英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

『L チェンジ・ザ・ワールド』

2009-01-26 19:58:31 | ドラマ・映画
 録画しておいた『L チェンジ・ザ・ワールド』を観る。
 『デスノート』のスピンオフ作品で、夜神 月(キラ)の事件解決後のLの生き方を描き、Lの魅力満開の一作。

 頭脳明晰で超人的なLの活躍はもちろん、自己犠牲をいとわず、自己を律する聖人君子的な一面、それに反する奇妙な風体や動作や甘い物好きという変人的な個性、それにタイの村で生き残った少年やウィルス研究者の娘真希(福田麻由子)・らと心を通わせていく過程など、Lの魅力という点では満足。
 また緊張感と程よい謎解きとアクションもあり、面白い作品だと思う。


 ここで終わってもいいのですが、生来の天邪鬼ゆえ、余計なことも書いてしまいます。
 
 まず、一番のマイナス点はLの設定が変わってしまったこと。この作品では、Lは運動が苦手で、それでも何とかしようと猫背ながらも奮闘しています。でも、原作ではテニスがプロ並の八神(キラ)と互角に渡り合っている。主人公の設定をゆがめている。スピンオフ作品は後から設定を付け足す事が多いが、さすがにこれは反則だろう。
 次に、こういうアクションモノとかSF・冒険モノにおいては、ライバルや悪役も強くて魅力がないとダメ。(魅力がない場合は、徹底的に凶悪か、強大)
 【ここからはネタバレを含みますので気をつけてください】
 この作品では、はっきり言って、敵がショボかった。思想もなく、金儲けと殺人狂というだけ。唯一、思想と頭脳的に歯ごたえがあったのは、「K」こと工藤夕貴だけ。組織のトップであった石橋蓮司も「人間が増えすぎたので撲滅すべし」という狂信者であったが、登場まもなくあっけなく殺されてしまう。
 とにかく、構成メンバーも少人数であるのと描写が不足しているので、単に「悪い奴ら」でしかなかった。

 ウィルス研究機関を襲ってウィルスを奪取したのだが、その際研究書院を皆殺ししたと思われるが、これが全く表ざたになっていない。悪の組織にもみ消すだけの力があるとは思えないし、日本政府が混乱を避けるため動いたという気配もない。
謎である(ストーリーが甘い)。

 クライマックスも理解不能。映画では危機感や迫力を高めるのにうってつけの舞台としてジェット旅客機が使われる。本作もそれに倣ったようである。
 で、Lに追い込まれた工藤が、何を思ったか細菌をばらまく。離陸前に!
 細菌兵器として開発されたので、感染力は強く、潜伏期間も短く(潜伏期間は長いほうが感染の範囲は広くなる)、進行も早い。感染を広めて人類撲滅を狙ったとしか思えないが、密閉性の高い旅客機でしかも離陸前に自分たちも乗客も乗務員も全滅してしまう可能性が高い。意味なしである。
 クライマックスで盛り上げるためだけの演出としか考えようがない。金の無駄である。

 南原清隆(ナンチャン)が助っ人として登場するが、不要かもしれない(ナンチャンが嫌いというわけではありません)。

 さて、ここからが肝心。私が今日の記事で一番書きたいことです。
 ウィルス研究者の鶴見辰吾がウィルスが持ち出されるのを阻止するため、自ら体内にウィルスを注入したあと、死ぬ直前に工藤らに語りかけるシーンがある。瀕死の中、必死に言葉を発するシーンは迫真の演技だった。しかし、鶴見さん、あまりに迫真の演技のため、何を言ってるのか聞き取れなかったよ。
コメント (7)
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