英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

22-23 Wリーグ プレーオフ ファイナル ENEOS vs トヨタ自動車 第3戦

2023-04-20 08:12:13 | スポーツ
 何度、《もう駄目か?》《負けかなあ》と思ったことか……
 第1Q~第2Q前半は完全にトヨタのペースで、エネオスが何とか得点し追いつくといった展開。確率の非常に低かった林と宮崎の3Pが決まるとか、時折、爆発する藤本の活躍、第2Qだけで8点を上げた渡嘉敷の奮戦など、“奇跡的”と呼ぶのは失礼だが、思いもよらぬ得点で、前半をエネオス31-28トヨタと3点リードで終えることができたのは不思議だ(バスケットの内容はトヨタの方がかなり良かった)。
 
 第4Q終盤、延長戦序盤~終盤はトヨタに先行を許し、《残り数秒でブザービーターを決められ敗戦》というシーンがよぎった。おそらく、通常の試合や、この試合でも第3Q終了時ぐらいだったら、シュートを決められただろう。まあ、エネオスも、《宮崎のドライブシュート(だったと思う)~渡嘉敷リバウンド→シュート》も、何で外すんだぁ!と思ったが。
 白熱の攻防でダブルオーバータイムに突入(1993年NBAファイナルのサンズvsブルズのトリプルオーバータイムを思い出した)。解説の原田氏も指摘していたが、渡嘉敷は勿論、他のエネオスのメンバーも足が動かなくなっていたので、更なる延長戦はエネオス苦しいと思ったが、極限の戦いは、体力ではなく精神力……否、精神力では片づけられない何かが、エネオスサイドに傾いたのだろう。

 ポイントとなったプレーや賞賛したいプレーなどを交えて、詳細なゲーム展開を書きたいが、時間とエネルギーが足りない(根性がないです)ので、チームの戦術や各選手の感想のみになりそう(許してください)。
 あと、前記事でスクリーンプレーについて述べたが、スクリーンプレーのルールで知らないことがあったので、それを含めて述べるつもり。
 このゲームの得点経過などの詳細は、『BASKETBALL KING』サイトの記事「ENEOSが2度の延長戦となった死闘を制す…トヨタ自動車を退けて4年ぶりに王座奪還/WリーグPO」をご覧ください。


ENEOS サンフラワーズ  10 21 11 11 8 11  72
トヨタ自動車 アンテロープス 10 18 14 11 8  3   64


【 ENEOS サンフラワーズ】
 リング付近の渡嘉敷をオフェンスの起点としようとした方針は間違いだった
 トヨタディフェンスは渡嘉敷にタイトに当たるというモノだった。まず、シラ(或いは梅沢)がマークし、他のディフェンダーも渡嘉敷との距離を縮めて、《ボールを楽に通さない》《ボールが入ったら、即ダブルチーム》する。
 そんな状況で、渡嘉敷にボールを入れるのは難しいし、普段の渡嘉敷ならともかく、疲労が蓄積している渡嘉敷では、トヨタのディフェンスに抗してゴールを狙うのは難易度が高かった。
 渡嘉敷を起点にするというヘッドコーチの指示だったので、まず、それを第1オプションにしたが、渡嘉敷にパスを出してオフェンス失敗するか、諦めて他のオフェンスを選択しようとしたが、それからオフェンスを転回するのはスムーズにはいかないし、シュートクロックが迫った状態になってしまっていた。
 ポイントガードが、そういう状況を打開できれば良いが、ボールが止まった状態からドライブシュートを決めるのは難しい。パスを回しながら3Pシューターの林にパスを出すのもうまくいかない(おそらく、平下が徹底的にマークした)。
 宮崎に関しては、以前から《オフェンスが停滞した時に打開できない》という不満はあった(それと、利き腕でではない腕でのドリブルが苦手のようなのも気になる)。ファイナルは相手ディフェンスを切り裂くドライブシュートも影を潜めていたが、第3戦はかなり積極的に仕掛けていた(17得点)。渡嘉敷へのナイスパスもあった。
 岡本がいれば、何とか出来たような気がする。宮崎も岡本なら精神的にもボールを託しやすいし、うまくフリーになってパスを受けて3Pシュートを決めたり、動きの中で渡嘉敷にパスを通すのも可能だ。
 シューティングガードのは、3Pシュートもドライブインもできる優れたプレーヤーだが、渡嘉敷にパスをすることに拘り過ぎたきらいがある。《渡嘉敷を起点》という縛りがなかったら、星ももっと果敢にゴールを狙えたのではないだろうか?上述したが、時間的にもオフェンスの選択肢も幅があったはずだ。
 長岡は一人でも打開できるパワーと技術があり、頼もしかった。渡嘉敷とのプレーの相性も良い。それと、相手に身体を寄せてプッシングを誘い、《突き飛ばされた…ああぁ~》と飛ばされる演技が絶品だ(実際、プッシングされているが、審判も笛を吹きやすいのだろう)。プレッシャーのかかる場面での3Pシュートを決めるてくれるのも嬉しい。
 渡嘉敷は疲労困憊のうえ、厳しいマークを受ける中で、20得点、13リバウンド(3ブロック)は頭が下がる。ただ、あと2本ほどフリースローを決めて欲しかった(実際は4-9)
 苦しい状況を救ったのは高田。ディフェンスも頑張り、オフェンスも果敢にリングに向かっていった(11得点)。

【 トヨタ自動車 アンテロープス】
 ペネトレイトにジャンプシュート、そして、アシストパスにリバウンドと変幻自在の大活躍の馬瓜(20得点)。さらに、山本が要所でシュートを決め(14得点、6アシスト)、ディフェンスの的を絞らせない。更に、川井のドライブも油断できない(15得点、8リバウンド、5アシスト)。シラも渡嘉敷を良く防ぎ、6得点、5リバウンドの数字以上に働いた。(ただし、ディフェンスの時、リバウンドなどでジャンプ後、着地する際、“不可抗力”とばかり、相手オフェンスにぶつかってしまうことが多い)
 平下は得点0だったが、シュートアテンプトは3Pシュートの1回のみ。如何にディフェンスに特化していたかがわかる。リバウンド6でプレータイムはフル出場の50分(山本も50分)。
 オフェンス、ディフェンスの内容はトヨタの方が良かった。なぜ負けたのだろうか?不思議だ。
 敗因を上げるとしたら、前半早々で梅沢とシラが3ファールのファールトラブルに陥ったこと。二人のプレータイムが減ったが、それほど劣勢には感じなかった(渡嘉敷も攻められなかった)。ただ、どちらかのプレータイムがもう少し長かったら、もっと第2Qでリードできたであろう。
 それと、3Pの成功率が4-21と低かったのも一因

 3連戦でダブルオーバータイム。プレータイム40分以上は、山本、平下に加えて、エネオスは長岡(48分06秒)、林(42分46秒)、渡嘉敷(47分41秒)、宮崎(44分)、トヨタは馬瓜(45分18秒)、川井(42分27秒)。
 上記の選手だけでなく、すべての選手の健闘を讃えたい。
(スクリーンプレーについては、次回に書くつもりです)

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3 コメント

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歴史に残る激闘のファイナル (エスカルゴ)
2023-04-22 20:48:11
英さん、こんにちは。ファイナルの記事、ありがとうございます。あの歴史的な激闘がよみがえって来ますね。

ようやくファイナルについてコメントが書けそうですが、私も詳細な分析は時間的にも気力の面でもできませんので、英さんの記事に付け加える形で、フラットな立場からの簡単な感想とします。

第一戦、出だしのエネオスは久しぶりのファイナルで硬かったと思います。それにディフェンスがソフトだったため、気力充実のトヨタに大量リードされました。後半はエネオス伝統の激しく厳しいディフェンスが復活し、高田もよく山本、川井の攻撃力を封じたため、トヨタの攻撃が止まりましたが、かろうじて前半の貯金でトヨタが勝った試合でした。エネオスは宮崎の大ブレーキも敗因の一つでした。

第二戦は、エネオスが最初から厳しいディフェンスを出来たため、第三Qまでで同点という非常に拮抗した試合となりました。私は両チームの戦力は互角と見ていましたので、これで正常だと思っていました。エネオスのアウトサイドが渡嘉敷にボールを入れること優先だけでなく、ボールを回し、自分のオフェンスもやり出したことも第一戦とは違いました。第四Qでエネオスが勝った訳ですが、4Qだけで言いますと林が出だしで2点シュートを3本決めたのが大きかったと思います。ハッスルプレーが身上の林が決める得点は、点数以上の活力をチームにもたらすのではないかと、個人的に思っています。この試合の殊勲者は渡嘉敷は別格として、攻守に大奮闘した長岡、エースキラー&効果的な得点の高田、平下を封じ4Qで爆発した林の三人で、エネオスが勝つべき試合だったと感じました。

第三戦は、第二延長まで両チームとも持てる力をすべて振り絞った大激闘。英さんも、両チームのHCも言っていましたが、「戦術よりも、気持ちが強い方が勝つ」試合の様相を呈していました。

私も、どちらが勝つんだろう?と思いながら試合を見ていましたが、勝負を分けたポイントは、トヨタのC2人が47分でファールアウトしたことと、渡嘉敷以上に山本が疲れ切っていたこと、それとトヨタの大神HCの采配に疑問があったこと、でした。また、ここでも決勝点となった林の3Pは相手へのダメージが大きかったと感じました。平下を0点に抑えての林の6点は、ここでも勝負を分けたかも知れません。長いのでここで一度切ります。
返信する
続きです (エスカルゴ)
2023-04-22 21:43:13
大神HCの疑問の采配というのは、梅沢とシラを上手にタイムシェアできなかった(ように感じた)ことです。第一戦は梅沢を長く出して勝利しましたが、第二戦はシラを長く出して敗戦でした。私の印象なのですが、どちらを出してもさほど差はない、強いて言えばディフェンス時のポジション取りでは、梅沢の方が上ではないかと感じていました。

第三戦では梅沢先発。しかしFとTO一つで、わずか2分43秒でシラと交代です。しかしそのシラは1Q7分59秒で早くも2F。梅沢と交代と思いきや、そのまま出続け、2Qわずか3分25秒で3つ目のFを犯し、梅沢と交代です。大神HCはそんなに梅沢を信用していなかったのでしょうか?梅沢としても、信頼を回復すべく、たぶん熱くなりすぎて(と私は思いました)約1分で立て続けに2回Fし、2Qわずか4分20秒でベンチにいたステファニーと交代です。トヨタとしては最悪に近い状況です。結果論かも知れませんが、最初梅沢をもう少し我慢して使ってあげていれば、またはシラが2Fになった時点で梅沢と交代していれば、事態はもう少しましだったのではないかと感じました。

あと、エネオスがすべての選手を少しでも休ませながら戦っていたのに対し、トヨタは山本と平下が50分出ずっぱりでした。第三戦で山本と平下が今ひとつだったのは、冷静になれる時間もなく疲れ切っていたからかも知れません。梅木をもっと使っても良かったのではと。大神HCにも余裕がなかったのかも知れません。トヨタはもちろん全員で戦って来たのですが、勝負所での山本の神がかり的な3Pで勝って来た部分も大いにあったと思います。山本の疲弊と高田の執拗なディフェンス。ここも勝負を分けたポイントだったでしょう。

渡嘉敷については、文句なしに今ファイナルのMVPだと思います。昨年の今頃、私は渡嘉敷のプレーに対して非常に厳しい言葉を浴びせました。リングに向かう姿勢がない、と。今年の渡嘉敷は違いました。トヨタのC二人掛かりのDFでもそれを粉砕し、二人をファールアウトに追い込む無双ぶりでしたし、よく走り、良くリバウンドに絡んでいました。この姿勢を代表でも忘れないで欲しいものです。

最後に、やはり勝負を分けたのは、4年ぶりの優勝に飢えていたエネオスの気持ちの強さだったと思います。思いつくままに書いてしまい、大変に長文になり失礼しました。

PS 岡本は私もとても好きな選手で、第二戦で出て来た時に注目していましたが、往年のキレやスマートさは残念ながら見られず、失点につながるパスミスをして交代し、第三戦では起用されませんでした。
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観る方向の違い ()
2023-04-23 10:50:22
エスカルゴさん、こんにちは。
相変わらず、熱を込めて、且つ、冷静な考察でのコメント、感服、感謝です。

 私はエネオス側、エスカルゴさんはトヨタ側(だと思います)からの考察で、違った視点からなので気がつかなかったことや、なるほどと思うことが多いです。
 解説の原田さんも、共同石油、ジャパンエナジーからの根っからのエネオスサイドです。解説という立場で公平に徹しようとしていますが、エネオスの好悪で声のトーンに差が出ますし、エネオスのうまくいかない点が目についてしまうようです。

 で、エネオスサイド視点で言うと……
 まず、梅沢とシラの起用法ですが、総合的ポテンシャルとしては同じくらいだと思います。なので、私も二人の起用に偏りを感じました。
 でも、渡嘉敷はシラに手を焼いていました。嫌がっているように感じました。なので、梅沢が出てくれた方が、少なくとも渡嘉敷は攻めやすい。渡嘉敷を起点としたオフェンスもやりやすいと感じました。なので、起用に偏りはありましたが、それもありかなと思いました。もちろん、両者をイーブンに起用していたら、もっと、トヨタが優位に立てた可能性もあります。
 で、シラについて言うと、記事本文にも書きましたが、ポテンシャルは高いです。ただし、バスケットの理解がまだ低いように感じました。
 特に、どういう行為がファールになるかをきちんと把握しておらず、笛を吹かれて意外そうな顔をすることが多かったです。
 山本の消耗ですが、私は「山本は不死身(疲れ知らず)で、最も嫌なタイミングで輝きを放つ選手」と思い込んでいたので、《山本が疲弊している》という観点を持ち合わせていませんでした。
 でも、言われてみると、確かに動きは落ちていました。特に、ウイニングシュートとなるべきシュートを外してしまったのは、疲労からだったのですね。
 エネオス視点だと、ファイナル初戦から渡嘉敷が疲弊していて、リング下でのオフェンスがつぶれてしまうことが多かったのと、フリースローの失敗が多かったのも疲労から来ている……そちらばかりに気を取られていました。
 エネオスのチーム全体も、第4Q終盤から足が止まることが顕著になっていましたし。

 渡嘉敷が疲労でままならないことも多かったですが、それでも、渡嘉敷MVPには異論はありません。
 で、エネオスの一番の勝因は、仰る通り高田の活躍でしょう。
 エネオスの通常に比べて、高田のプラス要因は突出しており、他のエネオスやトヨタの通常要素は、多少のプラスマイナスはありますが、想定内でした。
 高田の活躍は想定を超えるもので、トヨタも対応できなかったと思います。
 エネオスもトヨタも出場した選手は皆、力を発揮したと思います。
 林に関して言うと、彼女の活躍がなければ勝てなかったと思いますが、物足りないです。シュートアテンプトも少なかったです。平下のマークを外すのは、なかなか大変だと思いますが、3Pが困難だとしても、もっとドライブ、ペネトレイトを増やして、エネオスの攻撃バリエーションを増やすべきだったと思います。(星と個性がダブっているのが一因かもしれません)

 本来なら、3回ぐらい視聴して、「林vs平下」のマッチアップを注視するなどして、記事を書くべきなのでしょうが、時間と根性が足りませんでした。

>最後に、やはり勝負を分けたのは、4年ぶりの優勝に飢えていたエネオスの気持ちの強さだったと思います。

 ええ、私もそう思います。あえて付け足させていただくと、《渡嘉敷のガッツがチームを引っ張った》と感じました。

 気持ちと冷静な分析のこもったコメント、ありがとうございました。
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