英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2017王座戦第1局 ~大逆転負け~ ……その1「私が思う敗因と急いた攻め」

2017-09-06 23:02:06 | 将棋
 大逆転負け……
 ショック度は2016名人戦第2局、逆転負けによる虚脱感は2016王位戦第5局………

 大局観の狂い、読みの精度が落ちている、体力・脳力などの持久力の衰え、羽生王座の方が間違えやすい局面が続いた……などの原因が考えられるが、AbemaTVの映像の挑戦者の中村六段の鬼気迫る表情から、中村六段の気迫がひしひしと伝わってきた。気持ちで羽生王座を上回っていた。羽生王座の一番の敗因のように思う。
 非勢に陥ってからの頑張りは見事で、羽生王座云々と言うよりは、中村六段を讃えるべきであろう。


 無料で中継してくれるAbemaTVには感謝しているが、解説者を充実させてほしい。中田功七段の三間飛車のファンなのだが、思い込みで局面をとらえ過ぎて、読みの精度にかけていた(110手目あたりでは先手玉が4五に逃げていくのを見逃していて「後手勝ち」を断定していたかと思えば、123手目に危険そうな6五に玉を逃げる手が全く見えていない……などなど)。
 それと、私だけかもしれないが、頻繁…本当に頻繁に回線が途切れるのを何とかしてほしい



 序盤、後手の羽生王座が△4四歩と角換わりを拒否して、今はやりの“雁木風”の構えを採用。
 先手中村六段が2筋に動いたのに対し、△5五歩と動いて得た1歩を、8筋の継歩に活用。これが功を奏し、局面をリード。
 そして、先手の急所に△6七歩と突き刺す。

 ▲6七同金は△8七歩成▲同歩△同飛成なので▲7九角と逃げたが、先手陣の急所にくさびが打ち込まれた。
 ▲7九角以下、△6四銀と第二の矢を繰り出す後手に対し、先手も桂頭攻め覚悟の▲7七桂の勝負手。
 以下、△7五歩▲6五歩△7六歩▲6四歩△7七歩成▲同銀△6五桂打(第2図)と進む。
 6七に歩が残り、後手が快調だが、先手も銀桂交換の駒得に持ち込み、手順に6四に歩が進んだ。
 将棋の流れは後手だが、その流れほど局勢は傾いておらず、後手の指し方も意外に難しい。
 

 第2図の△6五桂打……“継ぎ桂”。美濃囲い崩しの筋や、両取りに重ねて打てば守備駒で取られても同桂で両取りが解けないなど、時には抜群の効果を発揮するが、「三段目+五段目」の継ぎ桂の場合は駒の働きとしては重複感が強い。
 本譜は△6五桂打▲7六銀△2六角▲同飛△5七歩と詰めろで攻めたてる。確かに息をつかせぬ厳しい攻めのように見える……

 ▲3五歩と角切りを防がれる前に角を切っておく。さらに手順に飛車の横利きをそらすこともできるが、△2六角と攻めにも守りにも働いていない銀と刺し違えるのは勿体ない。先の△6五桂打と合わせて、短兵急なのではないだろうか?羽生王座も「単調だったかも」と振り返っている。
 感想戦では△6五桂打では単に△5七歩が良いとされた。▲同金なら打つ必要がなくなり△6五桂と跳ねることができる(△6五桂に代えて変な手だが△8七桂もあるかも)。また、△5七歩に▲同角ならそこで△6五桂打でよい。
 羽生王座は△5七歩に対して角切りを防ぐ▲3五歩を気にしたようだが、これには△4六歩(軽妙図)が“味よし九段”(有吉九段)。
 
 ▲4六同金なら△6五桂と跳ねることができ、▲4八歩と受けるのは飛車の横利きを止めるうえ、▲4二歩など攻めに歩を使えなくなりプロなら絶対に打たない歩だ。また、▲4八飛と飛車で歩成を受け、あわよくば4筋逆襲を目論む手もあるが、玉飛接近で当たりが強くなり、マイナスになりそう。

 とにかく、軽妙図の余裕の手順に比べて、本譜は“急かされて攻めている”印象を受ける。

 単調図以下▲6七金に△5八銀と打ち込む。

 △5八銀は夕休前に49分の考慮。夕食休憩(50分)を含めると、ほぼ1時間40分。勝ちを読み切ったと思いたかったが、感触の良くない攻め筋……竜王位挑戦者決定戦第2局の△2四香を思い出す。嫌な予感がした。
 最近、優勢の局面で長考した手や夕食休憩後の指し手が疑問手だったことが多いし……

【続く】

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