英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

フェデラー復活 ~2017全豪オープンテニス~

2017-02-03 23:41:29 | スポーツ
夢でも見ているんじゃないだろうか………
確かに、1月22日、卓球の全日本選手権の石川選手が敗れ、女流名人戦第2局で里見女流名人が敗れ0勝2敗と追い込まれた日に、フェデラーが錦織を破り、何とか落ち込まないで済んだ日、フェデラーの復活度が非常に高いレベルに到達していることを感じてはいたが…

 第17シード……シードの低さなど関係なく、フェデラーがカムバックしてくれたことが嬉しかった。
 ≪フェデラーと早い段階でぶつかるシード選手は災難だな≫とトーナメント表を見ると第5シードの錦織と同じ山だった。この時点では、4回戦まで勝ち上がるかどうか、半信半疑だった。
 ふたりが勝ち進み4回戦で対戦することになり、改めてこの二人の試合を考察すると、フェデラーが錦織に敗れるというイメージが起きなかった。フェデラーにとって錦織は戦いやすい相手のように思える。
 今大会のフェデラーは1回戦はユルゲン・メルツァー(AUT・グランドスラム大会である程度勝ち進めでいる実績はあるが、昨年は不出場)に1セット落としているが、3回戦ではトマーシュ・ベルディヒ(CZE)に3-0で快勝しており、復活を強く感じさせていた。

 そして4回戦の錦織戦
 今回、フェデラーがカムバックしてくれたことが嬉しく、優勝なんて期待していなかったが、早い段階での敗退は悲しいので、ベスト8には残ってほしいと思っていた。ところが、第2シードのジョコビッチが2回戦で、第1シードのマレーも4回戦で相次いで敗れる波乱。4回戦で錦織に勝てば、準々決勝はマレーと当たる予定だったので、これは風が吹いてきたかなという予感はあったが、まずは錦織戦。これに勝ってとにかくベスト8という思いが強かった。
 当のフェデラーも
「準々決勝くらいまで勝ち進み、シーズンの残りに向けてポジティブな流れをつくれれば、と思っていた」
「僕は今回、第17シードで早いラウンドで強敵と当たるタフなドローになるだろうから、通常よりずっと厳しくなるだろうとわかっていた」とフェデラーは言う。
「自分がトップ選手にとって危険な存在となることが可能だとは思っていた。もしかしたらひとりくらい倒せるだろうが、でもおそらくそれが限界だろうと想像していた。なぜって体が痛み始め----実際そうだったが----そのせいでレベルが落ちるだろうと思ったから。ところが、体が痛んでもレベルのほうは落ちなかった。僕のレベルが安定していたということ、これは僕自身にとっても大きな驚きだったよ」(YAHOO!ニュース:「フェデラー、優勝後のお祝いの様子と今後の話 [全豪テニス]」

 試合は錦織のブレークで始まった。
 しかし、その後、フェデラーも立て直し、随所に錦織を翻弄するプレーを見せた。結局このセットは錦織に奪われたが、フェデラーにも十分勝機があると感じられた。
 その予感通り、第2、第3セットを制し、完全にフェデラーペース。第4セットも押し気味にプレーを展開したが、錦織が踏みとどまり、ファイナルセットに持ち込まれた。
 ファイナルセットに持ち込まれると、35歳で故障上がりのフェデラーの方が不利と思えるが、第4セットまでゲームを支配していたフェデラーは質の高いプレーを維持し、錦織の方が消耗が激しく動きが重くなってきていた。
 ファイナルセットは6-3でフェデラーが取り、準々決勝進出を決めた。できれば、3-1ぐらいで勝って、体力の消耗を押さえてほしかったが、それは贅沢というモノだろう。

 準々決勝は、マレーを破ってくれたズべレフ。徹底したサーブ・アンド・ボレーでマレーを3-1で撃破したが、相手の仕掛けに反撃するのは得意とするフェデラー。3-0で快勝。
 他の準々決勝は、ワウリンカ(第4シード)3-0ツォンガ(第12シード)、ナダル(第9シード)3-0ラオニッチ(第3シード)、デミトロフ(第15シード)3-0ゴファン(第11シード)。

 準決勝は第4シードの昨年の全米オープン覇者ワウリンカ
 7-5、6-3、1-6、4-6、6-3……フルセットの大激戦だった……大激戦だったはずだが、そんなに苦労した印象が残っていない。フェデラーが内容的に大きく上回っていた……という訳ではなく、決勝戦の印象が強くて準決勝の記憶が薄れてしまった……という訳でもない。
 実は、WOWOWとは未契約なので、NHKの録画放送を観ることしかできなかった。ダイジェストなので、2セット連取(ここも途中を端折ってある)の後、第3、第4セットを落とし(第4セットは完全カット)。最終セットも押され気味だったが、第6ゲームをブレークして一気に持っていった。つまり、フェデラー優位の部分の放送が長かったのだ。
 しかし、改めて振り返ると、2ゲーム連取から追いつかれて、ファイナルセットも押され気味……生中継(あるいはオールタイムの録画中継)を観ていたら、私はぐったりしていただろう。
 そんな大苦戦だったが、下手に楽勝で決勝戦に勝ち上がるより良いのかもしれない。
 準決勝のもう1試合は、ナダル×デミトロフ。(“出味トロ不”…「でみとろふ」と打ち込んでスペースキーを押すとこう変換された)

 デミトロフは“ベビー・フェデラー”の異名を取るプレイヤー(本人にとっては嬉しくない異名かもしれない)。
 この試合、≪どちらが勝ちあがった方がフェデラーが勝ちやすいか?≫という視点(邪念)で観ていたが、それを恥じたくなるような死闘、素晴らしい試合だった。6-3、5-7、7-6、6-7、6-4……抜かれたら抜き返す、押されたら押し返す、相譲らない戦いが延々と4時間56分。≪どちらにも勝って欲しい≫…そう思わせる激闘の末、ナダルが勝利した。
 とは言っても、≪この激戦でナダルは消耗。しかも、ナダルは中一日で決勝を戦わなくてはならない(フェデラーは中二日)≫……この考えは大きな間違いだった。


 決勝戦。第17シード・フェデラーと第9シードのナダル。シードのランキングだけ見ると、“大穴”と言える組み合わせだが、文句なしの黄金カードだ。とは言え、ひと月前、いや、開幕後もこの決勝戦を予想した人は、ほとんどいないだろう。
 準決勝のナダル×デミトロフを観戦中は、いろいろ打算的思考が浮かんだが、やはり、「フェデラー×ナダル」が観たいよなぁと。

 第1セット。第7ゲームをフェデラーがブレークし、そのまま第1セットを6-4で奪取。
 ラブゲームでキープするなど、フェデラーが楽にサービスゲームをキープしていた感がある。また、ラリーなどもフェデラーが主導権を取ることが多かった。

 第2セット。立ち上がり(ナダルのサービスの第1ゲーム)もフェデラーペースで始まったが、ナダルがしつこくフェデラーのバックにボールを集め、主導権を握る。
 フェデラーは、ライジングで打ったり、体を開いて打球のコースを変えるなど絶妙な球捌きが大きな武器だが、その微妙なコントロールは高い技術が求められる。その中で、バック攻めに加えて、ナダルがボールに回転を与え、高く弾ませたボールをコントロールするのは至難の業。フェデラーのミスショットが増える。第2、第4ゲームのサービスゲームをブレークされてしまう。
 第5ゲーム、ナダルのサービスをブレークしたものの、第2セットは押し切られ、3-6で失う。
 そういえば、こんな展開でナダルには痛い目に遭わされてきたなあ……過去の対戦成績は11勝23敗とダブルスコア以上にやられている。直前の対戦ではフェデラーが勝利しているものの、その前の19戦は4勝15敗(5連敗を2度)。ただ、ハードコートは7勝9敗とほぼ互角。

 第3セット。第1ゲーム、40-0と簡単にサービスをキープするかと思われたが、ナダルの打球のプレッシャーに返球が甘くなりウィナーを決められたり、ミスショットをするなどして、デュース、そして、ブレークポイントを握られてしまう。3度のブレークのピンチに陥ったが、サービスエースで凌ぎ、なんとか、キープ。
 ピンチを凌いだことで意を強くしたのか、第2ゲームに入ると、フェデラーのラケットの振りぬきが強くなったように思える。時折、回転を掛けた高くて深いボールも織り交ぜるようになった。一段レベルを上げないと、ナダルにラリーの主導権を奪われてしまうと考えたのかもしれない。
 その中で、コースを打ち分け、ナダルを左右に振り、オープンコートに強打を決めたプレー。ナダルの返球をギリギリ低い位置でコースを変えて決めたライジングショットは見事で、このゲームをブレーク。
 第3ゲームをラブゲームでキープし、一気にこのセットの流れをつかみ、6-1でセットを奪う。

 第4セット。第3ゲームまで互いにサービスキープの静かな展開。
 第4ゲーム、フェデラーのサービスゲーム。ナダルのリターンが甘くなったのを前に詰めて決めに出たショットがアウト。イージーミスが増えてきている。
 さらに、ナダルの深い返球をフレームショット、0-30。このあと、ナダルがウィナーを決めるなどして、このゲームをブレーク!
 第5ゲーム、第6ゲームはデュースにもつれ込むが、互いにキープ。フェデラーはフォアのミスやイージーミスが目立ったが、サーブで何とか持ちこたえる。ナダルは、第5ゲームのスーパーショットの応酬の末、更なるスーパーショットでキープを決めたプレーが素晴らしかった。
 ゲームポイント2-4から、第7ゲーム(ナダル)、第8ゲーム(フェデラー)、第9ゲーム(ナダル)と互いにサービスキープを果たし、ゲームカウント3-6で、ナダルが奪取。ファイナルセットに!
 ナダルは楽にキープし、フェデラーはようやくキープするという感じ。ラリーを支配できなくなり、ミスショットも増えてきた。サービスエースで切り抜けると展開で、“ナダル勝利”のパターンになりつつある。私の心に、暗雲が漂い始める。

 第5セット
 開始前にフェデラーがメディカルタイムアウトを取ったらしい(NHK中継は録画で、そのシーンはカットされており、この件については後に実況で触れていた)

 最初のポイントは、ナダル。ラリーの中でフェデラーを左右に振り、ウィナーを決める。次のポイントも、長いラリーの末、フェデラーがネットに掛け、ナダルの連続ポイント。
 フェデラーが1ポイント返すも、次のフェデラーのサーブをナダルが回り込んでフェデラーのバック側に強打。フェデラーも回り込んで、逆クロスのフォアの強打で返すが、ナダルがこれをダ見事にダウンザラインで打ち抜き、ブレークポイントをつかむ。
 フェデラーもラリーでナダルのバックを執拗に攻め、最後はフォアを打ち抜き、30-40と追い上げる。
 しかし、次のラリー、フェデラーがライジングで打球の方向を変える得意のショットがネットに掛かり、ナダルがブレーク!
 ナダルペースで迎えた最終セット、いきなりブレークをされ、私の心に暗雲が立ち込める。

 第2ゲーム、ネットに出るなど、積極的に仕掛けるフェデラー。ナダル15-30フェデラーから、浅くなったナダルのボールを前に詰めてバックハンドの強打でクロスを打ち抜き、15-40のブレークチャンスをつかむ。
 次のプレー、ラリーの中から、バックハンドで強打。これが惜しくもネットに掛かる。
 しかし、30-40と依然ブレークチャンス。フェデラーのリターンが浮いたのを、ナダルがフォアで強振、ダウンザラインが炸裂!そこまで強振して、あの際どい所に決めるのか!という見事なショット。デュースに。
 次のプレー、フェデラーのショットがネットイン。風が吹いているぞ。
 再びのブレークポイント。ナダルはワイドのサーブでフェデラーをコート外へ追いやり、3球目を逆サイドに振る。フェデラーも何とか追いつき、返球後センターに身体を戻すが、その逆をついてナダルがショット。再びデュース。この後、ナダルが2点連取し、サービスキープ。フェデラーは3度のブレークポイントを活かせなかった。

 第3ゲーム、フェデラーがラブゲームでサービスキープ。このファイナルセット、ショットに気迫が籠もっている。しかし、コートチェンジ時にベンチで足の治療を施される姿が……

 第4ゲーム。ラリー中、バックのクロスの強打を決めるなど、このゲームはフェデラーがラリーを支配、デュースに持ち込む。
 さらに、ラリーを展開、今度はバックをストレートに打ち抜き、ブレークポイント。
 しかし、ナダルはボールに強烈な回転を加え、フェデラーに身体を伸び上がっての返球を余儀なくさせ、それをバックのクロスの強打。
 次のプレー、フェデラーがネットに出るバックのアプローチショットをミスし、さらに、ナダルのサーブを返せず、結局、このゲームも、ナダルがサービスキープ。
 ゲームカウントは、フェデラー1-3ナダル。
 ゲーム開始から3時間8分。時刻は3時18分(録画中継)。これ以上起きていると、明日の仕事が辛い。
 最後まで観戦し、負けた時の私のダメージが非常に大きい。一旦、寝ることにした。
 サービスブレークをされて、2ゲーム続けてブレークのチャンスを活かせなかった……嗚呼…ZZZZZ……


(テニス関係の情報はシャットアウトして、翌日の昼休みに、観戦を継続)

 第5ゲーム。淡々と黙々とプレーを続けるフェデラー。
 静かだが、闘志は内に燃え続けており、サービスをキープ。

 第6ゲーム。
 長いラリーの主導権を握っていたフェデラーがバックハンドのクロスを決める。次のラリーも制し0-30とフェデラーが三度チャンスをつかむ。
 しかし、ナダルも次のラリーを打ち勝ち、さらに、サーブで崩し強打を叩き込み、30-30と戻す。
 ナダルがフェデラーのボディにサーブを打ち込み、浮いた返球を強打し、ラリーを支配する。しかし、決めに動こうと強打したボールがラインをオーバー。珍しいナダルのミスで、このゲームもフェデラーがブレークポイントをつかむ。
 次のプレー、ナダルもセンターへ厳しいサーブを打ち、浮いたリターンをフォアで強打。デュースに。
 更に次のサーブを、フェデラーがリターンミス。……やはり、ダメなのか………
 ナダルの強いサーブを何とかフェデラーがリターン。これを強打したナダルだが、ネットに当たり、跳ねたボールがアウト。再びデュース。まだ、分からないぞ。
 ナダルのセンターへのサーブを、なんとかバックで合わせリターン。そして、4球目、浅くなったナダルのボールを、バックハンドのクロスがエース!このセット、6度目のブレークポイント。
 次のナダルのサーブもなんとかバックで返すフェデラー。この後のラリーもバックで振り抜き、ナダルが回り込んで放ったフォアのショットがわずかにアウト。ついに、フェデラーブレーク。ゲームポイント3-3!

 第7ゲーム。
 ファーストポイントをサービスエースで取ると、ネットに奪取しボレーを決めるなど、ラブゲームでサービスキープ。ゲームポイント4-3とリード(ブレーク数は同じ)。

 第8ゲーム
 スライスを織り交ぜたり、フォアの強打や巧打でポイントを連取。さらに、ダブルフォルトで、0-40。フェデラー、トリプルのブレークポイント。
 しかし、さすがはナダル、ワイドへのサービスから、オープンコートへフォアの強打を決め、15-40。
 さらに、ボディへのサーブとワイドのサーブで、フェデラーのリターンミスを誘い、デュース。
 次のプレーが凄かった。逆を突かれたフェデラーが苦しいサービスリターンとなり、その後のラリーも何とか返すという状況。しかし、徐々に建て直し、互角のラリーに。さらに、深い返球や、回転を変えたリターン、更にバックハンドの強打でラリーの主導権を握り、ナダルを左右に振り回す。しかし、ナダルも驚異の守備力で盛り返す。ならばとフェデラーは、打点をライジングに切り替えラリーのリズムを変え、最後は、ライジングのフォアで打球の方向を変える神技を繰り出す。これには、ナダルも打球を見送るのみ。フェデラー、ブレークポイント。
 ここで、ナダルもセンターにサービスエースを決め、デュース。
 次のプレーは、フェデラーがバックにフォアに振り抜き、ナダル堪らずミスショット。フェデラー、このゲーム、5度目のブレークポイント。
 ナダルのワイドへのサーブを、フェデラーがラケットを合わせ、ネットに並行に近いようなリターン。これをナダルがネットに当て、フェデラーがブレーク。ゲームポイント、フェデラー5-3ナダル。

 第9ゲーム。
 フェデラーのサービング・フォー・ザ・チャンピオンズシップ。
 フェデラーのサーブアンドネットに対し、ナダルがリターンを沈める。0-15。
 次のプレー、長いラリーになったが、主導権はナダルが握っており、フェデラーがミス。0-30。
 ここで、フェデラーがサービスエース。15-30。
 しかし、次のプレー、ナダルが強打で主導権を握り、厳しいアプローチショットからボレーを難なく決め、15-40。ダブルのブレークポイントを握る。
 フェデラーも、センターへサービスエースを決め、30-40。
 次のプレー、ナダルのボールを回り込んでのフォアの強打を放ち、フェデラー、デュースに持ち込む。
 そして、フェデラーのサーブをナダルがリターンミスし、ついに、フェデラーにチャンピオンズシップ・ポイント。
 ここで、フェデラーが3球目をミス、デュースに。
 フェデラーのワイドへのサーブがエース。2回目のフェデラーにチャンピオンズシップ・ポイント。
 観客の声援から静寂に切り替わり、フェデラーのサーブはセンターに。ナダルのリターンが浮き、フェデラーがフォアで強振。ボールはナダルのコート、サイドライン付近に突き刺さる。「イン」!
 しかし、ナダルが“チャレンジ”を行使。
 皆が固唾を飲んで、スクリーンを見守る………イン!
 何度も飛び跳ね、喜びを全身で表すフェデラー!

フェデラー、7年ぶり5度目の全豪制覇
グランドスラム、18回目の優勝!


諦めて、寝てしまった。ごめん、フェデラー。おめでとう、フェデラー。
昨年のウインブルドン準決勝敗退。ラオニッチに力負け、転倒する姿を見て、その後の欠場……
もう、フェデラーの優勝を、いや、プレーを見ることもないかもしれないと思っていた。
まさか、優勝する姿を見ることができるとは!

35歳のフェデラー。
羽生三冠も、そして、私も(だいぶ、年を喰っているが)、まだまだ頑張れるはずだ。

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