英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

里見女流三冠、奨励会初段に昇段

2012-01-08 11:19:17 | 将棋
 里見香奈女流三冠、奨励会初段に昇段しました。(『里見香奈奨励会1級、初段に昇段!』、NHKの7時のニュースでも報じられました)

 加藤桃子奨励会1級(女流王座)、伊藤沙恵奨励会1級も里見初段と遜色ない棋力なので、堰を切ったように昇段する可能性も高いと思います。
 このまま昇段し初の女性プロ棋士誕生となるかというと、三段リーグの厳しさを考えると、なかなか難しいです。しかし、現在の彼女たちの将棋を見ると、その質は男性の将棋と同質なものを感じます。現在の女流棋士とは一線を画するものがあります。
 どう違うのかと問われると困りますが、一言で言うと踏み込みの深さが違うということでしょうか。攻めるにしても守るにしても、際どいところを読み切ろうとし、女流棋士が「攻めが切れそう」とか「危なそう」という感覚から避ける局面も切り込んできます。「ギリギリのところで勝負しないと勝利は得られない」という勝負感覚が染みついているような気がします。まだまだ、強くなるのではないでしょうか。
 そのうえ、ネット将棋で鍛える、情報も容易に入手できる……以前とは強くなれる環境が整っており、かなり期待できます。

 さて、そうなると今後の女流棋界ですが、今後、女流棋士ではなく奨励会から棋士を目指す少女が増えてくるのではないでしょうか?
 現在、里見女流三冠が奨励会を受験する際に、「女流棋士が奨励会試験を受験し、入会することは自由である。女性の奨励会会員が女流棋戦にエントリーし、出場することは自由である」という規約に改正されています。このように棋士を目指す少女にとって、奨励会に入会することのデメリットはほとんどない現状で、奨励会でもまれた方が強くなれますし、なにより、里見奨励会初段により「棋士になる」ということが現実的目標になってきたからです。
 現状の女流棋士は連盟における地位も低いですし、収入の面でも苦しいと聞いているので、なおさら棋士を目指す少女が増えると考えられます。

 近い将来、女流棋界のトップを奨励会級位の少女たちが占めるということもあり得ます。そうなると、女流棋戦自体がその存在の意味を問われることになるかもしれません。奨励会3級者が女流のタイトル保持者になったとしたら、ちょっとおさまりが悪いのではないでしょうか。
 と、マイナス面を書きましたが、里見女流たちがレベルアップし、女性奨励会が増えれば、女流棋界のレベルがアップします。上田女王、甲斐女流王位、矢内女流四段、石橋女流四段、千葉女流四段、中村女流二段、岩根女流二段、鈴木女流初段、室谷女流初段たちも黙っておらず、レベルアップの相乗効果が期待されます。


 最後に、女性初の奨励会初段を達成した里見初段には、報奨金(100万円)が贈呈されたそうです。
 なぜ、こんな特別なことをするのでしょうか?男女差のない厳しい素晴らしい世界のはずなのに。単に初段に昇段しただけなのに。
 男性(男子)奨励会員はどう思ったのでしょうか?加藤、伊藤1級はどう感じたのでしょうか?最初に昇段した里見女流三冠だけに当たるのですね。うがった見方ですが、これが伊藤1級が先に昇段したら、連盟は報奨金を出したのかと疑ってしまいます。
 しっかり議論した上での報奨なのでしょうか?それとも、思いつきなのでしょうか?
コメント (6)
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