英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

相棒 season13 第1話「ファントム・アサシン」

2014-10-17 21:01:36 | ドラマ・映画
 かなり残念な出来だったと思うが、どうなのだろう?
 このドラマの「売り」のひとつとして「連続リレー殺人」が挙げられるが、これを予想外と思われた方は面白いと感じたかもしれない。
 あ、いえ、「私はそれを見破ったから偉い」と言いたいのではないが、最初の事件の歩道橋付近で第一の被害者と第二の被害者がニアミスしていたことから「リレー殺人」が見えてしまった
 もちろん、共に情報提供者なので顔見知りで、ロシア人スパイ・アレンスキーが亡命したことについて相談していたとも考えられるが、後に生存している情報提供者が一堂に会した際の様子から、その線は薄くなった。
 そんなわけで、リレー殺人の線で観ていたので、この殺人手段の危うさが目について仕方がなかった


【危険性】
1.殺人の理由が薄い

 「家族、思想、金など、弱点を持っており、そこを突いた」と言うが、情報提供者はそれなりの地位や職業についており、情報提供などは行っても、おいそれとは殺人は犯さないと思われる。リスクが大きく、そのリスクを考慮する分別もありそうだ。
 殺人を実行に移すこと自体、納得しがたいが、実行する決断をしたとしても、いざとなったら躊躇して失敗、未遂に終わる可能性も強い。

2.露見の危険がありすぎる
 そもそも、実行者が素人なのでヘマをしてしまいそう。
 第一の歩道橋転落について言えば、事故に見せかける利点はあるものの、日中に実行しては目撃されてしまう危険性が高い。
 第二の事件についても、目撃の危険性は高い。右京も指摘していたが、確実に殺していない点も目的完遂の点から言えば甘いと言わざるを得ない。


【不合理】
3.可哀そうな自衛官

 どんな弱点を突かれたのか分からないが、指示に従い自らの腕を刃物で刺し、部屋の窓もぶっ壊したというのに、
「連続殺人犯として検挙されることを思えば、20針の自傷など軽いものではありませんか?」
(「下山を殺したのも?」)
「ええ、もちろん、彼ですよ」
「ふざけるのもいい加減にしろ!、自分は誰も殺していない」
「誰の指示だったんですか?……あなたはあくまでも実行犯、あなたに殺害を指示した人物がいるはずです。
 ご承知のように、殺害を指示した人物は教唆犯としてあなたと同等の罪を追うことになります。
 ここまで来て、あなただけが罪をかぶるなんて、馬鹿らしいですよ」
「……………………確かに指示を受けた」
「誰から?」
「けど、人殺しじゃない」
「誰からですか?」
「それは誓っていい。本当に人殺しじゃな…」
余計なことは結構っ!
 誰からの指示だったか聞いてるんです」
「……この男です」
「天野室長ですか」
「ええ、けど人殺しの指示じゃない。襲われた振りをしろって」


≪矢部の回想シーンが流れる≫

「(襲われた振りをした)それだけだ。信じてくれ、人殺しはしていない、そんな指示は受けていない。
 本当なんですよ!」
「ええ、それは最初から分かっていました


 矢部を追い詰めるため、矢部が殺人を犯していないことを知ったうえで、連続殺人犯として矢部を追求し、
“自分は人を殺していない”という矢部の必死の訴えを、“余計なこと”と切って捨てる(しかも、激高)

右京さん、滅茶苦茶人が悪いぞ!

【その他の不満点】
・被害者の共通点はすぐ明らかになるし、順番の推理もなかった。残る謎としては、“全員を殺害せず、下山だけを殺害したのはなぜか”ということだけ。
 その理由が、有能な彼女を下山に潰されたくなかったからというもの。もちろん、これは理解できるが、真犯人の室長は売国奴は死に値するという国家主義者。その彼が、ロシアのスパイを愛していた社美彌子を許し、守るものなのか?

・相変わらずの享の助手振り
 右京と違う視点を持ったり、相対する立場に立つわけでもなく、着々と右京の手伝いをするだけ。相棒ではなくじょすである。
 この際、小林少年(助手)ごとく、変装(女装も可)したり、敵につかまり監禁されて欲しい。

【その他の感想】
・縄張り争いに関しては、内村刑事部長の右に出るものはない。
 「私は常にこの首を懸けて仕事をしてますよ」
と、自分の首を叩いてアピールしていましたが、どう考えても懸けられている首は参事官のものだろう。

・社美彌子を演じた仲間さん、彼女が画面にいると空気がピンと張りつめる。
 彼女の存在感を改めて感じた。
 個人的には、『トリック』の山田のキャラで相棒に出てほしい気もした。

・恋人を父親の前に置き去り!
 享君、お子様過ぎない?




【ストーリー】番組サイトより
 ある日、右京(水谷豊)のもとに、かつて事件を通じて特命係とかかわったホームレスの吉田一郎(松尾貴史)が訪ねてくる。ゴミ箱から拾ったバラバラのレジュメを繋ぎ合わせたところ、そこには歩道橋から転落死したと報じられた男性会社員の詳細な個人情報が書かれていたという。それが何らかの事件であることを察した右京と享(成宮寛貴)は、独自の捜査を開始する。
 そんな中、右京は歩道橋付近の防犯カメラに、先日絞殺された大学准教授が映っているのを発見。ふたつの事件の繋がりを疑う。そして、吉田から受け取ったレジュメから、社美彌子(仲間由紀恵)という女性の指紋が見つかる。彼女は、内閣情報調査室総務部門(通称・内調)に在籍する、情報機関のスペシャリストだった。さっそく、美彌子と面会した右京と享は、レジュメが内調の資料室から何者かによって持ち出されたものだと聞く。美彌子によると、レジュメには7名の日本人の詳細な情報が書かれていた。7名は先ごろアメリカに亡命したロシア人スパイが日本滞在中に情報を得ていた協力者だと証言した人物という。米CIAから内調に極秘裏に連絡があったのだ。
 その内、既に3名が死亡。転落死した男性会社員と、絞殺された大学准教授、さらに昨夜殺害された新聞記者の名前があった。何者かがリストアップされた7人を次々に殺している“連続暗殺事件”の可能性が浮上し、捜査一課は残る4人の警護を担当することに。ところが、その矢先、思わぬ事態が起こり、警護は大混乱に陥る。

 7人を狙う“姿なき暗殺者”は一体誰なのか?
 右京と享は、日本の情報戦略を根底から揺るがす
 スパイ事件の闇を解き明かすことができるのか…!?
 国家レベルの巨大事件から、特命係の新たな捜査が始まる!

ゲスト:仲間由紀恵 羽場裕一

脚本:輿水泰弘
監督:和泉聖治

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4 コメント

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トリックの。。 (koumama)
2014-10-17 21:12:49
ヤマダのキャラで仲間さんが出たら。。(笑)想像したら面白いね(笑)
彼女が出たので今回スペシャルが2時間持った気がするのだけど。。英さんもそう感じたかな。。?
内容はわかりずらかった気もするけど まあまあでした。
これからの相棒
期待してるけど。。前回のようにがっかりする回は少なければいいなって思っています(笑)
返信する
今シリーズも、あまり期待は… ()
2014-10-18 17:02:43
koumamaさん、こんにちは。

>ヤマダのキャラで仲間さんが出たら。。(笑)想像したら面白いね(笑)

 この際、右京さんが、「まるっとお見通しだぁっ!」と言ってほしかったです。

>彼女が出たので今回スペシャルが2時間持った気がするのだけど。。英さんもそう感じたかな。。?

 脚本家さんは、リレー殺人に自信を持ちすぎて、その他がおざなりになったようです。内容はスカスカでした。
返信する
おひさしぶりんく (かみしろ)
2014-10-20 21:50:05
「頼むから、発車寸前に降りられて巻かれるなんて展開はやめてくれめんす」
四人もいて・・・・。
二人一組(普通一緒にはいない)で尾行するのはこういう時に二手に分かれられるから。本数が多ければ次の電車で、田舎であればバックアップの車と合流して追う。
全員に巻かれるってどんだけ無能・・・・
ストーリーの都合で強引過ぎる展開でした。

ロシア人と仲間の関係は秘密の関係だったと市内と話に無理がある。知ってれば普通室長が真っ先に殺そうとするのは仲間でしょう。
しかし・・・・・そんなのが秘密の関係でいられるなんて・・・どんだけ無能な情報機関・・・・・。
どんな描写でしたっけ? 秘密の関係であったにしろなかったにしろ無理でしょう。仲間だと思っていた仲間が二重スパイであるというのならわかるけど、男女の関係でうんぬんって感じに見えたんで。

そういう細かいところを除いても
「その気になれば持ち出せる人間は・・・」
結構いる、と言わせておきながら

実質二人しか登場させなかったらだめじゃん・・・
まあ視聴者に推理を楽しんでもらう番組ではないとは思うけどね。
返信する
ストーリーが雑すぎました ()
2014-10-21 16:29:38
かみしろさん、こんにちは。

>「頼むから、発車寸前に降りられて巻かれるなんて展開はやめてくれめんす」 四人もいて・・・・

 4人一緒に動くなんて、目立つだけです。
 発車間際に降りて出し抜かれるなんて、間抜けです。
 まあ、撒かれることは想定外(想定外にするなと言いたいですが)だとしても、迂闊すぎます。

>秘密の関係でいられるなんて・・・どんだけ無能な情報機関・・・・・

 ええ、「日本は情報戦が無防備すぎる」と嘆いていた室長ですが、その言葉、そのまま跳ね返してもいいですね。

>まあ視聴者に推理を楽しんでもらう番組ではないとは思うけどね。

 「視聴者が推理するのを楽しむ」ドラマではなく、「右京の推理を楽しむ」ドラマでありますが、その部分に緻密さがなくなっているので、『相棒』の魅力は激減しています。
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