京料理 道楽のブログ

道楽の新着情報や、日常のちょっとした一言を書き込んでいきます。

漁夫生涯竹一竿

2009-05-12 | Weblog
自画賛の掛けもんの表装ができてきました。「ぎょふのしょうがいたけいっかん」と読み、一尾の鰯を描いてます。山僧活計茶三畝 漁夫生涯竹一竿と対句になってます。禅僧の生活には小さい茶畑、漁師の生活は一本の竹竿があったら事足りる。人の欲はきりがなく、あれやこれやと必要以上に望むからしんどいのです。これでじゅうぶんと感謝し満足すること、つまり足るを知る心が大切なんだという意味です。

伝承京料理勉強会vol.2

2009-05-11 | Weblog
メニューは「鯛白子和え」「地鶏と香味野菜のあっさり煮」「鴨饅頭」「鱒木の芽焼」「ぜんまい」「桂瓜味噌漬」「生節飯」です。
「鯛白子和」は鯛の白子で利休麩 独活 車海老 胡瓜なんかを和えます。「地鶏と香味野菜のあっさり煮」は近江軍鶏を用いて、茗荷 三つ葉 筍などをサッと炊きます。「鴨饅頭」は新馬鈴薯で鴨肉を包み込んでおかき揚げにします。アツアツの餡をかけて生姜汁をかけ針葱を添えます。「鱒木の芽焼」は、時知らずを幽庵焼きにして叩き木の芽をふります。「ぜんまい」は、青干しをもどしてアクを抜いてから炒め煮とします。「桂瓜味噌漬」は白粒味噌 米味噌 赤だし味噌などを合わせて味醂・酒・辛子等を加えた床に漬け込みます。「生節飯」は新物の生節を酒蒸しにしてほぐし、たっぷりの針生姜 昆布 酒を加えて炊き上げます。
どれも大変お喜びで、濃い内容の充実した料理教室でした。

伝承京料理勉強会vol.1

2009-05-11 | Weblog
本日の料理教室は、黄金週間の後でしたのでご参加人数がとても少なくゆったりとした流れでした。
朝からご一緒に買い出しに出かけ、天然の鯛や鱧などをお求めになられました。浅見水産さんは上物の天然もんを数多く扱っておられるので、道楽でもよくお世話になっております。
他にもいろんな種類の生麩や鴨の抱き身、多種のお弁当箱に敷き紙、盛り箸やささら…等々買っておられました。
一通り廻ってから店に戻り、本日のお献立のレクチャー後、実習をしてから試食です。

暖簾(のれん)

2009-05-10 | Weblog
七、八年程前に作った麻の暖簾が朽ちてきましたんで、只今手の空いてるときに、新しいのを作っているところです。
道楽の暖簾は全て自作で、以前よりお世話になってます生地店で麻・綿などいろいろと生地を買い込んできて、うちのスタッフが縫い上げたんを、ぼくが田中直さんとこでいただいた染料で絵付けして染めていきます。
今回は四つ作る予定でおりますので、ご来店の折には、ぜひ御笑覧下さいませ。

日本の水

2009-05-09 | Weblog
その土地の気候風土や食べ物などに適するようにお酒が造られてきました。ドイツはビール、フランスはワイン、スコットランドはウィスキー、ロシアはウォッカ、メキシコはテキーラ、中国は老酒・紹興酒…等々、その土地の民族のお酒があって、日本は日本酒・焼酎です。
日本酒を造るには、水に含まれる鉄分が0.02ppm以上あると鉄さびのようなもんが発生するため上手く出来ません。銘酒の醸造地には、ごく微量の鉄分さえ含まない軟水の名水が湧いていて、日本の料理には当然のことながら、日本酒が合います。この美味しい日本の軟水は、日本料理を作る上においても必要不可欠です。
水の国日本も、いつしか排水による汚染や開発による土壌汚染、山林伐採による土壌浸透の低下、汲み上げ過ぎによる水源の枯渇などに依って、美味しい地下水が得難くなってきました。
日々、水の有り難さに感謝して、大切にせなあかんなぁと痛感しております。

「琥珀玉子(こはくたまご)」

2009-05-07 | Weblog
江戸時代の琥珀玉子の作り方は、1ヶ月~1ヶ月半程糠漬けにしたり、半年間程塩水に浸け固まった黄身を塩焼きにしてました。また卵の殻を割って、崩さんように塩に埋めて凝固させたもんでした。
道楽では、新鮮な玉子の黄身を味噌漬けにします。味噌は白粒味噌と米味噌に八丁味噌を加えた合わせ味噌です。3日~1週間程漬けます。外側から固まり、日が経つ毎に締まってきて味も濃くなり、違った味わいが楽しめます。
一度、温度玉子(温泉玉子)を作り、黄身を漬ける方法もあり、今は「鼈甲玉子」とも呼ばれてます。

山椒

2009-05-07 | Weblog
三・四月の山椒の出始めの若葉を『木の芽』と呼び、お椀や炊きもんの香り、木の芽和え等に用います。竹の子なんかには、必ずほしい春の香りで、五月頃からは『葉山椒』と呼びます。
もうじき、山椒の花がでてきます。『花山椒』は十日間程だけ八百屋さんに並ぶので、保存用によおけ炊いて瓶詰めにしときます。
そのあとに、山椒の実がつきます。『実山椒』は昆布や川魚を炊くときには欠かせません。また糠床(ぬかどこ)に入れたりもします。
漢方では、『蜀椒(しょくしょう)』と言うて健胃・利尿・消炎・駆虫・風邪などの薬効があります。
山椒の木の枝は、擂り粉木に最適です。
香りを大切にする日本人には、とても有り難い素材です。

残された時

2009-05-06 | Weblog
この夜に生をうけ、間もなく半世紀、五十年が経ちます。昔なら寿命を全うしたと言うてもええ齢(よわい)でしょう。
あたえられた残りの人生は、自分ができることを考えて、感謝の気持ちで時を大切に費やしていくべきやと思てます。
ぼくが考える『食の本来あるべき姿』『伝承されてきた料理の話とその作り方』『真味倶楽部での極上の京料理の醍醐味』などをお伝えしていけたらなぁと思います。

健康な『食』

2009-05-05 | Weblog
食材を料理する上で最も大切なことは、体に無害なもん、安全なもん、体にええもんを作るということです。このことが御自分と大切な御家族や大切な人の健康維持、そして長寿へとつながります。
ダイオキシン、農薬、食品添加物…等々の様々な有害物質からまず身を守ることを考えて料理せんとあかん時代です。
ぼくが丁稚の頃は、無駄を出さへんように料理することを徹底して教わりました。人参、大根、蕪なんかの野菜の皮や茎や葉っぱなども、工夫して美味しい料理ができるように、なるべく棄てるもんがないようにと考えておりました。今は皮を使うなら、念入りに洗ってから暫く流水に晒して、場合によっては何度か茹でこぼしてからでないと使えません。レモンなどの果物類も皮には注意が必要です。山の恵みなんかは、砂や土が落ちたらええくらいにサッと洗って料理してました。ダイオキシンなどの心配もなく、山のもんが少々残っても問題なかったのです。牛蒡など本来は亀の子だわしで土や泥を落として料理するもんですけど、今は包丁の峰などでこそげるように白くしてから用いた方が安全でしょう。ただし皮の部分に牛蒡の特有の香りがあるので、美味しさは殆どなくなってしまいます。なんの野菜や果物にしても、皮下のクチクラ層に染み込んだ農薬をはじめとするいろんな不安物質を除くには、皮を剥いて用いるのがいいでしょう。
【土産土法(どさんどぽう)】というて、なるべく自分が生活している周りでとれた自然の恵みや収穫された農作物を食べるようにするのが身体にはやさしいのです。できれば、無農薬有機栽培や低農薬のものがええでしょう。
輸入物は安価な物が多いのですが、遺伝子組み換えによる多量の除草剤の使用や農薬の種類および散布量、発色剤や漂白剤の使用、保存用にかけるポストハーヴェスト農薬などの問題があります。食製品におきましては、使用添加物や製造工程の面に不安があります。
内地のもんは全てにおいて値段が高うつきますが、総じて安全基準もしっかりしており、その価格には美味しさに加え安全・安心が含まれているのです。

子達の『食』

2009-05-03 | Weblog
子供の食べ物で、味云々よりも一番大切なものは、手作りの料理・心のこもった料理・愛情たっぷりの料理です。
昨今少年による殺伐たる事件が絶えません。
お母さんが忙しい中、自分のために作ってくれる姿、その料理、家族団欒の食事のひとときは、必ずや子供の心に残るでしょう。子供が『種』なら家庭やお母さんは『畑』です。畑の土から栄養を吸収して、心身ともすくすくと立派に育ちます。ぼくは、その栄養分の最たるもんが、【心のこもった手作りの料理】やと信じております。