英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『軍師官兵衛』 第8話「秀吉という男」

2014-02-23 21:32:44 | ドラマ・映画
非常に物足りない信長への謁見
 播磨の情勢と播磨(小寺家)の重要性を説くが、内容はナレーションが語るような説明。
 織田家重臣を唸らせるような鋭い分析や兵法でもなく、心を動かすようなものでもなかった。

 官兵衛の手勢が兵500と聞き、
丹羽長秀が「なるほど、それは少なくてお困りであろう。信長さまに泣きつく訳だ」
と揶揄したとき、当たり前の兵法を説くのではなく、
「我々が織田家についてあげるのです」
ぐらいの豪胆さ、そして、官兵衛らの価値と有能さを示し納得させるような明晰さを見せてほしかった。
 それなら、信長が名刀・圧切(へしきり)・を授けるシーンも緊迫感が出たはず。
「そちが申したことは、この信長と考えていたことと同じだ。面白かったぞ」
という信長の台詞……説明的で蛇足だ

さらに、お濃による信長へのインタビューはさらに親切
 信長の考えや、重臣たちの動きや心の内を説明してくれる。
 

個々のエピソードは面白かったが、練り込み不足もあり、並べただけという感も大きい。
☆「(私を女だから弱いなどと)戦場で敵を舐めて掛かると、命を落としますよ」
 光姫から又兵衛への教えで、薙刀捌きも見事で、説得力もあった。
 しかし、
 又兵衛の不満は、「弱い松寿丸(小さいから弱いが、実際に又兵衛より弱いのも事実で、見くびったわけではない)と稽古しても、自分の稽古にはならない」というもので、光姫の説教は答えになっていない。

☆命の使い道
 狼藉を働いた若者を、見せしめに首を刎ねようとする秀吉に
「若くて頑健、勿体ない。昼間働かせて、夜は牢に入れればよい。
 人間生きていれば、使い道もある。“命の使い道”でございます
 なるほどとも思うが、この男が逃げ出してまた狼藉を働く、あるいはサボってばかりで無駄飯を食らうという恐れも大きい。せめて、この男の前では、そんな台詞を吐いてはいけない。「生きていれば、いいこともあるぞ」と改心させる方が効果的。

☆官兵衛、トンチ問答
 「わしらは岐阜におった」ことにすると念を押す秀吉、「本当のことを言え」と責めるおねとの板挟みの官兵衛
 「どこにもおりませぬ」と分かったような、分からないような答えで切り抜ける

☆職隆、裏ルートで政職を調略
 ≪毛利につく≫と心変わりした政職の気配を察知。
 光姫→お紺ルートで政職を調略。
 まあ、これはこれでいいと思うが、実際問題、既に信長に謁見した後では、毛利について毛利が勝ったとしても、その前に信長は小寺家(御着城)を真っ先に滅ぼすであろう。
 このことを政職に理解させるのが大切である。

☆黒田家(黒田二十四騎)の結束
 これも良いのだが、官兵衛、善助、太兵衛、九郎右衛門との繋がりが描き切れていないので、説得力に掛け、ただイベントを消化した感が強い。
 秀吉は、本当に太兵衛が欲しかったのだろうか?
 家臣を所望された官兵衛の反応を見たかったのか、家臣にどれだけ慕われているのかを測りたかったのか……
 この辺りを、深く描いてこその『秀吉と官兵衛の出会い』であるはずだ。



物足りない……
 


【ストーリー】番組サイトより
 小寺の使者として岐阜城を訪れ、信長(江口洋介)に謁見した官兵衛(岡田准一)。明智光秀(春風亭小朝)ら織田家重臣たちが居並ぶ緊張と、信長の鋭い視線にさらされるなか、必死の思いで播磨攻略法を説く。
 その弁舌を気に入った信長は官兵衛に「圧切(へしきり)」という名刀を授け、播磨攻めの総大将として秀吉(竹中直人)を紹介する。気さくな秀吉は官兵衛を自身の居城・長浜城に連れていき、妻・おね(黒木瞳)や石田三成(田中圭)ら家臣と引き合わせる。

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10 コメント

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あそこは困惑して欲しかった(笑) (こてくん)
2014-02-24 18:41:18
圧切をもらった、官兵衛。

「おおっ!!」

と思う。

でも、官兵衛は人斬りが嫌いだから、
『名刀』もらっても嬉しくないだろう
なぁ~~~~、

と、わたしの脳内では思っているので、
ちょっち『困惑』して欲しかったなぁ~~~~
と、思いつつも信長の前では
それはできんか・・・・とも
思いました。

まっ、今回の『信長に謁見』の場合。
事実上の織田家家臣紹介編
なので、事務的なのだろうと(笑)

琴線に触れるセリフが無いのも
しょうが無いところです。

圧切を与える所も、もう少し緊迫した
間が欲しかったなぁ~~~~。

意外とあっさりなイメージが・・・・(笑)

少なくとも圧切による素振りが・・・・・
(こてくん、さすがに無いよ。それは・笑)

☆最近・・・・
小寺政職さんの息子がでない。病弱なようだ。
それに比べて、松寿丸の健やかなこと。
ひっそり伏線を張っているのが
嬉しい。

そして、岐阜におった発言・・・・
岐阜~長浜57・3kmを1日で走破する、
秀吉・官兵衛
御一行・・・・後の『美濃大返し』並に近い
健脚・・・・。


いかんぞ、それは。
おねにバレバレやがな・・・・(笑)

今はネットがあるので、詳しく調べることが
できる為に、
調べてみれば調べてみるほどに、
面白く感じます。

それにしても、官兵衛は誠実だな。
「美濃に居った」と言えば、

「秀吉さま、その嘘はばれます。
別のこんな嘘の方が良いかと」
と献策するのが普通の軍師らしいの
ですが、

何も献策せずに、普通にあたふたしてた
もんねぇ~~~~(笑)

雑・物足りないのを脳内で補完するのが
このドラマの肝??(笑)

いや、しかし、秀吉とようやく合流できました。
ここからのテンポは、今までが超スピードだっただけに、
急に各駅停車になるはず。

と、密かに楽しみにしているこてくんでした。

PS・単に毎回「あらさがし」したいだけ、
だったりして(笑)




返信する
普通、ドラマ的には ()
2014-02-24 20:40:16
こてくん、こんばんは。

>圧切を与える所も、もう少し緊迫した間が欲しかったなぁ~~~~。

>意外とあっさりなイメージが・・・・(笑)

 普通、ドラマでは、特に信長辺りだと、刀を振りおろし寸止めぐらいはやると思いますが、さしたる間もなく、あっさりでしたね。
 人格者の里見助教授(白い巨塔)、進藤先生(救命病棟24時)の江口さんでは、そうそう意地悪もできないか。

>岐阜~長浜57・3kmを1日で走破する

 そうですね。時速6キロ(けっこう速足)でもくもく歩いても10時間です。
 となると、昨日まで岐阜に居たという嘘はバレバレですね。

>小寺政職さんの息子がでない。病弱なようだ。
>それに比べて、松寿丸の健やかなこと。
>ひっそり伏線を張っているのが嬉しい。

小寺氏の動向は、序盤の見せ場ですね。

返信する
なんか安っぽい ( かみしろ)
2014-03-02 22:33:33
>普通、ドラマでは、特に信長辺りだと、刀を振りおろし寸止めぐらいはやると思いますが、さしたる間もなく、あっさりでしたね。

私は逆にあのくらいがぎりぎりで、「斬られるかも演出」がもっと色濃かったら完全に白けたと思います。
いや、だってその前のくろべえがごく普通のことしか言ってない・・・・。
「普通すぎる」
で切り殺すかも知れないというのはなんぼ信長でもないでしょう。

歴史ドラマでステレオタイプのエピソードを重ねるのは普通、というか、歴史を改変されても困るし(最近の大河は当たり前みたいにやるけど)、ちゃんと作り込まれて説得力があればいいのですが、

>又兵衛の不満は、「弱い松寿丸(小さいから弱いが、実際に又兵衛より弱いのも事実で、見くびったわけではない)と稽古しても、自分の稽古にはならない」というもので、光姫の説教は答えになっていない。

こういう頓珍漢なことをやられると困ってしまいます。
又兵衛君も同年代の女子を見くびるなら「わかる」んですが、薙刀持った大人を「見くびるんですか?」。

先ず間違いなく現総理の意向で長州モノになったであろう来年の大河が「史上最低のでき」になるだろうからと「くろべえ」にはちょっと期待したのですが、もう大河ドラマも終わった方がいいんじゃなかろうか。

猫侍とかタッキーのねずみとかの方が普通に面白い。殺陣が本気で取り組んでいない学芸会レベルなのが(猫の方)残念だが。
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作り込みが足りませんよね ()
2014-03-03 11:20:05
かみしろさん、こんにちは。

>私は逆にあのくらいがぎりぎりで、「斬られるかも演出」がもっと色濃かったら完全に白けたと思います。
>いや、だってその前のくろべえがごく普通のことしか言ってない・・・・。
>「普通すぎる」で切り殺すかも知れないというのはなんぼ信長でもないでしょう。

 ええと、あの刀のシーンのタメは好みのわかれるところですが、「官兵衛のプレゼンが当たり前すぎる」という不満では、私とかみしろさんは一致しているということでいいのでしょうか。

>又兵衛君も同年代の女子を見くびるなら「わかる」んですが、薙刀持った大人を「見くびるんですか?」。

 この薙刀のシーンは、シーンとしては良かったのですが、光姫の説教が滅茶苦茶だったのが残念です。
 確かに、「大人」「薙刀」を見くびることは、普通はありません。

 来年の大河はたぶん観ません。
返信する
必要条件 (かみしろ)
2014-03-03 12:47:58
歴史ドラマなので、基本的に何が起きるのかは決まっています。
あの場面では
官兵衛が信長から名刀を授かる。
ということが決定している。
すると、信長に相当気に入られた筈で、そのような言動が必要になる。
しかしそのような言動がなかった(普通)。

斬られるかも演出自体は、必要ではない。無論信長のイメージから入れても不自然ではないが、それには「信長に斬られるかも」という言動が官兵衛に必要になる。
しかしそのような言動がなかった(普通)。

あの場面では智略の片鱗ではなく覚悟を示して関心させるのが自然で、智略を(脚本家が)思いつかなかったら素直にそうした方がいい。


それとあの場面で意味不明な孫子の引用に、この脚本家は歴史物やるにはちょっと不勉強すぎる・・・のではないかと。

>官兵衛の手勢が兵500と聞き、
丹羽長秀が「なるほど、それは少なくてお困りであろう。信長さまに泣きつく訳だ」
と揶揄したとき、当たり前の兵法を説くのではなく、

ここなんですが、孫子の大前提とし「戦わずして勝つ」があり、その王道は「圧倒的な戦力差を示して降伏させる」です。現実的には難しいので「策略」を練ることになる。そして「500」の手勢で毛利につくか織田につくかという状態は「戦わずして降伏」している状態です。
その相手を揶揄する丹羽も白々しい詭弁で返す官兵衛も有能に見えない。丹羽を無能風(限定的)に描くというのは、一本取られた、といった感じでありでしょうが、名軍師が詭弁を弄するというのはどうにも。

それにしても来年の大河ですが、制作発表の時点でかなり遅れて、現場は大変でしょうね。
八重の時でさえタイトル詐欺な感じで、兄の業績をぱくってどうにか体裁を保ったのに・・・・・。全12回くらいとか?
返信する
なるほど ()
2014-03-03 14:08:13
かみしろさん、さっそくのご返答、ありがとうございます。

>官兵衛が信長から名刀を授かる。
ということが決定している。
>すると、信長に相当気に入られた筈で、そのような言動が必要になる。
>しかしそのような言動がなかった(普通)。

>斬られるかも演出自体は、必要ではない。無論信長のイメージから入れても不自然ではないが、それには「信長に斬られるかも」という言動が官兵衛に必要になる。
>しかしそのような言動がなかった(普通)。

 なるほど、必要性や因果関係は面白い分析で、感心しました。
 ただ、一点、『それには「信長に斬られるかも」という言動が官兵衛に必要になる』ですが、「理解し難い信長像」という解釈ならば、信長を怒らせる言動はなくても、信長に対したものが勝手にそう感じてしまうこともあり得ます。
 この場合、官兵衛が見事なプレゼンをした、あるいはしたつもりでも、少し間をおけば、(信長にその気がなくても)信長に斬られるかもと思うのはあり得ます。切れ者の官兵衛はともかく、視聴者はそう思ってしまうし、それでいいと思います。

 あと、官兵衛の手勢は500の件ですが、こてくんがご自身のブログで突っ込んでいましたが、あの場面では官兵衛の手勢ではなく、小寺家の兵力を問うべきであると。
 確かにそうだと思いました。
返信する
信長像 (かみしろ)
2014-03-03 22:20:39
>ただ、一点、『それには「信長に斬られるかも」という言動が官兵衛に必要になる』ですが、「理解し難い信長像」という解釈ならば、信長を怒らせる言動はなくても、信長に対したものが勝手にそう感じてしまうこともあり得ます。

物語を見る際のかなり究極的な問題なのですが、知識、眼力を増すほどに「粗に敏感になって面白いと思える物語が減る」というものがあります。
知識がなければ感覚に訴えかける臨場感のようなものだけで、筋が目茶苦茶でも「面白い」と感じるのですが、知識が増えるとそのハードルがものすごく上がる。
この場面で私がちょっと白けてしまったのも、私がかなりな程度固定した信長像を持っていて、
「あの場面で切ったらほんとの狂人だよ」
と思うからです。
晩年にはそういった(狂人)感じのエピソードがあって、自己の権力が増大したからとか、病気で癇癪に拍車がかかったとかいう解釈も有りかなと思うのですが、それまでは合理的で、敵対した人間には苛烈なものの、恭順の意を示している人間を切り殺す、というのはあり得ない。
という前提が私の中にあるので、あの場面で普通の言動をした官兵衛が斬られるかも、という演出は、「信長の解釈」ではなく、意味不明の白々しい演出に見えてしまう。

こういう知識や記憶力をいい感じに失った「ぽんこつ」状態になれば、多分それなりの説得力を持つ物語が五つくらいあれば、それらを繰り返し見続けるだけでかなり幸福な時間を過ごせるだろうな、と時々想像します。
返信する
信長のイメージは ()
2014-03-03 22:35:36
かみしろさん、こんばんは。

 なるほど、詳細を知るものと、世間一般とでは信長像にj差があるわけですね。
 狂人のイメージが強いのは、やはり「比叡山焼き討ち」で女子供を皆殺しにしたことに依るものですね。
 もちろん、この信長の行為は狂人ゆえのものではなく、信長の考えに基づくものだと思いますが、ドラマの中では一般的に、憎まれ恐れられていたし、世間的にも狂人的な面があると定着しているので、「信長が刀を持つ」→「斬られる」と連想してもいいと思います。

 もちろん、かみしろさんの
>あの場面で普通の言動をした官兵衛が斬られるかも、という演出は、「信長の解釈」ではなく、意味不明の白々しい演出に見えてしまう

 という感覚は否定しません。

 今回、非常に面白いコメントをいただきありがとうございます(皮肉じゃないです。私が書くと誤解されそうですが…笑)
返信する
トランプエレメント (サステナブル)
2022-03-14 10:19:08
全てを統べるCCSCモデルか。
返信する
申し訳ありません ()
2022-03-17 15:41:38
サステナブルさん、こんにちは。

せっかくコメントをいただいたのですが、私の語彙力不足の為、うまくレスができません。申し訳ありません。
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