キエフ・バレエ『白鳥の湖』(1月13日)-1


  ジャパン・アーツから、今年11-12月に行われるボリショイ・バレエ日本公演のDMが来ました。演目は『白鳥の湖』、『ラ・バヤデール』(ともにユーリー・グリゴローヴィチ版)、『ドン・キホーテ』(アレクセイ・ファジェーチェフ版)です。

  現時点での来日予定ダンサーは、マリーヤ・アレクサンドロワ、エフゲーニャ・オブラスツォーワ(ほお~)、エカテリーナ・シプーリナ、スヴェトラーナ・ザハロワ、セミョーン・チュージン、デヴィッド・ホールバーグ、ウラディスラフ・ラントラートフ、ミハイル・ロブーヒン、アレクサンドル・ヴォルチコフ(おお)、アンナ・ニクーリナ、オリガ・スミルノワなど。嬉しいことに、演奏もボリショイ劇場管弦楽団♪

  誰がどの演目でいつ何の役を踊るかはまだ分かりません。平日公演がほとんどだから(時間と体力が)、仕事との兼ね合いで、消去法で選ぶしかないです。まあボリショイ・バレエは、誰が主演でもハズレはないから。

  アレクサンドル・ヴォルチコフはもちろん観たいけど、マリインスキー劇場バレエから移籍したエフゲーニャ・オブラスツォーワにも興味ある。風貌、踊り方、雰囲気すべてがマリインスキー劇場バレエを体現していたようなオブラスツォーワが、ボリショイに移って、踊り方や雰囲気がどう変わったのだろうか。

  セルゲイ・フィーリンもどうなったのかな。顔はともかく、眼。視力は順調に回復しているのでしょうか。あの事件は結局、パーヴェル・ドミトリチェンコにすべての罪をかぶせて決着したわけ?納得いかない。

  さ、私の「キエフ・バレエ祭り」も今日が楽日です。楽日にふさわしく、今日のオデット/オディールはエレーナ・フィリピエワ。フィリピエワの全幕を今度はいつ観られるのか、少し寂しいような、不安なような気持ちもありました。


 『白鳥の湖』全三幕(2014年1月13日於Bunkamuraオーチャードホール)

   音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー

   原振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、フョードル・ロプホフ

   改訂振付・演出:ワレーリー・コフトゥン

   美術:マリヤ・レヴィーツカ


   オデット/オディール:エレーナ・フィリピエワ
   ジークフリート王子:デニス・ニェダク

   ロットバルト:セルギイ・クリヴォコン(ドミトロ・チェボタルより変更)

   王妃:オクサーナ・グリャーエワ
   家庭教師:セルギイ・リトヴィネンコ

   パ・ド・トロワ:オリガ・キフィアク、ユリヤ・モスカレンコ(カテリーナ・ディテンコより変更)、ヘンナージィ・ペトロフスキー

   大きな白鳥:カテリーナ・カザチェンコ、ユリヤ・モスカレンコ、アンナ・ムロムツェワ、アナスタシヤ・シェフチェンコ

   小さな白鳥:オクサーナ・シーラ、テチヤナ・ソコロワ、エリザヴェータ・ゴギードゼ、カテリーナ・カルチェンコ

   花嫁候補:カテリーナ・カザチェンコ、ユリヤ・モスカレンコ、アンナ・ムロムツェワ、アナスタシヤ・シェフチェンコ

   スペインの踊り:オレシア・ヴォロトニュク(たぶん)、他3人は不明

   ヴェニスの踊り(←「ナポリの踊り」と同じ音楽):コスチャンチン・ポジャルニツキー

   ハンガリーの踊り:不明

   マズルカ:不明

   二羽の白鳥:ユリヤ・モスカレンコ(たぶん)、アナスタシヤ・シェフチェンコ(これは間違いない)


   指揮:オレクシィ・バクラン
   演奏:ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

   第一幕:70分、第二幕:40分、第三幕:20分


  今回上演されたのはワレーリー・コフトゥン版だということです。プティパ/イワーノフ版を基にしていますから、マリインスキー劇場バレエが上演しているコンスタンティン・セルゲーエフ版とよく似ています。

  ただし、意外にもユーリー・グリゴローヴィチ版とも同じ部分がありました。第二幕の「黒鳥のパ・ド・ドゥ」でのオディールのヴァリエーションは、音楽、振付ともにグリゴローヴィチ版とまったく同じでした。前後関係はよく分かりません。

  道化はいませんでした。道化がいない版は他にも観たことがありますが、やっぱり物足りないですな。

  舞台装置は例によって簡素でした。しかし、おそらく地元でも頻繁に上演される定番演目なのであろうせいか、衣裳はとても豪華、重厚で美しかったです。今回の日本公演で、装置と衣装が最高にショボかったのは『バヤデルカ』で、『バヤデルカ』は地元キエフでもさほど上演されていないのではないかと察せられました。

  『白鳥の湖』といえば王子が踊る場面が少ないものですが、このコフトゥン版ではジークフリート王子が踊る場面がかなり増やされています。特に第一幕第一場です。登場した直後、パ・ド・トロワのコーダの一部、みなが去った後にそれぞれソロを踊ります。これは嬉しい改訂です。『白鳥の湖』の第一幕第一場って普通はヒマくさいもん。

  めずらしい演出だなと思ったのは、王妃がジークフリート王子にボウガンを贈る前に、なんか騎士らしいオジさんが王子をひざまずかせ、その両肩に剣を当てます。ドン・キホーテが旅立つ前にサンチョ・パンザに同じことをするし、中世を舞台にした映画でも時どき目にしますが、これってどういう意味?ともかく、細かいけどなかなか凝った演出だな、と。

  (その2に続く。)

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