[用例研究 172] 〈歸結節の might〉
(BLONDIE By Dean Young & Stan Drake)
1 That large branch up there is dead.
2 If it snapped off, it might hit somebody.
3 If it did snap off it wouldn’t hurt us ... it would fall into Woodley’s yard.
4 I’m waiting breathlessly for your next sentence.
[解説]
2 If it snapped off, it might hit somebody.
・snap off: 「(枝などが)ポキッと折れる」 off は「分離」を意味しますから、枝が折れて樹木から離れる、つまり折れて落ちることになります。
・snapped ... might fall: 假定法過去で、事實とは離れて、「話者の思ひ」を述べてゐます。實際には折れてはゐませんが、「もしそれがポキッと折れるなら、誰かに當たるかもしれない(/當たるだらう)」と假定法の動詞システムを用ゐて話者の想定を述べてゐることになります。
假定法の歸結節では、主には would が使はれますが、「~かもしれない」といふ意味を含めたい場合は might、「~できる」といふ意味を含めたい場合は could が使はれます。主語が一人稱だと should が使はれることもあります。
□參考例文
172.1 If he had time, he might come to see us.
もし彼に時間があれば、私たちに會ひに來るかもしれないのだが。
□參考例文: 假定法過去完了の might です。(he’d = he had)
172.2 If he’d taken his doctor's advice he might not have died.
もし彼が醫師の忠告に從つてゐたら、彼は死ななかつたかもしれないのに。
3 If it did snap off it wouldn’t hurt us ... it would fall into Woodley’s yard.
・did snap: 〈do/does/did+原形〉のかたちで動詞を強調する表現であり、「本當に~する(/した)」「確かに~する(/した)」といつた意味を傳へます。この助動詞 do/does/did は強く發聲します。
□參考例文: 主語が三人稱單數で現在形なら does となります。
172.3 Yes, she does have beautiful looks; however, she doesn't have much of a personality, does she?
さう、彼女はたしかに美人だが、人間的な魅力は乏しいよね。
□參考例文: 直説法の過去形のケースです。
172.4 Believe me. I did call you this morning.
信じてよ。本當に今朝君に電話したんだから。
□參考例文: 命令文のケースです。be動詞の命令文なら Do be ~となります。
172.5 Do feel free to call me any time.
本當に遠慮なくいつでも電話してください。
・did snap ... wouldn’t hurt / would: 上述したのと同樣、假定法過去の文で話者の想定を述べてゐます。「もし枝が折れて落ちるとしたら、私たちがけがをすることはないだらう...Woodley の庭(の中)に落ちるだらう」
4 I’m waiting breathlessly for your next sentence.
・breathlessly: 「固唾をのんで」
・wait for ~: 「~を待つ」
・sentence: a group of written or spoken words that has a subject and a verb, and expresses a complete thought or asks a question.
[意味把握チェック]
1 「上の方のあの枝は枯れてるわ」
2 「もしポキッと折れて落ちたら誰かを傷つけるかもしれないわね」
3 「もしポキッと折れて落ちたとしても(/落ちたら)、ぼくたちがけがをすることはないだらうな...Woodley の庭(の中)に落ちるんだらう」
4 「(君の)次のことばを固唾をのんで待つてるんだがね」
[笑ひのポイント]
・ふたりが話してゐるのを隣家の主人Herb Woodley が聞いてゐました。