今回は仕事の覚悟がテーマ。
凜に感化され、労働者の為に労働環境の整備に燃える南三条。
帰宅途中で転落死した茅ヶ崎英夫に労災認定の件に深く入り込み、転落死の原因は作業中の転落し頭部を強打したことが原因ではないかと、解剖して調査すべきだと提案する。(詳しくは文末の【ストーリー】を参照)
そんな南三条を、土手山は
「相手に感情移入をし過ぎている。あいつにはまだ免疫がない。こんな入れ込み過ぎると、ちょっとしたことでポキッと折れるぞ」と心配する(ドラマにおいて、こういう予言はほとんど的中する)。
解剖を認めたことといい、今話の土手山は一味違う。しかし、南三条に酷な解剖報告を渡した後、何のフォローもしなかったのは大減点。
その際の、土手山と凜との議論が面白い
「仕事は、冷静な頭と冷静な心でやるものだ」(土手山)
「仕事は、冷静な頭と熱い心でするものだ」(凛)
土手山の言うように、確かに南三条は入れ込み過ぎであった。
・社員を自分の道具のようにしか思わず、職場が危険な状態であると知りながら放置した社長
・パワハラと言うより、私怨による苛めに近かった社長の茅ヶ崎への仕打ち
・茅ヶ崎が亡くなったというのに、まったく哀悼の心が感じられない社長
・安易に「労災が下りる」と言ってしまったことへの負い目
・自分の父が自殺か事故かをはっきりさせなかった事の後悔
そういう感情(社長を懲らしめる、茅ヶ崎の家族を救いたい、過去の後悔への自己満足)に支配された南三条の行動だった。
「少しでも労災の可能性があるなら、きちんと究明すべきでしょうか?」と解剖を実行するべきかを相談する南三条だが、この言葉も南三条の入れ込み過ぎや自己満足が感じられるものだった。
これに対し、凜は
「やるべきだと思うなら周りが反対してもやる。やるべきでないと思うなら誰が何と言おうがやらない。それが監督官というモノでありませんか。
お互い正しいと思うことをやりましょう」
監督官としての仕事をする覚悟(熱い心)を問うた言葉だが、結局、南三条は私情に支配されて解剖に踏み切ってしまった。
解剖の結果、仕事での頭部強打と帰宅途中の転落の因果関係がないということになり、家族を傷つけ、南三条は責任を感じ、後悔の念に駆られてしまい、仕事を放棄してしまう。
気持ちを切り替えて、他の職務(定期監督)に向かおうとする凜に、「段田さんにはなれない。なりたくない。(段田さんに)かき乱された。自分が何をどうしていいか、わからない」と涙を流す。
「私は、南三条さんは南三条さんの信念で行動しているものだと思っていました。
それが、私に影響されて、私に引きずられて……そんなふらふらした気持ちで、茅ヶ崎さんのご遺族に行政解剖を勧めていたとは思いませんでした!」
「行政解剖、全くの空振りだったそうじゃないか!わざわざ私を無視して警察にまで迷惑を掛けて、全くの空振りだったそうじゃないか!」(署長)
「申し訳ありません」(土手山)
「全く申し訳なくはありません。亡くなった原因が、製作所での墜落にあるのか、階段から落ちた時のものであるのか、解剖してみなければ分からなかったんです。
製作所での墜落による傷が死因であれば、茅ヶ崎さんは労災認定され、労災死亡事故として立件できたんです!
「竹光製作所に行ってきます。竹光製作所が墜落事故を起こすような危険な現場であることや、事故が起きた時に平気で労災隠しをするような社風であることには変わりはありません。そこを是正しない限りは、いつかまた事故は起きます。
傷つく人はいるかもしれません。それでも、違反の可能性がある限り、真実を明らかにするためになら私は動きます。労働者が安全に働けるように企業を監督するのが、私たちの仕事ですよね」
かっこいい。
でも、これ、南三条に言ってほしかったなあ。署長も、南三条を心配していた。
【追記】と言うほどのものじゃないですが
“小宮ヨイショ”に走る田中に対して
「田中、うるさい。…うるさい!」
と土手山が遮ったのが、気持ちよかった。
【ストーリー】
能力はあるのに毎日判で押したような生活を送るだけの「THE公務員」だった南三条(松坂桃李)。しかし、指導係として凛(竹内結子)と行動を共にするうちに、「ダンダ化」しているのではないかと土手山(北村一輝)や瑠璃子(トリンドル玲奈)ら同僚は心配する。
そんなある日、ある男性が労働基準監督署にやってきた。会社からの帰宅途中に転落死した父・英夫(大高洋夫)に労災保険が認められるか相談したいというのだ。南三条は労災は必ず下りると言い切るが、その姿に凛は一抹の不安を覚えていた。
その直後、凛の不安は的中。英夫は帰宅途中に私用で寄り道をしていたのだ。労災が下りなかったことを謝罪するために恵子の自宅を訪れた南三条は、英夫が頭痛を訴えていたことを知り、「労働災害」の可能性を疑う凛とともに英夫が勤めていた「竹光製作所」へ。そこで英夫が死亡する直前に社内で頭を打っていたこと、しかし社長の竹光(長谷川初範)が英夫に病院に行くことすら許さなかったことにブチ切れてしまう。
英夫の死因が勤務中に頭を打ったことにあるのではないかと思い当った南三条は、遺体を解剖して調査するべきだと提案。署長の真鍋(佐野史郎)は猛反対するが、凛たちに説得されて土手山は解剖を許可。前例のない解剖を遺族に熱心に進める南三条が、私情に流されているだけなのではないかと疑う凛。同じ頃、土手山も南三条が信念もないままに凛の真似をして傷つく結果にならないかと心配していた。
凜に感化され、労働者の為に労働環境の整備に燃える南三条。
帰宅途中で転落死した茅ヶ崎英夫に労災認定の件に深く入り込み、転落死の原因は作業中の転落し頭部を強打したことが原因ではないかと、解剖して調査すべきだと提案する。(詳しくは文末の【ストーリー】を参照)
そんな南三条を、土手山は
「相手に感情移入をし過ぎている。あいつにはまだ免疫がない。こんな入れ込み過ぎると、ちょっとしたことでポキッと折れるぞ」と心配する(ドラマにおいて、こういう予言はほとんど的中する)。
解剖を認めたことといい、今話の土手山は一味違う。しかし、南三条に酷な解剖報告を渡した後、何のフォローもしなかったのは大減点。
その際の、土手山と凜との議論が面白い
「仕事は、冷静な頭と冷静な心でやるものだ」(土手山)
「仕事は、冷静な頭と熱い心でするものだ」(凛)
土手山の言うように、確かに南三条は入れ込み過ぎであった。
・社員を自分の道具のようにしか思わず、職場が危険な状態であると知りながら放置した社長
・パワハラと言うより、私怨による苛めに近かった社長の茅ヶ崎への仕打ち
・茅ヶ崎が亡くなったというのに、まったく哀悼の心が感じられない社長
・安易に「労災が下りる」と言ってしまったことへの負い目
・自分の父が自殺か事故かをはっきりさせなかった事の後悔
そういう感情(社長を懲らしめる、茅ヶ崎の家族を救いたい、過去の後悔への自己満足)に支配された南三条の行動だった。
「少しでも労災の可能性があるなら、きちんと究明すべきでしょうか?」と解剖を実行するべきかを相談する南三条だが、この言葉も南三条の入れ込み過ぎや自己満足が感じられるものだった。
これに対し、凜は
「やるべきだと思うなら周りが反対してもやる。やるべきでないと思うなら誰が何と言おうがやらない。それが監督官というモノでありませんか。
お互い正しいと思うことをやりましょう」
監督官としての仕事をする覚悟(熱い心)を問うた言葉だが、結局、南三条は私情に支配されて解剖に踏み切ってしまった。
解剖の結果、仕事での頭部強打と帰宅途中の転落の因果関係がないということになり、家族を傷つけ、南三条は責任を感じ、後悔の念に駆られてしまい、仕事を放棄してしまう。
気持ちを切り替えて、他の職務(定期監督)に向かおうとする凜に、「段田さんにはなれない。なりたくない。(段田さんに)かき乱された。自分が何をどうしていいか、わからない」と涙を流す。
「私は、南三条さんは南三条さんの信念で行動しているものだと思っていました。
それが、私に影響されて、私に引きずられて……そんなふらふらした気持ちで、茅ヶ崎さんのご遺族に行政解剖を勧めていたとは思いませんでした!」
「行政解剖、全くの空振りだったそうじゃないか!わざわざ私を無視して警察にまで迷惑を掛けて、全くの空振りだったそうじゃないか!」(署長)
「申し訳ありません」(土手山)
「全く申し訳なくはありません。亡くなった原因が、製作所での墜落にあるのか、階段から落ちた時のものであるのか、解剖してみなければ分からなかったんです。
製作所での墜落による傷が死因であれば、茅ヶ崎さんは労災認定され、労災死亡事故として立件できたんです!
「竹光製作所に行ってきます。竹光製作所が墜落事故を起こすような危険な現場であることや、事故が起きた時に平気で労災隠しをするような社風であることには変わりはありません。そこを是正しない限りは、いつかまた事故は起きます。
傷つく人はいるかもしれません。それでも、違反の可能性がある限り、真実を明らかにするためになら私は動きます。労働者が安全に働けるように企業を監督するのが、私たちの仕事ですよね」
かっこいい。
でも、これ、南三条に言ってほしかったなあ。署長も、南三条を心配していた。
【追記】と言うほどのものじゃないですが
“小宮ヨイショ”に走る田中に対して
「田中、うるさい。…うるさい!」
と土手山が遮ったのが、気持ちよかった。
【ストーリー】
能力はあるのに毎日判で押したような生活を送るだけの「THE公務員」だった南三条(松坂桃李)。しかし、指導係として凛(竹内結子)と行動を共にするうちに、「ダンダ化」しているのではないかと土手山(北村一輝)や瑠璃子(トリンドル玲奈)ら同僚は心配する。
そんなある日、ある男性が労働基準監督署にやってきた。会社からの帰宅途中に転落死した父・英夫(大高洋夫)に労災保険が認められるか相談したいというのだ。南三条は労災は必ず下りると言い切るが、その姿に凛は一抹の不安を覚えていた。
その直後、凛の不安は的中。英夫は帰宅途中に私用で寄り道をしていたのだ。労災が下りなかったことを謝罪するために恵子の自宅を訪れた南三条は、英夫が頭痛を訴えていたことを知り、「労働災害」の可能性を疑う凛とともに英夫が勤めていた「竹光製作所」へ。そこで英夫が死亡する直前に社内で頭を打っていたこと、しかし社長の竹光(長谷川初範)が英夫に病院に行くことすら許さなかったことにブチ切れてしまう。
英夫の死因が勤務中に頭を打ったことにあるのではないかと思い当った南三条は、遺体を解剖して調査するべきだと提案。署長の真鍋(佐野史郎)は猛反対するが、凛たちに説得されて土手山は解剖を許可。前例のない解剖を遺族に熱心に進める南三条が、私情に流されているだけなのではないかと疑う凛。同じ頃、土手山も南三条が信念もないままに凛の真似をして傷つく結果にならないかと心配していた。