいのを買い、封を切ってひと月経たないうちに小豆はごはんを食べなくなってしまった。フードは半分以上残ったままになっていた。栄養分の問題で腎臓が悪くない猫には適さないので小梅にはあげられない。
置いたままにしても傷んでしまうし、捨てるのも気が進まないのでどうしたものかと思っていた。昨日まで通っていた彫刻のアトリエに来ているなかに、腎不全の猫が家にいると言っていた方がひとりいらっしゃった。使いさしを差し上げるのも失礼かとは思ったが、一応もし良ければと聞いてみたら助かりますと快く引きとってくださることになった。
それから数日後、お礼にとずっしりした袋を差し出された。
米。
持った感じは2kgくらい。フードは使っていただけるほうが有り難いくらいなのでお気遣いなくと言ったのだが、お返しをいただいてしまった。
でも小豆のごはんが我らの糧になって帰ってきたと思うとなんだかちょっとおもしろかった。そんなこと思ってもみなかった。もらってくださった方の気持ちであるが、ほんの少し小豆のはからいのようだと思った。あるべき場所に物が渡った時にはこういう小さな喜びがある。そしてなによりその家の猫が少しでも長く生きられるように祈る。
午後からの仕事の前にいろいろすることがあった。
まず塩を擦り込んで4日ほど冷蔵庫で寝かせた豚肩ロースを圧力鍋で茹で、家にあった玉ねぎ、白菜、ごぼうを入れてポトフのように煮る。さつまいもを柔らかくして、豆の入ったクリームチーズソースにからめる。粉類を測ってホームベーカリーにセットしておく。ここまで夕飯の準備。今日は夕方妹がうちにくることになっている。
それからごぼうの切れ端と油揚げの味噌汁を作りだし巻きを焼いて朝兼昼ごはん。
12時前に家を出て地下鉄、から近鉄。彫刻家のアトリエへ。
自宅の敷地内にアトリエがあり、休憩時間に奥さまがお茶を入れてくださった。奥さまの背中にはバナナを握りしめた娘さんが背負われている。この家で出される緑茶はほんとうに葉っぱだけなのかと思うほどうまみがある。今日はそれに和菓子付きだった。
仕事を終えて京都駅で妹に拾ってもらい、車でうちへ向かう。途中で下鴨のナカムラに寄り、トマトとアボカドを買おうと思たがアボカドは熟れているものがひとつもなかったのでかわりにチーズ。マッシュルームなどの野菜、精肉コーナーにものすごく安い豚モモブロックが売っていた。国産なのに。これもまた塩豚にする算段で買う。
帰宅。妹は今日小豆のお参りに来てくれたのだった。
パンが焼けるタイミングを見計らってポトフの鍋を温め、トマトを切ってチーズとパン粉を乗せてトースターで焼く。マッシュルームはにんにくを入れて熱したたっぷりのオリーブオイルで煮て塩をふる。パンの夕食にはこのアヒージョがあるとうれしい。オイルをパンにつけて食べるのは癖になる。
3人でもしゃもしゃ食べる。時々テレビのクイズに答える。土器の名前を答える問題で、妹は縄目が付いている縄文式土器は答えられたが、もうひとつの方はわからず、それを弥生式土器と答えた夫に感心していた。彼女は感覚的にすることにはとても器用ですぐに人より出来てしまうが、5教科の勉強は大嫌いなのだった。彼女の漢字のテストの答案があると大爆笑できる。
あと家族の中で唯一ピアノが弾ける。実家にいた頃、自分では弾けないけれど聴きたい曲を弾いてもらって聴いていた。『戦場のメリークリスマス』やピアノレッスンの主題曲、マイケル・ナイマンの『楽しみを希う心』。これは聴く度に背すじがピリピリするほど良かった。
ピアノレッスン Michael Nyman
そんな妹はこの春から製菓学校の先生になる。