今から30年前となる1995年5月6日、後楽園ホールで行われた興行です。
ジュニアウェルター戦(スーパーライト級10回戦):
前WBAジュニアウェルター級王者ファン マルチン コッジ(亜)判定3対0(99-94、98-94、98-95)坂本 博之(角海老宝石)
*「平成のKOキング」坂本が、19戦全勝(14KO)の勢いで世界王座に2度就いた強豪中の強豪コッジと対戦。3回にアルゼンチン人のボディー攻撃で2度のダウンを喫してしまった坂本。しかしそこから盛り返し、コッジ相手に大善戦をしました。

(日本の若武者が世界の強豪に「挑戦」)/ Photo: Youtube
結果はコッジが明白な判定勝利を収め実力を見せつけた形に。しかし坂本は敗れたとはいえ、その後が期待できる内容でした。

(後楽園ホールのリングで貫禄を見せつけたコッジ)/ Photo: Youtube
コッジはこの試合後、3度目の世界王座獲得に成功。坂本は翌年にOPBF(東洋太平洋)ライト級王座を獲得し、世界挑戦に向け順調に歩んで行くことになりました。
フライ級戦(10回戦):
元WBAフライ級王者ヘスス ロハス(ベネズエラ)TKO7回 大場 貴志(姫路木下)
*日本フライ級期待の大場が、10連勝の勢いを持って元世界王者ロハスに「挑戦」。前半戦は善戦する大場でしたが、徐々にロハスとの実力差が浮き彫りになり最終的にはストップされる形に。
この試合から数年後、名古屋のリングで世界2階級制覇を達成する事になるロハス。その試合を含め長きに渡り、世界のトップ戦線で戦い続ける事になります。
フェザー級戦(10回戦):
元WBAバンタム級王者ルイシト 小泉(エスピノサ/比)TKO8回 シンヌン 山木(山木/タイ)
*元世界王者と35勝(34KO)2敗の超強打者による対戦は、予想通りの大激戦に。初回、2回とルイシトがダウンを奪えば、シンヌンは4回と5回にお返しのダウンを奪います。最後は8回、ルイシトが3度のダウンを追加し打撃戦を制すことになりました。
この試合後、ジョー小泉氏のサポートを受けフェザー級で世界王者に返り咲いたルイシト。都合5度日本で試合を行いましたが、この試合が一番印象に残った試合と言っていいでしょう。
フェザー級戦(10回戦):
ジュン ゴーレス(比)判定3対0(100-93、99-93、99-94)崔 在元(韓国)
*当時、世界が期待されたプロスペクトの一人として挙げられていたゴーレスが元世界1位の崔と対戦。好試合が期待されていた一戦でしたが、蓋を開けて見ると思わぬ凡戦に。真剣勝負なだけに、たまにはそういうこともあります。
ジュニアフライ級戦(ライトフライ級10回戦):
ガンボア 小泉(ジョマ/比)TKO6回 崔 喆雨(韓国)
*後に4度目の世界挑戦でWBA最軽量級の暫定王座を獲得し、その後同団体内での王座統一に成功したガンボアの日本のリングでのデビュー戦。軽量級離れした強打を披露する事には成功しましたが、対戦相手のレベルがひどすぎました。崔の戦績をBoxRecで調べてみると、1991年2月に4回戦で判定負けを喫した以来の実戦に臨んだプロキャリア僅か2戦目の選手。世界を目指す選手がこのような選手と対戦しているというのは、ちょっとこれはいただけませんな。ただ、調整試合として見るのであれば別話ですが。
*ジョー小泉氏が自ら主催者となり行われた「ワールド・チャレンジャー・スカウト」。私(Corleone)の記憶違いで、これは第一回ではなく2度目の同興行でした。後楽園ホールは満員御礼となる大盛況だったようです。何と言っても当時の坂本の人気がその理由に挙げられますが、今現在(2025年5月)、世界戦以外でこのように集客力のあるイベントが日本国内で開催できるのでしょうか?残念ながら、難しいと言わざるをえないでしょう。