キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

海の星Ⅱ

2007年07月10日 | Weblog
週間予報というのはかなり当るものですねえ、朝二宮は曇っていたのに横浜は予報どおり雨、今週は梅雨空が続きそうです。車窓から咲き誇る夾竹桃の白がやけに印象的な朝でした。ここのところ浜に出かけませんが、サラリーマン太公望にとっては最高のシーズン、キスが釣れ続き、ワカシ、サバがツノで入れ食い状態が続いているようです。

吉野建(たてる)さんが早川に店を出す前にしたことといえば、漁港前の居酒屋に住み込みで入り、魚についての勉強と、漁師と親しくなり良い魚の入手確保の道を開いた事です。私は料理人でないので料理のことは実際良く分かりませんが、良い素材が手に入るところの料理は単純になります。今の時期鯵が手に入れば、脂の少ない小さめな奴は刺身、大きめで脂の多い奴は塩を振って強火の遠火で単純に焼くか、酒醤油砂糖味醂で煮るかです。せめて他にやることといえば、刺身にする代わりに塩にして酢で洗っていただくくらいしか思いつきません。大量に漁師からもらって食いきれないときは、生姜醤油と葱などを加えたたいて団子にし、煮るか揚げるかしておきます。あるいは二枚に開いて干物を作るくらいでしょうか。

漁師町に住んでいると創意工夫が無く、魚が古くなって不味くなってきたら、肥料にしちゃうか捨てちゃいます。幾らでも海に出れば取れるから海が荒れない限り二日目の魚を食べる思想が無いのです。酒もいきおい新鮮な刺身との相性で考える事になり、魚の旨味を邪魔しなければ良いわけで、それほどこだわらなくなるようです。ガストロノミーといった思想は浜からは出てきません。

喜界島出身の吉野さんが料理人としてフランス人に認められたことの裏には大きな困難があったのだろうと想像できます。三年前のインタビューで言っておられるのは、無性に食べたくなるものとして、ヤギの刺身、サトウキビのジュース。これが基本にあるわけですからね。ちなみに憧れているものは、納豆、豆腐、味噌汁だそうです。

プロの料理人が素材にあまり手を加えないものを志向するのに、素人の食い意地の張った私がフレンチから遠ざかるのは当たり前すぎる事なのかも知れません。
コメント
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