11月9日、欧州一般裁判所は、欧州連合(EU)が2019年1月からカンボジア米に対してセーフガード課税を課していた措置を全面的に取り消すとの判決を下しました。EUに対してカンボジア側が支払った関税を返還するように指示しました。
EUは、カンボジアを含む後発途上国(LDC)に対して、関税を免除する特恵関税制度「EBA」を適用しています。カンボジアは、この制度を活用して、EU向けに縫製品やコメを無税で輸出してきました。これに対し、イタリア・スペイン等のコメ生産者が、自国のコメ生産に影響を及ぼすとして不満を表明し、EUは2019年1月18日からセーフガード課税を行っていました。セーフガードとは、特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限を行うものです。今回は、2019年1月18日から、1年目175ユーロ/トン(約2万2000円)、2年目150ユーロ/トン、3年目125ユーロ/トンの関税が賦課されていました。
カンボジア・コメ協会はこれを不服とし、2019年4月にEU司法裁判所に提訴していました。今回の判決で、欧州一般裁判所は、「カンボジア米へのセーフガード発動は十分な根拠に基づくものではなく、違法である」との判断を示したとのことです。
今回の判決は、カンボジア側の訴えをほぼ認めたもので、妥当なものと見られます。しかし、セーフガードの発動を、根拠不十分で違法と判断されるのは、ほとんど前例がないものと見られ、EUにとっては衝撃的な判決であったものと推測されます。なお、セーフガード措置(期間3年)は、2022年1月に既に終了しており、今後のカンボジアからEU向けのコメの輸出には大きな影響を与えないものと見られます。
欧州連合一般裁判所の判決(英文です)
https://curia.europa.eu/juris/document/document.jsf?text=&docid=268082&pageIndex=0&doclang=EN&mode=lst&dir=&occ=first&part=1&cid=298957
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EUは、カンボジアを含む後発途上国(LDC)に対して、関税を免除する特恵関税制度「EBA」を適用しています。カンボジアは、この制度を活用して、EU向けに縫製品やコメを無税で輸出してきました。これに対し、イタリア・スペイン等のコメ生産者が、自国のコメ生産に影響を及ぼすとして不満を表明し、EUは2019年1月18日からセーフガード課税を行っていました。セーフガードとは、特定品目の貨物の輸入の急増が、国内産業に重大な損害を与えていることが認められ、かつ、国民経済上緊急の必要性が認められる場合に、損害を回避するための関税の賦課又は輸入数量制限を行うものです。今回は、2019年1月18日から、1年目175ユーロ/トン(約2万2000円)、2年目150ユーロ/トン、3年目125ユーロ/トンの関税が賦課されていました。
カンボジア・コメ協会はこれを不服とし、2019年4月にEU司法裁判所に提訴していました。今回の判決で、欧州一般裁判所は、「カンボジア米へのセーフガード発動は十分な根拠に基づくものではなく、違法である」との判断を示したとのことです。
今回の判決は、カンボジア側の訴えをほぼ認めたもので、妥当なものと見られます。しかし、セーフガードの発動を、根拠不十分で違法と判断されるのは、ほとんど前例がないものと見られ、EUにとっては衝撃的な判決であったものと推測されます。なお、セーフガード措置(期間3年)は、2022年1月に既に終了しており、今後のカンボジアからEU向けのコメの輸出には大きな影響を与えないものと見られます。
欧州連合一般裁判所の判決(英文です)
https://curia.europa.eu/juris/document/document.jsf?text=&docid=268082&pageIndex=0&doclang=EN&mode=lst&dir=&occ=first&part=1&cid=298957
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