翆の準夜勤の勤務が終わり房チャンのお店に出かけた。
房ちゃん「クンクン!、今日はオスとメスの臭いがしないねぇー」
翆「だって準夜勤があけたばかりだもん。それよりお腹がすいた。やっているお店も少ないし、お酒を飲めるところは、ここしかないでしょう」
確かにそうだ。世の中は真夜中で仕事が終わる人間だっているのに、飯もお酒も飲めるところがない。房チャンの所は、さながら深夜食堂なのだ。
房ちゃん「今日は、ハンバーグとサラダね。翆の所も感染者がそんなに増えなくてよかったねぇ」
翆「最初は、増大するかと思ったけど、今は入院患者数もゼロ!」
小樽は、感染地札幌に隣接とはいえ、途中に郊外の街もあり、その先には海岸線際をしばらく走り抜けてくるので、近いとはいえ、やはり札幌とは独立している街だ。
房チャン「翆って準夜勤が多いよね」
翆「すきなんだぁ、準夜勤って、みんなが寝ている時間に帰るなんて最高、それで朝寝がたっぷりできるから。看護着から黒の革ジャンとぴっちぴちのパンツに着替えてメルヘルもって病院を出て行く看護師もいるから。それで450CCのバイクで真夜中のツーリングだよね。札幌へ寿司食べにゆくとか、温泉地の公衆浴場は一晩中開いているから温泉三昧とか。上の病室では、感染症の患者さんか酸素吸入をしているかもしれないけど。そんな風に病院は、元気印と病気印が同居してるんだ」
房ちゃん「私の頃だって元気印がいたよ。お金持ちのボンボンで私大卒の医者。いつも外車でやってきて、若い看護師にアタックするの。彼の車に乗ったら最後、家に帰ったことがないんですって。昼は聖職者、夜は元気印のヤリマンね。落差大きいよね」
病院ほど元気印と病気印の落差を見せつけられるところはないし、しかもそれらが同居しているのだ。
房チャン「翆は、いつものカクテル?」
翆「生理中ですぅー、テキーラがいい!」
テキーラ!、それも元気と病気の落差ぐらいあるお酒だ。翆はテキーラをグビグビと。
・・・・
案の定、酔いつぶれたか。深夜の街を翆を抱えて帰った。
小樽の深い夜が朝に向かって通り過ぎてゆく。
小樽市花園
NIKON Df、AF-S NIKKOR28-300mm3.5-5.6G
1)ISO900、焦点距離90mm、露出補正-0.67、f/6.3、1/8