さんぽ道から

散歩中の雑感・モノローグを書いてみました

学校でも国会でも考えてほしいもの…

2013-03-24 17:25:26 | 抜き書き
東京中央郵便局がJPタワーに建て替えられて、先週は、そのJPタワーにキッテという商業施設が完成したとの報道があった。
最近は丸の内だけではなく渋谷、下北沢、そしてこの辺りの街もどんどん変わっていく…

快適さ、賑わい、スピード、効率、利便性などへ突き進む前に忘れ物はないのだろうか?
掛け替えのないものを置き忘れてきてはいないだろうか?
この漠とするものは何だろう?

<二人が出てゆくと、フランクは一人で席についたまま、店の窓へ、さらにその窓ごしに、近所を睥睨するようにそびえたつ建築中の建物の黒々とした内部に目を向けた。二、三か月後に建物が完成すれば、新しい居住者が引っ越してきて、彼らの嗜好に合わせたレストランやクラブ、ブティックなどができるだろう。建物が完成した時に何が失われることになるのか、フランクには確信がなかった。単に通りの風景から豊かで実質的な暮らしが消え、やかましい音楽が聞こえなくなるだけなのか、それとももっと大切なものが失われるのか、フランクにはわからなかった。
彼はサンドイッチを食べ終わると、…事務所に向かった。…数分前にフランクがレストランで見たあの女が…近づいてきた。「子供が」と、…女は手を差しだした。「子供たちを助けてやらなければならないの…」…フランクが小銭を探してポケットに手を突っ込むと、二十五セント玉が二つ出てきた。それを女の手のひらに落としたとき、彼の頭にまた高層ビルのことが浮かび、それが完成した時に失われるものが何なのかわかった。失われるものは、日々刻々、やるべきことがまだどれくらい残っているかを確認する機会なのだ。>トマス・H・クック「夜訪ねてきた女」P142~143より
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