『雨に唄えば』一般発売


  明日8月2日(土)午前10時より、『雨に唄えば』のチケット一般販売が始まります。事前にチケットが売り切れる可能性はまずないと思いますが、土日や祝祭日はさすがに混むだろうと思われます。

  どうしても土日や祝祭日しか観劇の時間が取れないというみなさまは、お早めのご購入をお勧めします。席は断然、前の方がよいと思います。『雨に唄えば』は舞台近くで観たほうが楽しめるタイプの作品です。

  『雨に唄えば』ウエスト・エンド公演が行なわれたパレス・シアターは、ロンドンの老舗劇場基準では大きいうちに入るとはいえ、日本の大規模劇場に比べると小さいです。また、パレス・シアターは古いだけに座席が小さく、列と列との間隔もすごく狭かったのです。それだけに空間密度が濃かったといいますか、多少後ろの席でも舞台との距離をさほど感じない作りでした。

  一方、日本公演の会場であるシアター・オーブは最新の劇場ですので、座席はゆったり、列間隔は広く、天井も高いのではないでしょうか?座席表と写真を見る限り、客席は縦長で奥行きが深いように見受けられます。もし後方センターか前方サイドかで迷われた場合は、サイドでも前方席のほうがよいと思われます。

  『雨に唄えば』公式フェイスブックに、アダム・クーパー来日記者会見のダイジェスト(10分ほど)がアップされていました。アダム、この宣伝活動のために、わざわざシェイプ・アップしてきたのかしらね?めっさ痩せてますね。それはともかく、このインタビューの中で、アダムは日本のファンについて興味深いことを言っています。

  「自分がまだ若いバレエ・ダンサーだったときから、ずっと僕のキャリアについてきてくれています。僕のキャリアが多岐にわたっていたため、僕のやることについていけない人々もいたと思います。でもここ日本のファンのみなさんは、僕のキャリアをずっとフォローしてくれました。そのことに対して、僕は感謝の気持ちでいっぱいなのです。」

  普段は飄々としてお気楽な感じのアダムですが、やはり自分のファンの人々のことをよく見ている、と感じました。アダムがバレエから遠ざかったとみるや、アダムを見下した発言をし始めた人々が、特にバレエ関係者の中には複数いました。私もアダムがバレエから完全に離れることには反対でした。何にチャレンジしてもいいけど、バレエはちゃんと踊り続けてほしい、とずっと思っていました。

  でも、『雨に唄えば』を観たとき、私は心の底からアダムに降参しました。アダム、あなたの選んだ道は正しかった、あなたが頑張ってきたことがようやく実を結んだね、私の負けだよ、ごめんなさい、と。

  『雨に唄えば』の舞台の上にいたのは、「ダンスを得意とするミュージカル俳優」というシンプルな語では表現しきれない人物でした。彼は実に軽々と、なんでもない様子で、凄まじいほど鋭いタップを床に刻み、降りしきる雨の中で、靴が水にどっぷり浸かりながらも、水の重さを感じさせずに跳躍し、水を自由自在に操って、水の線を自分の手足の延長にしていました。

  そして、どんなに激しく踊ろうが、女性出演者たちを次々とリフトしようが、息切れひとつせずに自然にセリフを言い、歌までも歌ってのけました。彼は最初から最後までほぼ出ずっぱりの状態でしたが、最後までパワーが落ちることはありませんでした。なによりも、彼はすごく楽しそうで、すごく幸せそうでした。

  それでもう充分でした。彼は勝ったのです。

  彼のやることを、どこか皮肉な目で見続けていた私は負けました。負けてあんなに嬉しいことはありませんでした。

  さあ、みなさんも、アダム・クーパーが降らす雨に打たれに行きましょう!「幸せになれるよ、雨の中で、歌い、踊れば!」


  念のため:インタビューで、ジーン・ケリー主演のオリジナル映画を、子どものころはもちろん観て大好きだったけど、今回の公演に当たっては観なかった、とアダム・クーパーは答えています。が、これは本人が言っているように、前人の演技の影響を受けるのが怖いせいなのです。ジーン・ケリーに挑戦しようとか、超えようとか、大それたことを考えているわけではありません。

  以前、他の作品についても、彼は前人の演技を見て物真似に陥るのが怖いので、あえて見ないようにしている、と答えていました。ジーン・ケリーとフレッド・アステアは、クーパーが憧れ尊敬している存在です。

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