英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

2020王座戦 挑戦者決定トーナメント 羽生九段-飯島七段 その4

2020-06-03 17:57:26 | 将棋
 例によって、記事が進まない。
 仕掛けからここまで、激しくて複雑な変化が多岐にわたり、思いのほか、苦労が多い。もちろん、仕掛けの是非については、私が最も関心のある処だが、できれば他の方が解説してくれて、それを読んで《なるほど》と合点したい。
 実は、この記事の動機は、夕食休憩辺りにあり、それは羽生将棋の問題点(不満)で、過去にも何度か書いている。今回それを強く感じたので、書き始めたのだが、なかなか目的地まで到達しない……



 第4図以降、▲4五同角△同桂▲同飛△7六歩▲6五桂△6四歩▲8八銀△8九馬▲7九金△同馬(第5図)と進む。
 相手の研究における”指しやすい局面”の中の一つに誘導され、苦労が多い将棋になるのが、最近の羽生将棋によくあるパターン。本局も 「その2」の第2図後の角の打ち合いは若干後手に利があり、やや不利に陥ったものの、離されずについてきている。
 以前からこのパターンは多かったと思われるが、中盤から柔軟な発想や精度の高い読みで追い抜いていった。「“将棋”とは、将棋星人(羽生九段)が最後には勝ってしまうゲーム」と定義する言葉遊びがされたほどだ。
 しかし、今は研究が行き届き、終盤辺りまで研究範囲が及んでいる。さらに、PCソフトの形勢判断の裏付けもあり、自信をもって指し進め、“羽生マジック”に対しても、疑いの目をもって読みを入れられている。(さらに、終盤、羽生九段の読みの精度が………)

 さて、第5図の次の手が問題だった。
 ▲5三桂成……取られる運命の駒を敵陣に突撃し、敵陣を薄くする手筋。歩のような価値の低い駒と交換にはなるが、只で取られるより良い(少し前の飯島七段の△5七桂成と同じような手)。▲5三桂成により、玉を3段目に引っ張り出し、歩を手にすることができた。
 そんな手筋の▲5三桂成だったが、その利より、後手に桂を取る1手を省かせてしまったマイナスの方が大きかった。▲5三桂成以下、△同玉▲7九銀△7七歩成と進んだが、この△7七歩成が大きい手で先手玉へ圧力をかけている。この手を1手早く指させてしまったのが▲5三桂成の罪。
 ▲5四歩△5四同玉と進んだが、4五の飛車に当たりがかかることになり、先手が忙しそうだ。
 羽生九段は▲5六銀と飛車取りを受けながら後手玉に迫るが、ここで後手には格好の一手がある。
 それが△6七と(C図)。

 この△6七とを▲同銀と取るのは4五の飛車が只になる。また、▲同玉は△8七飛が厳しい。よって、▲4九玉と逃げることになるが、そこで△4四金と手を戻せば、6七のと金の存在が大きい。実際はと金が6七に移動したので、▲7六角と打つ手が生じ、見た目ほど致命的ではないらしい(△6七と▲4九玉△4四金▲7六角△5三玉▲5四歩△5二玉▲4六飛△5七角▲6七銀△4六角成▲同歩△6九飛が一例で、後手が有利ではある)。
 飯島七段は△6七とを決めずに単に4四金(第7図)。

 △6七とを決めなかったので、▲6六桂や▲4四飛(飛車を切っておけば、△6七とに▲同銀が可能になった)が生じている。
 △4四金(着手は午後5時43分)を見た羽生九段は長考に沈む。
コメント
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