上海マスターズを観に行く-2


  今回の旅は3日前に思い立ったもので、上海マスターズのチケットは購入していませんでした。出発前、一応はネットで買おうとしたのですが、もうネットでの販売は終了していました。だから、当日券で観るしかありません。

  タクシーから降りると、ダフ屋のみなさんがわっと寄ってきました。みな見るからにうさんくさい、いかにもダフ屋ー!という雰囲気の方々です。ダフ屋のおっさんが「チケットは買ったのか?」と声をかけてきました。

  まだ買ってないと答える(←バカ)と、今日のA+席のチケット(正規価格460元、約7,400円)を400元(約6,400円)でどうだ、と言いました。それからおっさん、日本語で「ヤスイ、ヤスイ」と言ってニッと笑いました。日本人ぼったくりのベタコントかよ!てか、よく一目で日本人だと見破ったな。こういう連中の眼力は侮れないもんだ。

  いや、アタシは初めてこの大会を観に来たんで、チケットをまだ見たこともなくて、あんたが売ってるチケットが本物かどうか区別できないから、と言って断りました。チケット売り場に行くと、とりあえず10日(←この日)の3回戦と11日の準々決勝のチケットはまだ余りがあると表示されていました。12日の準決勝と13日の決勝は完売だということでした。

  それでこの日の3回戦のA+席チケットと、翌11日準々決勝のA席チケット(480元、約7,700円)を購入しました。センター・コートのチケットで、これを買うと他のコートでの試合も観ることができるそうです。

  センター・コートのチケットは、

   1回戦~3回戦まで A+:460元(約7,400円)、A:260元(約4,200円)、B:160元(約2,600円)
   準々決勝 A+:680元(約10,900円)、A:480元(約7,700円)、B:380元(約6,100円)、C:280元(約4,500円)
   準決勝と決勝 A+:1,580元(約25,300円)、A:1,080元(約17,300円)、B:780元(約12,500円)、C:480元(約7,700円)

で、他に全日程観戦チケットがあり、それはA+:4,500元(約72,100円)、A:2,800元(約40,500円)、B:2,000元(約32,000円)だそうです。こっちのほうがお得だな。大会期間の全8日間を毎日、昼から夜まで観戦するのであれば。

  そして、コートの前後サイドと左右サイドの席は"VIP SEAT"で、全日程有効だそうだけど、値段がとにかくすげーぞ。恐るべし中国バブル。

   プレミアム(コート前後サイド):45,000元(約72万1,100円)
   ゴールド(コート左右サイド前方):40,700元(約65万2,200円)
   シルバー(コート左右サイド後方):35,000元(約56万900円)

  この中で、ゴールド席の1日限り有効チケットを1日限定100席で売り出したそうだけど、それもなんと8,000元(約12万8,200円)。誰が出せるかそんなカネ。

  コートサイドの席がガラスカ状態だったので、おかしいなとは思ったのだけど、たかがテニスなんぞにこんなバカ高い金を払う中国人は、金持ちといえどさすがに少なかったらしい。

  またボックス席もあった。A+の真下。ただし、このボックス席は一般には発売されなかったのだと思う。団体向けだから、旅行社とかチケット・エージェンシーとかスポンサー関連の会社とかが、あらかじめ押さえてたんじゃないかな。このボックス席も入りが良くなかった。基本ガラガラ。

  でも、一般に販売されたA+、A、B、C席も、決してお客で満杯というわけではなく、奇妙に思えるほど空いていた。それなのに、チケットは完売だという。

  客席はガラガラなのにチケットは完売、この不思議な現象が起こる原因については、会場の附近に住んでいて、テニスに多少は興味があるという人が面白いことを教えてくれた。後述。

  で、正規のチケットはこんなん。

 

  たぶん以前に偽造チケットが横行したのか、チケットは2枚の紙をとじ合わせて作られており、光に透かすと左下あたりに正方形の紙が挟み込まれているのが見える。

  センター・コートのゲートに入る際に、会場スタッフ(←たぶんアルバイト学生。もはや愛想がないのを通り越して無礼。ムカつく)がチケットをセンサーにかざす。すると「いらっしゃいませー!」という電子音が鳴る。中に挟まれている紙がセンサーに反応してるんだと思う。それで正規チケットかどうかを確認していた。

  でもこれ、中身を取り出して同じものを作れば、チケットを偽造することは簡単なんじゃないか。結局毎年いたちごっこなんだろう。

  会場に入ると、今日の試合スケジュールが表示されているボードがある…のだが、これがまた ショボい アットホームな手作り感が満載。

 

  うーん、まるで暴走族の落書きかDQNネームみたい。

  セキュリティはかなり厳重です。手荷物を検査機に通して中身をチェックされ、更に観客自身も金属探知機のゲートを通らなくてはなりません。チケットの提示も3箇所くらいはあったような?A+席の場合は、A+席エリアの入り口でまたチケットの提示を求められます。ま、チケットのしつこい提示要求は、セキュリティというよりセコさの問題な気もしますが。

  ようやくセンター・コートに入ったら、もうロジャー・フェデラーとガエル・モンフィスの試合が始まってしまっていました。デルポトロの試合はあっさり終わったんだな。すでに第1セットも終了。しかもフェデラー、第1セット落としてるし。ちょうど第2セット第1ゲームの途中だったと思います。ゲームが終わるまで、客席入り口で待たなくてはなりません。

  入り口で警備してる公安局の兄ちゃんの横に立って試合を観てたら、フェデラーがすばらしいプレーでポイントを取りました。ひゃあ、ボールってあんなに長く伸びるものなんだ。それにあんなに速いんだね。初めて観る生フェデラーに、すでに大興奮。

  しかし、ゲームが終わってから自分の席に行こうとしたら、そこでも不測の事態が待ち受けていたのであった。

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上海マスターズを観に行く-1


  上海に到着したのは10日正午ごろ、空港は浦東空港でした。浦東空港は、上海に元来あった虹橋空港だけでは離発着する飛行機をさばききれなくなったため、新たに建設された空港です。虹橋空港が市中心から近くて便利なのに対して、浦東空港は浦東区のド外れ、東っ端にあります。

  浦東空港から市中心に出るには、地下鉄、リムジンバス、タクシーがあります。リニアモーターカーもありますが、これは浦東区の途中までしか開通しておらず、結局また別の交通手段に乗り換えないといけません。

  浦東空港を使うのは初めてだったので、無難に地下鉄で市中心まで出ることにしました。ところが、これが大間違い。まず空港のターミナルから地下鉄の駅までがやたらと遠く、ターミナルから15~20分ほども歩かなくてはなりません。トランクを引きずっている人間にとっては大変です。それから地下鉄に乗りましたが、人民広場駅まで1時間10分くらいかかりました。

  帰国時はホテルからタクシーで浦東空港に行きました。これが最も疲れません。タクシーを使う場合、ラッシュ時を避ければ、市中心から1時間弱でターミナル入口まで行けます。料金は170元~180元(およそ2,800~2,900円)くらいです。

  今回は人民広場と南京東路に近いホテルに泊まりました。部屋に行って、ネットで上海マスターズの試合スケジュールをチェックしたら、なんとロジャー・フェデラーとガエル・モンフィスの試合が午後3時(確か)から開始予定と書いてあるではありませんか!

  このときすでに3時です。うーん、これはもう間に合わないから、今日は試合を観に行くのはやめようか、と思いました。が、ライブスコアを見たら、フェデラーとモンフィスの試合の前に行われる予定のデルポトロの試合が、たった今始まったばかりでした。

  あ、時間がかなり押してるな、これだったらフェデラーの試合になんとか間に合うかもしれない、と思い、すぐにホテルを出ました。デルポトロと対戦相手の選手さん、なんとかフルセットの試合にして、フェデラーとモンフィスの試合をもっと遅らせて下さい、と祈念しながら。

  タクシーを拾って、試合会場、閔行区にある「上海旗忠森林体育城網球中心」に行ってくれと運転手に言うと、「閔行?そんな遠いとこに何しに行くんだ?」と思いっきり不審がられました。その運転手は「上海旗忠森林体育城網球中心」は知らないそうですが、「上海旗忠森林体育城網球中心」の住所「元江路5500」で、どこにあるか大体の見当がついたようです。すぐに車を走らせてくれました。

  運転手は「今はもう夕方のラッシュ・アワーに入っているから、1時間ぐらいかかっちゃうよ」と言いました。後で別の運転手にも確認してみたところ、上海の朝夕のラッシュ・アワーは、朝が7時半~9時半、夕方が3時半~6時半とのことです。上海でどの交通手段を利用するかは、ラッシュ・アワーかそうでないかに合わせて、タクシー、バス、地下鉄を選んだほうがいいようです。

  地下鉄で上海マスターズの会場である「上海旗忠森林体育城網球中心」に行くには、5号線に乗って莘庄駅か顓橋駅で下り、そこから路線バスに乗り換えるそうです。この5号線の莘庄駅と顓橋駅ってのは、上海の地下鉄路線図を見ると、ともに5号線の端っこにあります。地下鉄+路線バスで行けばどのくらい時間がかかるのか、今回は地下鉄を利用しなかったので分かりませんが、たぶんかなり時間がかかると思います。

  「上海旗忠森林体育城網球中心」があるのは閔行区莘庄鎮という地域です。地名で最後に「庄」や「鎮」がついているのは大体が田舎です。タクシーの運転手も、あのあたりは昔は農村で何もなかった、と言っていました。

  上海は郊外へ郊外へと開発が進められています。閔行区も開発中のいわゆる「郊区」の一つらしく、新築の高層マンション群が聳え立ち、会社のビルなんかも多く建っていました。上海のような大都市には珍しく、一軒家も並んでいました。みなとても大きく、コンクリート造りの立派な構えの邸宅でした。富裕層の別荘だということです。

  会場に近づくにつれて、道路の街灯の柱にずらりと据え付けられた、上海マスターズの看板や幟が目に入るようになりました。なんだか気分が高まります。同時に、「収回賽票」と書いた段ボールの看板を持った人々の姿がちらほら見えました。運転手にあれは何だと聞くと、彼らはダフ屋で、あれはいらないチケットを買い取ります、という意味なのだそうです。

  そしてついに会場の上海旗忠森林体育城網球中心に着きました。

 

 (上海旗忠森林体育城網球中心2号門。観客はここから出入りする。後ろに見えるのはセンター・コート。)

  
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