キュヴェ タカ/cuvee taka 「酔哲湘南日記」

新鮮な山海の恵みを肴に酒を吞み、読書、映画・音楽鑑賞、散歩と湘南スローライフを愉しんでいる。 

くちなしの花の香り

2007年06月25日 | Weblog
お若い方はご存じないかも知れませんが、昔「くちなしの花」という唄がございまして、まだ若くて威勢の良かった頃の渡哲也が歌い、一世を風靡いたしました。雨もよいで湿度が高くなってくると何処からとも無くこのくちなしの香りが漂ってきます。大岡川の河岸の散歩道にも植えられており、道行く人が暫し佇み、そして幸せな顔になって過ぎ去ります。花の力とはかくも大きなものなのです。視覚を魅了し、嗅覚をも魅了し、お湯を注して味わうと味覚まで魅了してしまいます。

さてこのくちなしの花に喩えられたのは愛すべき女性でしたが、ある種のワインはその香りと風味を花に喩えられます。いわく、薔薇の香りのゲベルツトラミネール、スミレの香りの若いサンジョベーゼ、アカシアの香りのシャトー・スオ・白(オーナーのモニクがそういっておりました)などなど。しかしながら今までくちなしに喩えられたワインを若輩者の私は聞いた事がありません。それでも密かにある種のムルソーやシャサーニュ・モンラッシェにくちなしを思う事があります。そんなことを口に出したら駄目駄目、ワイン村から村八分にされる可能性があります。でも、軽く焼いた質の良いニューオーク由来の香りに濃縮された綺麗な果実の香りが重なった時、甘い芳香となり、くちなしを連想させる香りをどうしても思っちゃうんです。

ワインを試して何の香りを感じようとも、何の味わいを感じようとも勝手です。自在に表現する所が面白いし、自由さがあります。一緒に飲んだ友達に通じなくても、ましてやよその国で通じなくてもかまやしません。硬直したテイスティングコメントに風穴を開けるような新しい表現を待ち望んでいるんです。おじさんは。

我がイナリヤト食文研のワインとビールはこちらからご覧になれます


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