スティーヴン・ソンドハイム

  昨夜は飲み会でした。なにせ昨日は今年度最後の平日でしかも金曜日、更には桜が満開でしたから、絶好の飲み会びよりでした。終電ギリギリに帰途につきましたが、深夜とは思えないほど駅も道も人でごったがえしており、しかもそのほとんどが酔っぱらいでした。私もつい飲みすぎてしまい、まだ体がだるいです~。

  それはそうと、昨日の日記で書いた“Side by Side by Sondheim”についてですが、どんな作品なのか少しだけ分かりました。話題になっているのも(ならせているのも?)さもありなん、といった感じです。

  ふじさんが書いて下さっていますが、スティーヴン・ソンドハイムという人はアメリカの作詞家、また作曲家で、アメリカのミュージカル界における神様的存在だそうです。

  “Side by Side by Sondheim”は1975年にイギリスで初演されましたが、もともとはコンサート形式で上演されました。ソンドハイムが作詞・作曲した歌と、そしてソンドハイムが他の作詞家・作曲家と作った歌、全31曲を次々と披露していく、という内容のようです。

  それらの作詞家・作曲家の顔ぶれは、レナード・バーンスタイン、リチャード・ロジャース、メアリ・ロジャース、ジュール・スタインらで、作品は“West Side Story”、“Gypsy”、“A Funny Thing Happened on the Way to the Forum”、“Company”、“Follies”、“Pacific Overtures”、“A Little Night Music”など。

  “Side by Side by Sondheim”は初演の翌年、1976年に舞台化されました。それをプロデュースしたのが、なんとあのキャメロン・マッキントッシュです。その後、“Side by Side by Sondheim”は、1977年にブロードウェイでも上演され、トニー賞にノミネートされたそうです。

  この作品はどうやら1978年のブロードウェイ公演の終了を最後に上演されることがなくなったらしく、今回は実におよそ30年ぶりの再演ということになります。

  今回の再演は新しい演出で行なわれるため、その詳しい内容は知るよしもありませんが、この作品には3人の歌手、2人のピアニスト、1人の語り手が登場するそうです。そうなるとクーパー君の役割がよく分からないのですが、“Choreography”とか“Musical Staging”とか書いてあるからには、たぶんダンスも取り入れられていて、その振付やら演技やら演出やらをクーパー君が担当するのでしょう。

  小さい劇場での期間限定上演じゃん?と私は思い、なんでロンドンのエンタテイメント・ニュースが騒いでいるのか、最初はよく分かりませんでした。でもミュージカルの神様の代表作を集めた伝説の(←言い過ぎか)作品が30年ぶりに上演される、というので、ちょっとした話題になっているのでしょうね。

  イギリスのエンタテイメント関連のニュースというのは、それ自体が一種の宣伝だと思うので(日本も事情は同じでしょうけど)、今回の「騒ぎ」もなんか成功への布石を打っておくような、多分に作為的なものを感じます。まあ別に悪いことではありません。作品が「成功する」前提条件は、話題作だ、と事前にマスコミが煽ることですから。

  あとは実際の公演内容が良ければいいんです。この4月末から上演が開始されますから、クーパー君は大体の構想をすでに完成させているでしょう。どうかすばらしい振付と演出を披露してほしいものです。

  ロイヤル・オペラ・ハウスのリンバリー・スタジオでも、ソンドハイムが作詞・作曲したミュージカル“Into the Woods”がこの6月に上演されます。監督・演出・振付はウィル・タケット、装置・美術はレズ・ブラザーストンです。ほぼ同じ期間に、ほとんど同じ場所で、しかも親しい友だち関係にある人たちが、別々にソンドハイム関係のミュージカルを上演するなんて面白いですね。

  私が個人的に興味があるのは、“Side by Side by Sondheim”よりはむしろ“Imagine This”のほうです。公式サイトのクーパー君の日記や近況報告からして、彼もたぶん“Imagine This”のほうに大きなやりがいを感じているだろう、となんとなく思うのです。

  でもクーパー君の振付家としてのキャリアにとっては、“Side by Side by Sondheim”が成功することのほうがはるかに重要です。振付家として活躍するためには、実力だけでなく名声も必要です。もっとはっきりいえば、実力を発揮するためには、まず名声を勝ち取らなければなりません。クーパー君には、それぞれの作品から、それぞれ必要なものを得てほしいと願っています。     
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